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rhknogoさんのつよきすNEXTの長文感想

ユーザー
rhknogo
ゲーム
つよきすNEXT
ブランド
CandySoft(きゃんでぃそふと)
得点
92
参照数
4077

一言コメント

魅力あるヒロイン、個性豊かなサブキャラにテンポいいテキスト、飽きさせない展開に濃厚ないちゃラブ。素晴らしいの一言。さかき先生だったから安心していたが、やはり最初から最後まで楽しむことができた。初代つよきすシリーズと比べると青春メーターが足りないかもしれないが、いちゃラブ度は高い。あと、チェリは天使。長文では各√毎の感想を書いていきます。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

舞台は前シリーズのキャラ達(作中で言う伝説世代)が去ってから10年の月日が流れた竜鳴館。そこに再び賑やかなキャラたちが集まりだし、また新たな「つよきす」ワールドが始まる───というものです。ちょうど前作のキャラ達の血を受け継いだキャラばかりが集いますので、この年もまさに伝説になる世代ですね。ともあれ、メイン・サブの垣根を越えた魅力あるキャラたちによって、物語は進んでいきます。

〇共通パート
「最近は男が弱くなったと言われる」で始まり、蟹沢ファミリーが遅刻をしたことによって風紀委員長であるネコ先輩から下される粛清、その際に吐き捨てられる「だらしがないぞお前、根性無しが」のセリフ、はかりさんによる蟹沢ファミリーの生徒会への勧誘、なごみポジの子羽の勧誘などほとんど前作と同じ内容の立ち上がりでしたね。「この二番煎じ感・・・まさかまたあの悲劇が繰り返されるのか」と2学期の恐怖が頭を一瞬よぎりましたがそんなのは当然杞憂に。焼き直しはほんとに最初の方だけだったし。序盤の日常劇に始まり、A組との野球や烏賊島サバイバルまで終始ワクワクしっぱなしでした。竜鳴館という同じ学校で賑やかに過ごしている今キャラたちを見ていると、なんだか「お前たちの先輩も昔はこうやって騒がしい毎日を送っていたもんさ」みたいなことを言ってやりたくなる。館長や土永さんも同じ気持ちなのだろうか。ところで館長は10年たってますます人間離れしていて吹いた。

〇はかり√
テンションに流されず体育祭で東軍の勝利のみを勝ち取ろうとするはかりさんが、個人でネコ先輩に勝ちたいという気持ちが芽生えてトライアスロンでテンションに流され熱くなる、というまさにレオの従妹らしい話です。同じ生徒会長の姫と比べて地味・コミュ障・無表情と華やかさのかけらもないはかりさんですが、そこが可愛い。でも後半のいちゃラブもよかったのですが、はかりさんは本人の√よりも他ヒロインの√の方が可愛く見えるんですよねえ(プレイ済みの方ならわかると思います)。話はわりと盛り上がれてよかったと思います。はかりさんの初恋はナギじゃなくて乙女さんというのはまあしょうがない。女性でも乙女さんには惚れますから。素奈緒とかレズすれすれだったし。

〇チェリ√
チェリはまさに天使。可愛すぎです。中の人の声も相まって、たまに見せるにへらーっとした無邪気な笑顔や甘え声がたまらなく萌えました。カニのウザさをなくして代わりに萌え値を振り分けたのがチェリだと思います。(だからといってカニが可愛くないというわけではありませんので)
シナリオも一番良かったです。烏賊島での合宿や体育祭の野球はまさに青春してるなあと思いましたね。ナギがネコ先輩に、エイチにバッティングを教えてやってくれと頼む→練習の甲斐あってエイチが見事最終回にヒット→ナギがサヨナラにしてやるために走る…友情を感じて思わず目頭が熱くなりました。蟹沢ファミリーは対馬ファミリーと違い、ある程度開放的な親友関係って感じがしますね。前者はナギもチェリもジロも割と社交的な性格だからでしょうか。後者はスバルの事情もあって結構重みのあるグループと言う印象でしたし。いずれにしても、チェリ√というよりは友情√って感じでした。ところで、ノエルは女キャラに近い男の娘キャラとしてではなく裸の付き合いができるような一人の男友達として描かれていたのはよかった点に挙げられますね。自分としてはやっぱり男友達は多い方が嬉しいですから。

