不満点がないわけではないですが、概ねいいんじゃないでしょうか?
感想の前に大前提として、この作品は決して万人受けするような面白いものではないことに注意しながら読んでください。
はじめに、このゲームの概要を少し説明していきます。
主人公には双子の妹(病弱な未優、ツンとしている優衣)がいる。幼馴染である愛美に面倒を見てもらいながらも、平穏な毎日を過ごしている。
ある日、父親から突然電話が掛かってきて、「お前の妹のうち、どちらかの妹とは血がつながっていない」とカミングアウトされる。妹には内緒にするよう頼まれるが、どちらか一方の妹と血がつながっていないことが分かるとこれまで妹として意識していた二人を異性として意識するようになる。妹達の行き着く先は一体どこに・・・・といった感じ。
まず、「お兄ちゃん好き好きー」な妹にある程度の耐性があることが前提になります。片方はお兄ちゃんをひたすら誘惑してくる妹で、もう片方はそれを見て「なにやってんの・・・」って感じでツンツンするという、まあよくある妹達。展開そのものは良く言えば王道、悪く言えばありきたりなのですが、思っていたよりはマンネリ化しなかった印象です。
それからヒロインはあと2人いて、文芸部の部長さんと主人公の幼馴染がいます。文芸部の部長の方があまりキャラ立ちしてなくて、今でもどんなキャラだったかイマイチ思い出せないのはマイナス点(一応お嬢様設定とかあった気はしますけどね)。幼馴染はキャラ的な問題点は特別ないですが、性格的な意味で癖が強く、ただの腐れ縁(?)に見えないこともない。幼馴染らしさが毎朝朝の弱い主人公と妹起こしと、主人公の家でよく料理を作ってることくらい?ですかね。
評価出来る点が多かったと思います。まず、この時期のゲームとしては比較的スラっと読めるテキストであることが一つ挙げられます。萌えゲーとして良くまとめられたテキストではありますが、反面物足りないと感じる人も多いと思います。
それから、思っていたより主人公が良い奴だと思いました。主人公はかなり気遣いの出来る人間で、例を挙げると、妹達でプールに行くエピソードで妹二人が溺れてしまうのだが、サブキャラに「妹とキスしてる!?スクープだ!!」とか言われても、主人公は「こんな扱いを受けようが妹二人が助かるなら安いものさ」と中々男前な発言をされてたりします。こういったものはゲーム中に随所に配置されているので、↑にも挙げられたように読んでて全くイライラしません。個性にやや欠けるシナリオとテキストではありますが、なかなか読んでて楽しいと思いました。余談です。どことは言わないですが、ブランド毎の個性は大事だと思いますが、オリジナリティあふれ過ぎさせて、結果として内容がユーザーに伝わらなかったり、展開がgdgdになったりするのは少々考えもの・・・だと思います。
先ほど妹達を有り体に言って「そこら辺に転がっているようなよくいる妹」と言いましたが意外とそうでもないと思いました。まず妹の双子って設定がそこら辺にはなかなか転がってないですからね。特にツンツンしてる方の優衣にこの感情はありました。ツンツンしてるというと嫌悪する人も多いかもしれませんが、どちらかというと主人公の前では素直になれないというだけ、でした。このヒロインは口にはしないですが、本質は唯のお兄ちゃん好き好きな、ただの駄妹です。主人公の性格も幸いして、お互い信頼してるんだろうというのがしっかりと見えてくるので、個人的にはこの点は相当ツボに入ってくれました。概要にもあった、「お前の妹のうち、どちらかの妹とは血がつながっていない」とカミングアウトされる前後における主人公から見た妹の価値観の変化を見ていくといった話は、単純ですが意外と無かった設定なんじゃないかと思います。
ただし、褒められる点ばかりではありません。まず、シナリオは決して長くないので、「質より量だ!」という方は注意して下さい。
私はエロゲとかやってる時グラフィックとかあまり気にしないですが、そんな私でも作画の崩れが少々気になります。公式にあるCGだけを見てみてもその片鱗は見えてきます。妹達とお風呂に入るCGでは未優の左手が個人的にはすごく気になりますし、神社で水浴び(?)をしている幼馴染のCGでは桶の持ち方が少々おかしかったりすると感じます。また、立ち絵に関しても、妹二人共々に言えることなんですが、(おそらく口元が原因だと思いますが、)妹らしさを感じない立ち絵だなと感じることが多かったです。
各ルートについて
・未優
