メーカーがタイトルに入れないのならこの俺が言ってやる!この作品はフィクションであり、実在の人物、団体、事件などには一切関係ありません。旧古河邸もフィクションなの!
ストーリーはメインに身分違いの恋、サブに政治スリラー。後者を題材にしたエロゲは珍しいので結構期待していた。だが正規軍が現れただけで反乱兵の士気は喪失、隊は瓦解していく。
陛下と殿下をお迎えし、御大将に宮様を戴く状況である。賊軍が今更現れたとて恐るるに足らず。官軍は我が軍ではないか、大義は我が方ぞ!今こそ大君の醜の御楯にして護国の鬼とならん。軍旗を高く掲げよ!聯隊、総員着剣!皇国万歳!全軍突撃!
本来反乱兵はかくあるべきと憤怒で大興奮。戦闘に怯え逃げ出すくらいなら最初から反乱など起こすはずがない。これはおかしい。時代考証と軍服考証の再考を要求する!と乱心していた。最初は。
皇国という響きで、にーにーろくがモデルという先入観があったのだが、もしかしたらこれはヴァルキューレの方ではないかと後に思い立った。つまり首謀者の青年将校たちは意志決定機関を強襲制圧した後、大命を偽造して「指揮下にない」首都近郊の部隊を動員したのではないかと。だとしたら帝の皇長孫殿下が近衛を率いて進軍してくる光景を見て慌てふためくのも無理はない。兵は命令にただ従っていただけで今現在、宮様と畏れ多くも敵対している理由が本当に理解できない。
総統の死亡で親衛隊が反乱を起こしたと国内予備軍司令部から命令を受けて首都に展開したものの、突如総統大本営からその行動は反逆にあたる、即座にベントラー街を確保せよと背反する命令を受けたベルリン守備隊と同じ気持ちだろう。
こう考えると兵の「話が違う!」という台詞も理解できる。彼らは恐らく政府が帝に大逆しようとしているとかナントカで身辺警護の偽造命令でも受けていたのだろう。それに加担しているという自覚は皆無で。そこに彼らにとって絶対的なはずの宮様が自分たちを攻撃してくる。兵の士気は崩壊し、青年将校たちだけが最期まで抵抗するのは非常に正しい描写に思えてきた。とはいえこんなことは作中には書いてありません。全て小官の脳内からの産物であることをご承知いただきたい!
ただ第三帝国と違い皇国では、元首に銃口を向けて拘束→クーデターというのはまずありえないが。大逆を拒絶するという教育が当時は遺伝子レベルでなされている為に。後は帝の聖断で大戦の「途上」から離脱するというのもまず無理。フィクションだからね。
普通のまぐわいとはいえ回想は28枠と、こういったジャンルには充分すぎる数。一人2エロ入れておいたよ、といった義務感的な扱いでない点は好感。
件のクーデターシーンが盛り上がりに欠けたのが惜しい。古き良き邦画の、226や日本のいちばん長い日といった往年映画と比べるのも大概おかしな話だが、普通の背景絵にテキストのみで、文の調子自体も淡白。政治スリラーの緊張感をADVで表現するのは恐らく最上級に難しいだろうが、どうにか音楽やビジュアルエフェクト、イベントCGや背景調度品CG接写切替、兵のザッピング視点などで盛り上げて欲しかった惜しい作品。
決して結ばれないエンドや、生死の定かでないエンドなど、いくつかの結末は印象に残っただけに。
プレイ時間は、櫻子第一エンド(初回・バッド込み)7時間10分、櫻子第二エンド45分、櫻子第三エンド1時間35分、櫻子・橘子エンド1時間50分、鈴蘭エンド20分、橘子エンド45分、櫻子第四エンド(バッド込み)25分、櫻子第五エンド30分。計13時間20分。誠也の部屋様攻略参照。
BGVなし、BGエロSEなし、尻モザあり。
CG14/15 エロ12/15 シナリオ10/15 テキスト8/15 音楽6/10 システム5/10 演出5/10 価格7/10