ErogameScape -エロゲー批評空間-

rinjunさんのこの大空に、翼をひろげての長文感想

ユーザー
rinjun
ゲーム
この大空に、翼をひろげて
ブランド
PULLTOP
得点
80
参照数
454

一言コメント

ルートによって差がありますが、良い青春物語です。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

空を飛ぶ部活を扱った作品と言えば「蒼の彼方のフォーリズム」も有名ですが、あちらは努力や勝利をテーマとした熱血スポ根モノなのに対して、この作品はライバルや大会は存在せず、モーニング・グローリーと呼ばれる数十年に一度しか現れない雲の上をグライダーで目指す青春モノとなっています。

ヒロインは5人いますが、ルートによってシナリオの出来や方向性が大きく異なっています。

まず、おそらくメインルートの小鳥と天音。小鳥の足が動かなくなった原因や、天音とイスカの過去等、物語の真相が明かされるルートです。まさに「青春」と呼べる展開が多いルートでもあり、特に小鳥ルート終盤の紙ヒコーキの意味に気づいてからの展開は熱く少し泣けました。また、飛岡や小鳥の父親といった大人たちが様々な方法で部活動を妨害してくるため、大人たちが悪役のように映りますが、大人は過去のトラウマから子どもたちを守りたい一心で行動しており、決して子どもたちの夢をないがしろにしているわけではない、ということに気付くと、もどかしさや寂しさといった感情が溢れました。ゲーム内では子供側の視点で物語が進行しますが、大人側の気持ちを考えるとまた別の景色が見えてくるので、できたら学生のうちに一度プレイして、社会人になってから再度プレイするといいかも知れません。

次に、あげはと風戸姉妹のルート。こちらのルートはモーニング・グローリーを飛ぶことが重要視されておらず、だからといって恋愛要素が濃いわけでもなく、中途半端な印象を受けました。特にあげはルートは、主人公が告白してもあげはが逃げ続ける展開が続き、正直ストレスが溜まりました。また、風戸依瑠のルートは個別ルートでありながら姉妹両方と付き合うというとんでもない展開。主人公は姉妹が好きで、姉妹は主人公が好きなんだから3人で付き合えばいいよね、ってグライダーではなく思想がぶっ飛んでます。こちらのルートは時間がなければ無理にクリアしなくても良いと思います。

あと、Hシーンですが、おかず的にはあまり使えませんでした。おそらく絵柄がシンプルかつ綺麗なせいで、Hシーンになってもあまり性的に見えなかったからだと思います。ただ、なぜか女性器を舌で責めるプレイが多く、飲尿プレイもいくつかあったので、そのようなプレイが好きな方ならおかずに使えるかも知れません。ちなみに私も結構好きで、亜紗の1回目のプレイはお気に入りでした。

ルートによって差がありますが、部活青春モノとしては普通に楽しめたので、そのような作品を読んで熱くなったり、あの頃に戻りたいと思いたい方にはおすすめです。