〇ネコ√
「鋼は鉄よりも硬いのだ」というさりげなく乙女さんをディスるようなネコ先輩の発言も、ナギにケツを散々弄られながらも猫が尻尾を振るかのごとく嬉しそうに尻を揺らしているのを見た後に聞くと全く説得力がないから不思議。というわけで今作のチョロイン代表であるネコ先輩ですが、正直話としては物足りなさが半端じゃない。というか他の個別でも言えることですけどね。チェリとかセフレのまま終わったし。ちょくちょく出てくる衣については結局このルートでもノータッチで終了。ネコ先輩のケツの穴が緩くなるように、物語の謎に対する当方の緊張感もそろそろ緩くなってきたころでした。ただやはり体育祭は飽きません。ヒロインの√ごとに盛り上がる競技が違うからでしょうね。それにしてもこのあたりからエイチが女キャラ並みに可愛く見えるようになったのは気のせいだろうか。体育祭のお昼休みにみんなで竜宮で昼食を食べる場面があるのですが、そこでエイチの弁当に親からの応援メッセージが描かれているのをナギたちに見られたエイチが恥ずかしそうにぐしゃっと崩して誤魔化すシーンは不覚にも萌えました。

〇子羽√
種違いの兄であるスバルを探し出して会うために住所などのデータを盗もうとする子羽ですが、このルートでは子羽の家庭事情が話として入ってきますので若干シリアスなところがあります。ですがそれほど気が重くなるようなものでもなかったですね。子羽が喧嘩強かったり足速かったりするのもスバルの血が多少なりとも入ってるからでしょうか。料理も割とできるっぽいこと言ってましたし。あとスポチャンも面白かったです。どのルートでもそうでしたが、きつねの存在感が無駄に大きいのはFDへの布石と考えていいのかね。けしかけられたチェリがちょくちょく本気で引いてるのは笑えます。常時パンストだったなごみに対して、子羽はへそ出しルックですが、これは貧乏で制服が買えない子羽が館長から瀬麗武の制服をもらいそれを着ており、胸が大きすぎるせいで制服を持ち上げてしまうということらしい。やめろよ瀬麗武が泣いてるだろ!ちなみに、子羽がナギをうしろから抱っこしてるCGは今作で一番きゅんとしました。

〇澄香√
4人クリア後に攻略できるようになるのがピュア子ということですが、まあ予想通りでしたね。OPとかでも明らかに他のサブとは違う扱いされてましたし。んでグランドエンド√でもあるこのルートでようやく物語の謎が明らかになるわけですが……結論から言うと微妙でしたね。今までの楽しい日常とはがらりと変わってシリアスなムードで話が進められていき、ミステリー小説のような展開もあるのですがもう散々衣クンがこそこそ動いているのを見てきたわけですからね。先が読めない、ってわけでもないですしそこまでハラハラドキドキさせるようなものでもありませんでした。つか竜鳴館燃やしたら来季の生徒会とか関係なくなるだろと。まあでもここではいろんなキャラに見せ場があるのでラストには相応しくもありました。いきなり室内で花火を始めたチェリには、いくらアホの子代表のチェリでもそれはアカンだろ…と思いましたが楽しそうな笑顔をみて3秒で許しましたね。個人的に一番印象に残っているのは、ナギを衣のもとに残してボンベを運ぶエイチが一瞬だけ昔のことを思い出すシーン。エイチがナギを本当に親友として大事に想っているのが伝わってきて思わず涙腺が緩みましたね。こういう友の絆こそまさにつよきすの醍醐味ですよ。

〇ノーマル√
さらっと終わるエンド、前作で言う幼なじみエンドにあたるルートですね。今作は幼なじみエンドではなく2-Cエンドでした。チェリ√が幼なじみエンドみたいなものだったからかな?蟹沢ファミリーに加えノエル、華砲、ピュア子、あとはもじょ先生と鳥一羽による楽しい2-Cライフが始まりそうな気がするぜ!という爽やかで結構すきなエンドでした。

〇総評
というわけで総評ですが、かなり楽しめました。前つよきすとの関係性はなくても別によかったんじゃ……という人もいらっしゃったようですが、個人的には成功だったと思います。随所にある昔のキャラ達のことだなとわかるような描写を見てニヤリとするのも楽しかったですし、青春の歴史があると言いますか…そういう物語をより楽しくする要素が竜鳴館と言う舞台にはあったような気がする。成長したカニが見れたのも嬉しかったですしね。というか綺麗すぎたな。
でも、やっぱり物足りないよなあ……。個別の終わり方がどうも「余力感」を残して終わっているものばかりですので、否が応でも続編への期待感が募るばかりですよ。
キャラの魅力については申し分ないですね。ヒロイン勢が可愛いのはもちろん、サブキャラも前作のフカヒレみたいなとりわけインパクトのあるキャラがいないにしてもそれぞれが平均して濃いので、文句なしに日常を楽しむことができました。特にエイチが気に入りましたね。最初はノエルの陰に隠れた存在感薄い奴だなあと思っていましたけど、彼ほど友達を愛しそして愛されるキャラはいません。
OPもよかったですねえ。つよきすらしいノリの良さと無印のOPを髣髴とさせる歌詞が上手くマッチングしていてクセになりそうです。BGMとかはまあまあ。

とまあ結構長々と書きましたが、とりあえず続編はよ。ただし2学期というタイトルは縁起が悪いので「つよきすNEXT 2nd Season」あたりでどうでしょうか。