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remikoronaさんのパサージュ! ~passage of life.~の長文感想

ユーザー
remikorona
ゲーム
パサージュ! ~passage of life.~
ブランド
戯画
得点
70
参照数
972

一言コメント

ジャンルにもあるとおり幼馴染ゲーなのだが、設定を中心にいろいろ問題ありすぎる気がする。だが「複数幼馴染」に起きがちなgdgd要素はあまりなかったので人によっては良作になるのかもしれない。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

雰囲気は戯画らしからぬ(?)良いものだったと思います。サガプラのキサラギを少しだけ彷彿させる内容。住処違うけど。

 共通が全くといっていいほど印象に残りません。主人公と各幼馴染、そして幼馴染毎の絆を根拠付けるシナリオがくるのかな?という希望がありましたが、蓋を開けてみると学園生活を淡々と送っているだけでした。じゃあ個別で掘り下げてくれるのかなー?って思ってたんだけど、ちゃんと掘り下げられてた人いたっけ?レベル、少し掘り下げられてたの梨沙くらいじゃないかな。
 主人公への好意も意味がわからないです。梨沙は個別で一応好意の意味は理解可能ですが、他のヒロインの主人公への好意となる根拠が全く語られないのは少々問題です。幼馴染+ハーレム入れとけば人気出ると思ったんでしょうか。ピースの「ずっとつくしてあげるの」じゃないんだから。
 それから、卒業アルバム委員会って必要なのかなって思うことがあります。この部分の必要性について割と真面目に考えましたが、やっぱ思いつかないです。幼馴染達と活動してさらなる絆を!って言うコンセプトならまだ別にシナリオ考えたほうがいいと思います。
 というか、それ以前にもう少し幼馴染同士の幼少期や出会いなどを挿入するとか、ヒロインはそれぞれ商店の娘だったりするんだから、そこを活かした、例えば商店街活性化とかに向けた新たな同好会を作るとか色々あったと思うんですがねぇ・・・って思います。素人の考えなんであまりアテにはしないでください。

といっても、完全にクソゲーだというわけでもないと思います。ここからは良かったと思う点。
 主人公への好意を(おそらく隠してる?)周囲にはバレない程度に持っているという点は、複数幼馴染にありがちな個別の譲り合いな三角(以上の)関係の発生を抑えることができると思ったという点ではすごくいいと思いました。上手く使えばgdgdになりやすい複数幼馴染ゲーを良作化出来うるかもしれませんね。
 告白までの流れは全体的にいいと思います。主人公と幼馴染は「小さなころからずーっと一緒で、異性として意識してない」ことを一つコンセプトとしているはずですから、告白までの流れは非常に重要なファクターになります。幼馴染個別の基本的で重要な要素ですが、褒められるべき点です。
 魅力的なサブキャラクター(主人公の悪友除く)も良い点です。お願いします結衣攻略させてください


一応各ルート
・梨沙
 主人公の言動に非常にツッコミどころが多い。梨沙が主人公の目の前で買おうとしてるクリスマスプレゼントを察せないのはまだいい(この時点で普通のユーザーはおこになりそうだけど)。そのあと梨沙と買い物終わって別れる時に「あんたってさ、彼女欲しいと思ったことないの?」って聞いた時の主人公「それなりに欲しいと思うかなぁ」「俺だって年頃の男の子ですから、やっぱり恋とかしたいわけですよ」とかどの口がいうのか理解不能。まあ、主人公が幼馴染を異性として見てない設定なのかもしれないが、それだと共通の着替えの覗きや梨沙ルートなんかでちょくちょく異性として意識する仕草(ネックレスを付けたときに自然に胸に目がいくとか)などに全く説明がつかなくなる。ひどい解釈をすると、「年頃の男の子だから、女の子には興味あるし彼女作りたい。幼馴染も性的な目では見ているが、幼馴染含む女性の気持ちなんてわからないから自分からは行動しない。あからさまな行動があれば「やれやれ仕方ない」といった感じで動いてやるか。そういう時は・・・こんなこと言っとけば、まあ幼馴染だろうし落ちるだろう」みたいな?俺も何言ってるか分からんけど、率直に思ったことです。
 付き合い始めたあとのgdgdもこれ必要なのかなって思った。二人の性格上起きる事自体は良いとして、普通に読んでると突然「あんたの言ってることがゎかんなぃ・・・別れよ?」みたいな流れで、読んでる側は全く意味がわからない。構成は悪くはないと思うので、もうこういうシナリオってことで一応受け入れはしますが、到底納得出来るものではなかったです。主人公へ感情移入なんてしようものなら死にますねこれ。
 他ヒロインと違って個別ルートにちょっとした過去話があります。これが主人公への好意の根拠となる部分になるんですが、むしろこれは他ルートになかったことが問題なので、幼馴染として褒めるべき点とはちょっと言いづらいです。「幼馴染は必ずしも過去の共有がなければならない」と言われると少し悩みますが、幼馴染という属性に根拠を付けようと思うのであれば、過去の共有ほど使いやすく、かつ(失礼ですが)適当に書いてもある程度属性として通用する根拠もないはずなので、使って損することではないと思います。ライターっていうかブランドが幼馴染をもう少し理解してテキスト書いて欲しいかなと思いますね。
 褒められるべき点であるはずの告白の下りもこんなことを考え出すと吐き気がするほどのひどさに(鈍感抜きにして考えると梨沙ルートの告白シーンはそれほど悪くない・・・はず)。鈍感主人公死ねとは言わないが、意味もない鈍感設定をありがたく享受出来るような鋼の精神を持ったユーザーは今あまりいないような気がしますので、もう少し主人公考えましょう。お願いします。

