すめらぎ琥珀月間・幽鬼編。
基本CG86(内エロCG37)、回想78(内エロ26)。エロ1CG辺りの尺は2分(伊予精飲)から16分(由美初夜~翌朝)。平均7分。
エロはシチュこそ普通の絡みだが、最高級の原画と塗りが合わさっただけで使える。ボディーソープの質感などはとてつもない。同じ白濁色の精液とボディーソープを、それぞれここまで描き分けられるグラフィッカー陣はそうはない。しっかり黄色みがかった精液、汗で濡れる肌の照り返し、夜の暗がりの中での肌の上気加減など、変わらず最高峰の塗り。
スタッフロールを見る限り、グラフィック系スタッフは旧シルキーズではなく元エルフの人が多いよう。シルキーズのスタッフはほぼ全期間に渡ってペンネームであることがほとんどだったので、もしかしたら同一人物かもしれないが。ただ蛍光色が強かった旧シルキーズの塗り作風に比べて、シルキーズプラスはエルフの色を重ねたようなベタッとした塗りに、より近いように見える。
最初はとっぱらのような、妖怪という非日常性を用いた日常ドラマかと思っていた。だがプロローグの終わり頃から雲行きが怪しくなり、全く予想外の過程を経て、最後は同じヒューマンドラマへと行き着く。人間でない存在にヒューマンドラマ、人生の意味や生きる姿を見せられふと考えてしまったり、立ち止まってしまう瞬間が度々にあるのはなぜなのだろう。逆に人間でないからこそ重く、意義や理由のあるものに映る。
登場人物中数少ない人間である犯人は、動機から行動までまさにアミバそのもので、矮小な劣等感と自己顕示欲の塊に無感症という血の通わない鉄の鎧を纏わせた、まごうことなき外道。なんだか人間出身として恥じ入りたい気持ちで一杯です。親の虐待だとか心体の欠落といった、同情を引こうとするような設定がなかったのは良かった。徹頭徹尾クズのまま、憎悪を一身に引き受けて貰う為に。そうでないと遣りどころがない。
最後の琴莉ルートには二つのエンドがある。一つは視覚的にはとても救われる描写ながら、その実非常に救いがないように思われた。魂は摩耗していくのに、これから更に幸せな思い出を重ねていく。時間はどんどん減っていく。その瞬間を迎えた時、主人公が決断を下せるかというとできないだろう。彼女もその最期までをと、恐らくもう望まないだろう。存在がいずれ完全に消滅してしまうことは避けられない。
もう一方のエンドはとても悲しい。1枚目の絵、背格好からその出来事の数年後に見える。これは最初髪を染めた由美かと思ったのだが。主人公のその人生では由美と結ばれたのだろうと。だが2枚目の差分で間違いなく、いつかどこかで巡り会えたのだろうと救われる思いだった。別れの先には必ず再会があるのだなと。
七という数字には七代・七生、永代・永遠といった意味もあるのだろうか。元から永遠の伊予は外から寄り添う存在なのでここにはむしろ桔梗が入ると思うが、主人公を中心として七人が永遠に巡り会う、それがなないろリンカネーションという話なのかなと最後に思った。爺さんの嫁さんが生まれた鬼に久しぶりと声をかけたというエピソードも、そんなことを思わせた。
プレイ時間は、梓ルート(初回ルート)11時間20分、由美ルート(以下既読通常スキップ使用)4時間45分、伊予ルート2時間41分、琴莉ルート(続く日常エンド)3時間4分。琴莉ルート(リンカネーションエンド)18分。計22時間8分。
BGVなし(ボイス永続ループ機能あり)、BGエロSEなし、尻モザあり、淫語修正なし。
原画10/10 着色5/5 エロ13/15 ボイス4/5
ストーリー13/15 キャラクター5/5 テキスト7/10
音楽7/10 システム8/10 演出7/10 価格2/5
(着色+1)