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remikoronaさんのこころリスタ!の長文感想

ユーザー
remikorona
ゲーム
こころリスタ!
ブランド
Q-X
得点
79
参照数
644

一言コメント

無駄のないシナリオの流れでした。・・・が、このシナリオをまとめるだけの文量が明らかに足りてないため説明不足なところも散見されたかな・・・。続編待ってます。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

 まずは軽く概要について。
 ネットにどっぷりと漬かったコミュ症な主人公は、ひょんなことからネットとリアルを行き来出来る「こころリスタ」を手に入れる。「こころリスタ」の使用を繰り返していくうちに現実でさまざまな問題に直面することになる。しかし、そんな厳しい状況にも主人公は少なからず充実感を感じるようになり・・・って感じ。

 キュークスにはまだブランドを維持して欲しくて特攻しましたなんていえない。
 話の内容的に誰にでもおすすめできるゲームではありません。どう考えてもヒロインには一癖も二癖も難があるし、主人公の行動にイライラを覚えることも少なくないです。しかし、「そんな主人公がさまざまな出会いを通して、物語の中で自然と成長していく物語」としてこの話を見るなら、個人的には十分当たりと言えると思います。物語を進めていくうちに明らかに主人公が人と話せるようになっていくのは見ていて(身に覚えのある)共感を覚えますね。総評して、ネットの情報だけでなく現実で人と関わることの大切さを説いている良いゲームだと思いました。でもゲーム中のネットでの出来事はあまり間に受けないようにしましょう()。余談ですが、個人的にはシナリオゲーとキャラゲーの中間くらいかなって感じがするんですが、シナリオゲーをちゃんと批評できる人がうらやましいですね。幼なじみのことしか考えてない私はこのレベルのシナリオゲーでも疲れます・・・


個別ルートについて

・星歌
 ラウンダー「歌賀キラリ」の外の人。名前めちゃめちゃヒントだったはずなのに、プレイ中ずっと雪音だと思ってましたすいません。こころリスタが消えてキラリも消えたはずなのにエピローグで星歌とアイドル一緒にやってる・・・っていうかキラリが再出現した理由は他ルートで語られるのかな?

・雪音
 ラウンダー「ミューティ」の外の人。これもはずした・・・。
 ルートのラストがものすごくポカーンとした終わり方でした・・・。テーマは「世話焼きな子が一番世話焼けませんか?」的な話だったと思います。前半はそれでよかったんですが、物語の後半で挿入されるこころリスタの暴走(?)な話が唐突に来た印象でした。でもって最後はコナ神という防止人(だっけか?)から逃げるために、ネットの世界からの脱出を手助けしたミューティと同化(?)。そのまま死ぬまで生活しようという話で終わりですね。ところでネコ耳雪音の回想シーンはないんですかね?
 これは自分が見逃しただけかもしれないんですが、雪音の「対価」が分からなかったような気がします。まあ本人も「あまり使用してないけど・・・」とか言ってたので、もしかしたら体感できてなかったのかもしれません。ちなみに星歌はオ○ヌーだったかな。

・さち
 ラウンダー「メガミハート ペンペ」の外の人。これはさすがに当たるね・・・
 この子だけシナリオ不遇と聞いたので不安でしたが、幼なじみ属性スキーとしては満足しました。終わってみると加点要素と減点要素がはっきりしている印象かなと思いました。uプレートを用いて二人だけの秘密回線を作り、さちが旅行しながらでも主人公とたあいもないやりとりを行う様子はこの設定ならではの大きな加点要素。共通で主人公がさちにおんぶするシーンは結構2424してました。減点要素として特にひどいと感じたのは幼なじみの特権とも言える「過去の共有」がいい加減に扱われすぎていること。以下は特にひどいと感じた例です。

「昔主人公がおぼれたことあったよね」
→「今はそんなことない。じゃあ50m泳ぎきってやるからもし出来たら何でも言うこと一つ聞いてくれ」
→「泳ぎきったから告白するわ」
(実際はもう少しオブラートな展開ですが、ざっくり言うとこんな感じ。あと告白を賭けにしたことは後でフォローするシナリオあります)