・未央
 俺の中では比較的良心的。梨沙ルートの前だったので、告白まではスッと読めたのかもしれない。梨沙ルート後にもう一度検証してみたいが、こんなゲームを二度プレイする気力はありませんし、これからやるユーザーには検証不足(?)で申し訳ないです。とりあえず少しだけ言及すると、銭湯が潰れる(?)の下りにおける主人公の行動はそんなに悪いものでもないような気がします。学生が大人と同じ立場でお話が出来るとは思えませんし、幼馴染は幼馴染らしい年頃の商店街の救い方を画策してたのでしょう、と解釈したい。結果的になかったことになってしまったので、「この下り必要か?」とか思ってしまうけど個性なくなるから仕方ない。まあもう少し考えろとは言いたいが。言動での突っ込みどころは少なめ、ないとは言わないが。

・彩子
 特別文句のない個別。ってか個人的にかなり癒しとなったルート。幼馴染っぽくはないものの、屋上の告白の下りは一見の価値あり。彩子らしい告白だと感じました。幼馴染を語る上で、「どちらから告白するのがいいのか?」という議題がありますが、基本的に魅せ方の問題でどちらからでもいいと私は思います。なぜなら、幼馴染を異性として意識しないというのはヒロイン側も全く同じ話であるからです。少し補正あるかもしれませんが、桜川未央さんの演技でキテる感もあります。あと、お弁当ちゃんと作ってくるとか、主人公が風邪を引くとしっかり看病してくれたりおかゆ手作りしてくれたりってのは地味にプラス。
 ルートの流れは彩子自身の夢を見直すという話。実家が薬局だから自分も薬学関係の仕事につかなきゃ・・・って思い込んでたけど、主人公の看病を通して改めて「人の命を助ける仕事の素晴らしさ」を知ることが出来た彩子は、改めて薬学の夢を持つことに・・・といった感じ。可も不可もないですが、他ルートが他ルートだっただけに本当に癒しになったお話。多分一番好きなヒロインです。
 
・奈菜
 批評見る限りこいつが問題児っぽかったので覚悟して挑みましたが、思ってたほど悪くなかった。やっぱり告白のくだりは素晴らしい。そのあと奈菜のおじさんやその幼馴染達に色々と問い詰められるところは、なんだかんだ認めてくれてることを考えると2828が止まらない。やっぱり幼馴染っぽくないのが頭に残りますが、まあ悪くないかな。後半の展開は賛否あるかもしれませんが、どちらにしてもどっかで見たようなルート展開。「未熟な部分・若さを武器にして立ち向かえ」だとか「プロは納期までに一定のレベルの作品を仕上げないといけない」といった、改めてリアル人生で考えさせる部分はあるものの、・・・やっぱりどっかで見たような話。いい悪い以前にこれで金取るの?って話になります。もう少しライターは話ひねったほうがいいと思います。これが楽しいと思うユーザーが多ければそれはそれでいいと思いますが。

 相当皮肉になるんですが、この作品は「幼馴染」って肩書きだけあれば萌えられる人は楽しいかもしれませんね。