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rex11i0444さんのCARNIVALの長文感想

ユーザー
rex11i0444
ゲーム
CARNIVAL
ブランド
S.M.L
得点
79
参照数
397

一言コメント

舞台が夏。二つの媒体を読んだ時、その夏の日々が、カーニバルの花火、その終わりの侘しさだったことを思う。

長文感想

話自体は第1シナリオの終盤でもう全容は察しがつくと思う。
人は神に愛されておらず、また世界も人の為になどできていない。全ての人を幸福に導く全能が現れたことは一度たりともなかったし、これからもない。誰しもが多かれ少なかれ相互を騙し不幸にして糧を得る、咎人たる全ての人はどう生きればよかったのか。それを考えた上で、この先をどう生きるべきなのか。
時に人は醜く救いようがない。だが生きている限り、握り合ったその手の指先を見据えて、変わっていけるはず(もちろん選択の結果がよりよい未来と決まっているわけではないが…)、そんなシンプルな問いかけ。
このテーマは後年、同原画シナリオコンビであり、開発を同じくし別メーカーで作られたswansongに通じていく。

エロはCG数割合からいっても薄い。エロ担当の詠美を筆頭に、おしゃぶり音は'04年と時代を考えれば頑張っているよう感じられるのだが。

CD版だが発売当時98でも現在7で再度プレイしても、パッチなしで問題なくコンプリートできた覚え。時々、総計30台詞ほどボイス抜けがある。環境のせいかもしれないが。
あくまでテキストを読むだけなら不自由はないが、環境の自由度は低い。
BGM曲共に優秀。シナリオ3などはピアノ曲一曲でほぼ一貫しているが苦痛にならなかった。

小説版の存在もある。ここまででcarnivalは完結するが、内容が内容であり、購読するかどうかは人それぞれ。稚拙にもストーリーを要約し書き出して思ったのは、媒体を紙本に移しても変わらないこの人の文章で、この物語を締めくくるべきだということ。

プレイ時間はシナリオ1・4時間20分、シナリオ2・1時間40分、シナリオ3・2時間30分。計8時間30分。愚者の館様攻略参考。
BGVなし、BGエロSEなし。


原画10/10 着色5/5 エロ9/15 ボイス2/5
ストーリー15/15 キャラクター5/5 テキスト10/10
音楽9/10 システム5/10 演出8/10 価格2/5
(フルプライスプレイ時間10時間未満-1)

印象に残った一言(木村学)逃亡中夏祭りの公園で理紗に出会って
「なんで、僕が気がつくと、いつも、そこに理沙がいるの?」