ヒロインは魅力的でしたが、ストーリーは少々残念。途中まではけっこう楽しめていたので、もう少しオチを頑張ってほしかったです。
[ストーリー]
前作『レミニセンス』で主人公『島津秀隆』が特務官になってから二年。
ホープタウン、ドリームタウンに次ぐ第三の街『大和』が発見された。
秀隆たち特務官は大和に対して平和交渉をしようとするものの、
大和の要求は二つの街の技術をすべて差し出せ、という理不尽なものだった……。
といったお話です。
大和はその名が示すとおり、昔の日本を甦らせたかのような街並みで、
服装は着物、話し方は芝居がかっていてまるで時代劇を見ているかのようでした。
ホープタウンはアンドロイドが普及している未来的な街なので、
文化レベルの異なる異世界に転移したかのようにも感じて面白かったです。
そして肝心のストーリーですが、こちらは少々残念に感じました。
というのも、武力で脅迫してくる大和に対してどう交渉していくか、
というテーマを掲げておきながら解決策が交渉ではなく力技だったからです。
特に涼風ルートは相手を毒殺するという荒業を使ってしまっており、
話の流れから一定の理解は示せるものの、読後感は良いものではありませんでした。
もう一つのメインルートである和葉ルートも、
トンネルを崩落させて解決、というより問題を先送りにしているだけで、
数年後には戦争が起きるであろうことを思うと、素直に喜べない結末でした。
[キャラクター]
今回のメインヒロインは涼風と和葉と恋の三人ですが、
三人とも個性的でありながら可愛らしい面も併せ持っており、非常に魅力的でした。
涼風は大和の代表であるため、自分にも他人にも厳しくあろうとしますが、
辛い時や秀隆に惹かれたときなど、気が緩んだときに見せる年相応の反応が可愛らしく、
文章を読みながらニヤニヤとしてしまいました。
特に、屏風から少し顔を出して「お慕い……しております……」と言う告白シーン。
あのシーンはいじらしい姿も相まって非常に破壊力が高く、危うく恋に落ちかけました。
和葉は涼風と違って付き合い始めても態度が変わらないタイプ。
付き合い始めたと思ったら、体の相性を調べるぞととりあえずセックス、
その後もがさつで暴力的な性格は変わらず、愛情表現もほとんどなし。
それでも貴重な時間を秀隆のために割いたり、稀に好きと言ってくれたりと、
恋愛に不慣れな自分なりに努力しているのが見えて愛らしく感じました。
恋は前作ではオマケ的な感じでHシーンもなかったので、
メインシナリオではないものの、個別の話があった時点で嬉しかったです。
恋の魅力は作中の恭一も言ってますが怒らせたときの反応ですね。
赤ら顔で震えながら怒ったり、やりすぎると泣いてしまったり、
涼風と和葉の二人が感情表現に乏しい分、恋のコロコロ変わる表情がより魅力的に映りました。
[Hシーン]
涼風、和葉、恋が3シーンずつ、他のヒロインが1シーンずつで計16シーン。
前作同様、秀隆が早漏で地の文も少なめなので実用性は低いです。
前作ヒロインの別体位とか恋のHシーン目的なら有りかなってレベルです。
ただ、呉羽のHシーン実装は正直どうなんだろうと思いました。
キズナでさえぶっちゃけアウトな年齢なのに、さらにその下と思われる容姿。
よくある見た目ロリなBBAではなく、言動も一桁な感じのロリっ子。
ロリコン向け作品ならまだしも、本作で攻略できる必要があったのか疑問です。
まぁ興奮したんですけどね、フフッ……。
[総評]
つまらなくはないけど、前作に比べるとオチがひどい作品です。
ただ、面白い場面や感動する展開も確かにありましたし、今なら安く手に入ると思うので、
前作が気に入っているのであればやる価値はあると思います。