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resolvedさんのキミとボクとエデンの林檎の長文感想

ユーザー
resolved
ゲーム
キミとボクとエデンの林檎
ブランド
ALMA
得点
80
参照数
587

一言コメント

琉奈・琴音ルートはとてもよく出来ていて驚きがある。CGも凄まじい高品質。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

榊原ゆいにゃんのために入手するも、ゆいにゃんの立場がないような本作である

琉奈・琴音
ともかく本作の女装は「その手の」フェティシズムとほとんど無関係といって良いのではないか。主人公があまりにも女性的過ぎる。「その手の」フェティシズムは女装する主人公が「男性」でなければ成立することはない。

とはいえ単純に無意味と化しているわけではない。それはあくまでも百合ゲーではないからだ。なんちゃら朝顔レジデンスというゲームはヒロイック・ヒロインに特化していたらしいのだが(実際にはそんなこともない単につまらんゲームだったけど)その言葉がふさわしいのは本作の琉星だろう。性別が二重に反転した乙女ゲーとみるとすっきしする。乙女ゲー系のライターが書いてるんだけど、これがかなり上手い。琉星と琉奈と琴音の三者による押し引きは、純愛ゲーという制約をあくまでも貫きながら美しく収束していく。

琉奈と琉星が本当に従兄弟であるかどうかは、本当のところは誰にも分からないのだろう。それでも良いじゃん!あんまり過去の深いこと言うと何もできないぜ!というメッセージとして受け取る必要があるのではないか。そうでなければ「わざわざ」隠す必要がない。(一応は結論として従兄弟であるというが、先行レビュワーのxianxian氏の言うように近親相姦であることを考えないわけにはいかない。ただし近親相姦もまた絶対にそうとはいうことができないのだ。)

琉奈・琴音シナリオの良さを理解できないというのはゲロ甘イチャラブシナリオのやり過ぎで女子力が足りん事態に陥っているからである。恋愛関係が一番楽しい時期は「付き合うまで」なのだということを百合とかイチャラブとかが大好きで仕方のない連中には訴えていきたいのである。あんなものは恋愛でもなんでもないのだ。まあ、たまにはゲロ甘イチャラブシナリオも悪くないんだけど。

雪乃・七海
このお話の収束はあまり綺麗ではない。というかあまり面白くはない。単純に話の尺が足りてないというか、練り込まれていない。たぶん上記の分類で言うなら、どちらかというと恋愛ゲームと言うよりもゲロ甘シナリオでいく予定だったのだと思うが、それができていないのだ。震災の影響をモロにくらったというのは分かるけれども、どうにかならなかったのかね。

かれん
全てがブチ壊し。上記2ルートは底にある方向性が違えども表面上は一体として構成されている。横の連携が弱くてヒロイン同士の関係が2者間で閉じられて三角関係以上に発展しないようにはなっているとしても。

このルートに関して言えることは何もない。琉星もヒロインたちも、こんなに粗雑な人間ではなかったはず。
なぜこのルートを作ったのだろうか?
はっきり言って理解できない。