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remikoronaさんのソラコイの長文感想

ユーザー
remikorona
ゲーム
ソラコイ
ブランド
Chelseasoft
得点
90
参照数
640

一言コメント

ソラおよびヒカリのみ。久々に幼馴染好きの血が騒ぎましたわ・・・

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

設定から見てわかるように幼馴染に焦点が置かれた作品。
まあやるよね(頭幼馴染)

 設定としては突如現れる幼馴染との対決モノ(?)。絶対ただの幼馴染ゲーで終わる気がしねぇよ・・・

・キャラ紹介

ヒカリ
 生まれたときからずっと一緒な現在進行形での幼馴染(便宜上)。同じ時間に生まれ、今までずっと一緒に生きてきた。

ソラ
 映写機の音とともに突然現れた自称幼馴染。ヒカリとはどちらが幼馴染にふさわしいのかと時折衝突することになる

アイリ
 女優志望の子。

ナミ
 寮長さん。映画大好き。ってかみんな映画大好き

・ヒカリ
 ソラと主人公が仲良くしてるところを見て幼馴染側がやきもきする話。一方主人公はヒカリと話さない日があることを通してどこか寂しさを感じるようになる。最終的にはヒロインから告白、その後結ばれる。内容自体はまあ普通。あんまりユーザー受けはしないかなって感じ。設定ありきですがヒカリの告白は幼馴染ヒロインの良さがよく出てると思います。お互いこれ以上ない幼馴染だねって発言から、「でも私はそれじゃ嫌、あなたのことが好きなの」って言葉はなかなか刺さるものありますよ。この場合説得力が大事なのですが主にOPまでの共通シナリオで十分証明されてます。ソラの絡みが強すぎてヒカリ自身はやや影が薄いですが、満足しました。
 結ばれてからのシナリオは映研で作った「青空の下」という作品が全国大会で優秀賞に選ばれ、主人公の腕が審査員のおめにかかり、海外へ留学することに。残った期間を一緒に過ごそうというお話。
 事前に説明することがあって、過去の共有とは、「王道系幼馴染における主人公と幼馴染が確かな仲および信用を得るための証明」とでも定義しておきます。例えば、「幼馴染とは昔~してたよな」とかそれに対して幼馴染が「そうそう、この時主人公がさ~」といったやりとりがあったとします。これはお互いが昔のエピソードを覚えており、確かな仲が証明される可能性があります。信用も似たようなものです。その上で以下の文章を読んでください。この子が他の幼馴染と一線を画していると感じた点は、過去の共有が異常なレベルで挿入されていること。設定上必要なところもりましたが、言葉だけとはいえその数の多さにびっくりしました。これをどう見るかは人によるのでこれ以上の発言は控えますが、このゲームの幼馴染が持つ強さだと思って見ることにします。

・ソラ
 終わってびっくりしました。
 告白前のお話はソラとヒカリの心理描写に重点を置いた感じ。かなりざっくりしてますがすみません。告白後は海外留学が決まるところまではヒカリと同じ。そのあとが違います。授賞式が行われることになるのですが、ここでソラの過去回想。内容としては、かつてヒカリと同じように海外留学を応援していたのだが、主人公の無理が祟って病に倒れてしまい、留学も主人公と過ごすことも何もかなわなくなってしまった。それからのソラは料理・勉強などなんでも出来るように努力を重ねた(あとおっぱいちょっと大きくなったとか髪型も変えたとかある。バストサイズが公式で微妙に違う理由となっている・・・のか?)。
 そんなソラが最後にやるべきこと、それはヒカリの気持ちにケリをつけること。そのために「最後の勝負」としてどちらが自分の気持ちを主人公に伝えられるか勝負することに。短くもヒカリの主人公に対する気持ちを伝えた際に、ソラが放った一言が下。

「タッくん・・・・・・あなたの幼馴染はあなたの事、こんなに大好きなんだよ・・・・・・」

エピローグは、ここで映写機が止まり、ヒカリが素敵な映画だったよと言うところで終了。
 良い意味の裏切りかなって感じです。やる前およびやってるときはソラちょっと嫌な奴だなとか世界線のどこかにヒカリの生死に関わるターニングポイントがあって、重い話が来るのかなぁやだなぁって思ってました。終わって見るとぜんぜん違いました。構図としては全てを失ったソラがヒカリの恋をしっかり成就させるため、あるいはヒカリに勇気を出して気持ちを伝えてほしい、という話だと理解出来たときには久々に幼馴染好きの血が騒ぎました。

 幼馴染のみの総評として、システム面や誤字脱字・一部分かりにくい疑問点や過去の共有の演出面での説得力の弱さなど突っ込みどころはありますが、概ね悪くない出来。個人的には題材に幼馴染が入っていたことや「チリ(幼馴染との思い出)も積もれば宝(?)」といった教えも頂けたので何も不満が無い始末。圧倒的にプラス要素が勝ってる、いい作品でした。

以下、コメント
・ソラルートについて、覚悟はしていましたがヒカリが泣きじゃくった話は堪えるのでやめましょう・・・と言いたいところですが、まあ必要悪なシナリオですから
・ヒカリルートについて、ラストの搭乗前での思い出語りの応酬は必見
・余談なんですが、批評に「過去の共有の演出面での説得力の弱さ」と書きました。確かに終わって見てもヒカリ側ではこれは思うところなのですが、ソラ側の過去シナリオやラストのたたみかけで帳消ししてると思えばむしろプラスなのかもです。ベストな捉え方ではないですがベターといったところかな