 話の直後に突然泳ぎ出すというのが個人的にん?ってなりました。自分でも結構細かい指摘だと思います。多分これ以外は特に問題ないんだと思います。あと、ここでは書ききれないくらい細かいツッコミ所がありますが割愛します。(多分俺だけですけど)お兄ちゃんって呼ばれて「この幼なじみ仁兄(さちの実兄)を重ねてるのかな」とか、いきなり幼なじみをノーパンにしてアルバイトさせるとかありますけど気にしたら負けです。総評としては幼なじみとしての魅力を裏付けるシナリオはやや薄いですが、ライターの力量なのか1から読んでいくと謎の説得力があったと感じたシナリオでした。まあそんな幼なじみでした。私は好きです。余談ですがこのシナリオ最後まで読むとこころナビが起動したくなりました。

・マリポ先輩
 ラウンダー「桜森 舞夢」の外の人。ルートに関しては一言だけ。親に同人誌捨てられてキレた真理歩がネットに閉鎖的なルーム作って暴れてる・・・ってこれってもしかしなくてもギャグ枠ですかね?

・メルチェ
 ラウンダー「魔ア子」の外の人。これは多分誰も外さないと思います
 外に対しては一見普通の女の子なのですが、家族との信用関係がボロボロでという割と良くある話。あっさり終わった印象が強いですね。メルチェは個別ではなく共通の清涼剤として活きててくれたのでむしろそっちを評価したいのだが。

・アルファ
 ことの発端となった子。共通は終始うっとうしいキャラなのでやや注意かも
 ここに「こころリスタ」のそもそもの話の流れを簡潔に記します(推測が多いのですが許してください)。1世代前、ルファナというラウンダーにウイルスが干渉したことによって作られた「こころナビ」という魔法のブラウザ。なんやかんやあって平行世界へと飛び立った(と推測されている)ルファナはネットの世界に自分が生まれた証として、あるいは平行世界と行き来出来る入り口のひとつとして世界樹が設立された。この時、「こころナビ」側のヒロインである今関凛子はこの世界樹を現在まで解析していた。凛子は危険だと分かりながらもルファナのクローンを作ろうとしていたのだ。しかし、そのとき生まれたラウンダーの見た目はまさしくアルファそのものだった。ルファナが世界樹の中にデータとして残していったのか、突然変異で性格を持つようになったのかは定かではないが、アルファには確かな人間味を持って主人公の前へ現れ・・・・。そして批評の冒頭で説明した概要という流れです。本当にざっくりしててすいません。
 アルファの生まれと凛子さんからちょっとした昔話なルート。プレイ推奨とまではいかないですが、やっぱり前作「こころナビ」はプレイしたほうが楽しめるのではないかと思います。ってか凛子さんがすげぇってなるルートのようにも感じました。割と楽しかったです。特にエピローグはややご都合主義ではあるものの納得のいく終わり方のように感じました。


以下、コメント
・「幻月のパンドオラ」というゲームをやってたときも思いましたが、このゲームのセリフは一つ一つが心に刺さりますね。特にエロゲプレイ時における考え方に力が入っている印象が強かったので、これからエロゲを始める人にはこのゲームにおいてエロゲで考えるべきことを学んでおいて損はないかもですね
・他ブランドゲーと比べて萌えとはやや違うベクトルのグラフィックに感じられましたが、個人的に超好みなので問題ありません()。メルチェが立ち絵からエロすぎてどうしようもなかったです
・ラウンダーとの回想シーンがルートによってまちまちなので、確定で1枠欲しかったなぁと思ったり思わなかったり。こころナビと同じ理屈で出来るんじゃないのかと何度思ったことか
・全体的にエピローグで違う子供を抱えすぎじゃないですかね。CGだけ見てたらヒロインとの子に見えるんだけどなぁ
・こころリスタの対価がぼんやりとしてたなぁと