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rinjunさんのレミニセンスの長文感想

ユーザー
rinjun
ゲーム
レミニセンス
ブランド
てぃ~ぐる
得点
85
参照数
298

一言コメント

主人公が早漏なので実用性は低いですが、様々な企業や町と交渉を繰り広げる頭脳戦や、魅力的なキャラクターとのテンポの良い会話は読んでて非常に楽しめました。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

[ストーリー]
地上が住めない環境になり、人々が地下に移り住んでから150年。
女学園で臨時教師をしていた主人公『島津秀隆』は、
恩人の頼みで企業や街との交渉事を担当する特務官となる。
秀隆は様々な依頼をこなすとともに、世界の謎に迫っていく……。

といったお話です。
基本的には依頼→調査→交渉で解決、といった流れを繰り返す感じで、
ある意味バトル物ではありますが武力ではなく頭脳で戦います。
そのため派手さはありませんが、複雑に絡み合った人間関係や事情、
また、それらを利用して交渉に勝つ痛快さは素晴らしいものでした。

あえて不満点を上げるなら、二つの街の今後や地上の状態が描かれていないこと。
ですが、その点は続編がありプレイ中なので今回は評価に含めないことにします。


[キャラクター]
メインヒロインはキズナ、秋、アクセラ、凛、希望の5人ですが、
それ以外も男性含めて魅力的なキャラクターばかりでした。
交渉を進めていく上で最初は敵のように立ちはだかる相手でも、
秀隆の活躍で問題が解決すると、年来の友人のように親しくなる。
それが少年漫画によくある『仲間になるライバル』的な感じで非常に魅力的に感じました。

メインヒロインの話に戻すと、印象に残ったのは秋と凛。
凛については後述するとして、秋の個別ルートにやられました。

序盤から秀隆と秋は不仲のように描かれてますが、
話が進むにつれ、暴力を振るう、熱で倒れてても助けない、
など不仲と一言でくくるには不十分な異常性を見せてきます。

その理由が語られるのは秋の個別ルート中盤ぐらいの病院のシーン。
秋には話さないでほしい、と秀隆が苦しげに語るその真実は、
あまりにも愛にあふれていて自然と涙が流れてしまいました。
兄妹を扱ったエロゲーはいくつかプレイしてきましたが、
兄妹愛の深さに限っては本作はトップクラスだと思います。


[Hシーン]
メインヒロイン5人が3シーンずつ、それにその他が2つの計17シーン。
CGのないHシーンもどきもありますが、ホモなので割愛。

シーン数自体は普通か少ないぐらいですが、
秀隆が早漏なせいか全体的に短く、またCGと文章が合っていない点が多々あり、
実用性の観点から見ればおすすめできません。
絵柄と声が好みで、かつ秀隆並に早漏なら使えるかもしれませんが。

ただ、個人的に評価したい点があって、それは凛の個別ルート。

本作は共通ルートが長い方で、なかなかHシーンに辿り着きません。
そのためプレイヤーは長時間悶々しながらプレイすることになると思いますが、
そんなプレイヤーを煽るかのような女性陣のセリフ。

町の代表のおっさんと付き合っている担当医の杉村さん、
婚約者がいる希望、誰かとコンドームを使用した形跡のある恋、
そして、芸能関係の人と肉体関係を持ったことがあると語る凛。

プレイヤーは未経験なのにそんな文章を散々読まされて
息子のフラストレーションが暴発しそうな状態で入った凛のHシーン。

凛は3人ぐらい経験してるから、と秀隆をリードするが
挿入時は恥ずかしいからという理由で電気を消す。
そして、そのままセックスを終えると苦しそうに泣き出す凛。
何か問題があったのか、と慌てて電気をつけて確認すると、そこには初めての証が。

……いやぁ、素晴らしいですね!
攻略順の関係上、最初のHシーンが凛になる確率が高いのも、
上記の一連の流れを狙っている気がして勝手に感心してしまいました。
アイドルの演技力で痛いのをごまかした、という設定も納得できますし、
ここまで書いておいてなんですが、ネタバレなしでこのHシーンを体験してほしいものです。


[総評]
ストーリーの未消化部分やHシーンの文章とCGの差異等、気になる点はありましたが、
話の内容は非常に面白く、久々に時間を忘れてプレイに熱中してしまいました。
実用性は低いのであくまでシナリオ重視の方におすすめします。