すごく変な違和感を感じたルート。親には「どちらかが主人公とは血が繋がっていない」と言われいるはずなのだが、未優が事故にあった後に何事もなかったかのように優衣が「特殊な血液型が合致するから」という理由であっさり解決することに非常に違和感を感じます。もう少し詳しくことを説明すると、主人公と妹のどちらか片方が妹ということになり、もう片方は妹ではないということなので、妹同士はぶっちゃけると赤の他人同士ってことになります。この二人の血液型が一致している可能性自体はA型B型で語れるようなレベルなら十分に合致できうるとは思うのですが、このルートは未優自身を「特殊な血液型」と言及しているので、(どちらが主人公の本物の妹かは作中では語られないですが、)確実に赤の他人であるはずの優衣と合致する可能性は極めて低いのではないかと考えられます。先ほど補足で語った、「ゲーム中はどちらが本物の妹ではないのか語られない」ことがこの下りにおいて非常に致命的となっています。ここからは仮定と想定されうる結果を予測してみますが、仮に未優が義理であれば、未優自身の血が足りない下りについて主人公と優衣は輸血がほぼ不可能な状況になるため、確実に未優が死ぬことになります。逆に優衣が義理の妹である場合でも、未優と優衣が赤の他人であることに何ら変わりがないので、輸血の下りを理解することが困難になります。というか、このシーンで主人公が輸血するって話になれば、このルートにおいては「血液型の観点から優衣が義理の妹である」ことが確定的に明らかとなるので、ユーザーにほどほどに考えさせる意味でもそっちの方が良かったのでは・・・って思いました。
このルート自体ではあまりよくわかりませんでしたが、優衣ルートも合わせてやったところ、こちらが実妹のようです。主人公の母親である亜衣そっくりだと父親に言及されるシーン、未優自身の「あたしとお兄ちゃんには切り離せないつながりがある」、「(優衣には)それがないと知っても、別の強い絆があれば大丈夫」(原文ママ)という発言でほぼ確定でしょう。それこそ主人公に輸血させて欲しかったな・・・って思います。それで物語は完璧な構成になっただろうと思うだけに残念です。
・優衣
ルートそのものは、カップルになった二人が舞い上がりすぎてしまい、「このままじゃ危ない」と思った未優と主人公の父親が乗り込んできてひと悶着あったお話でした。この子はルートそのものよりも最後に悪役者として動いていた二人の会話が非常に重要になります。この会話でどちらが実妹かが分かるので、そういう意味では非常に重要なポジションです。ぶっちゃけみてくれはこっちのほうが好きだったりします。上でネタバレしてますが、実妹は未優の方で、こちらのヒロインが義妹になります(一応推測っぽく二人は会話してますが、誰が見てもどちらが実妹かなんて一目瞭然です)。どのみち最後にどちらが義理の妹か言っちゃうんですがね。
・愛美
告白までの流れはかなりあっさりしてる。短いのが少々マイナス点になってるのか、幼少期の結婚の約束(?)が取って付けた感が非常に気になる。その後もちょっと主人公が幼馴染に対する独占欲が強すぎる気がしてならないのは少々引っかかりますが、まあ普通かな?といった感じ。妹恋というメインタイトルがあるので、あまり幼馴染を立たせたくなかった思惑があるのかもしれませんね。上にも書いてるとおり妹そのものも全く評価出来ないほどのひどさはないので、「幼馴染はメインじゃない!!」という見方でなんとかなると思います。はっきり言うと、幼馴染はついでみたいなもん。でも幼馴染をないがしろにされてもあまり不快な感じはしないので、まったり幼馴染と結ばれたい方はそれなりにおすすめです。幼馴染の家庭事情がよくわからなかったり、突然同棲を始めたり~なんかの下りは少々意味不明だったりしますので、少なくとも仮定がよくわからないまま恋人になりたくないという人には辛めの幼馴染であることに変わりはありません。ひとえに萌抜きゲー(?)の弊害でしょうかね。
・穂花
特筆することが特別ないヒロイン。はっきり言うと、いらない子。この子絡みのシナリオ共通個別ごっそり抜いても多分話は成立するくらいいらないヒロイン。概要で話さなかったんですが、この子は手芸部に所属しています。手芸部は部員が足りなくて、廃部になりそうなところを主人公と妹達が入部することによって救われる、そこから奇妙な先輩後輩の関係が出来上がっていくという流れが一応共通にあります。ただ、手芸部の活動自体は基本的にはテキストだけで、手芸部という点が妹・幼馴染ルート共々全く影響を及ぼさないので・・・あとはお察し下さい。つまり数合わせのヒロインです。残念です。せっかくのロリ巨乳みるさんなのに・・・もったいない。
以下、コメント
・妹達は双子って設定ですが、全く似てません。設定上、一応意味はあります。
・声優は割と豪華。その割に主人公のもう一人の幼馴染(サブ)の声は少し棒かな?って思ったり
・上の方ではコメントしてないですが、地味にBGMが好きだったりします。もちろんOPも大好きです。
・エクストラシナリオで未優にパイズリされたうんぬんの下りをテキストだけじゃなくてしっかりシーンをですねぇ・・・