哀しい銀色の宿命が終わりを告げるとき、そして、時を越えて最初の願いが叶うとき、その感動をたった一言の感想であらわす事など、私には出来ません。 ただ一つ言える事は、貴方がまだこの作品を知らないのなら、プレイしてみてください。
序盤のうちは、いったい何を言いたいゲームなのかさっぱり解りません。
それなのに、何故か心が引き込まれて行きました。
基本的に一つの視点ではなく、様々な人・時・場所からの視点を絶妙に絡ませて進んで行くため、始めのうちは謎が謎を呼ぶばかり。
それらが全編を通して、少しずつほぐれていき、ひとつの大きな物語になって行きます。
とてもとても深く重い物語で、プレイ中何度も怒り、哀しみ、涙し、心を震わされました。
そして、このゲームをやり終えて、全ての宿命が終焉を迎えたとき、とても穏やかで暖かい気持ちになりました。
評判どおり、確かにプレイ中はとても苦しいです。
でも、それを乗り越えるだけの価値は十分あると思います。
「願いが叶うこと」、それは誰もが望み、憧れる事だと思います。
でも、それは何かの力によって叶うものであってはならない。
もしもどんな願いでも叶うとしたら、願いが叶ったことの喜びよりも、願が叶ってしまったことへの悲しみの方が大きいのでしょう。
それを痛感しました。
人は誰も、それが本心なのかは別として、常に何かを望むものです。
「いなくなっちゃえばいいのに」
私も子供の頃、何度となく心の中で呟いたでしょう。
今言える事は、「願が叶わなくて良かった」ってことでしょうか。
もっとも感動したのは第一章です。
幸せとは無縁の場所にいた少女、彼女がたったひとつ願ったこと、とても哀しいねがいごとに大号泣しました。