時系列の管理や各章の絡みが上手く構成されている良作。残念ながらエロゲとしては目に見えて分かりやすい華のようなものがなかったためか、セールス的には失敗してしまったのが悔やまれる。
Nail処女作『Present for you』に匹敵する良作だったのに、
ブランド前作『As you like』がイマイチだったのと、暗い雰囲気が仇になったのか、セールス的にかなり振るわなかったようである。
今までの作品のような「おねだりシステム」「ぷにぷにシステム」のような微妙なエロシステム、
無理に作った感のある萌えヒロインを廃止し、シナリオで真っ向勝負した作品。
ファンタジー要素がありつつも、現実にある重いテーマ(医療ミス・臓器移植)を扱っているのが特徴。
私がDEEZさんのシナリオに初めて触れたのは、今は亡きコンシューマギャルゲーメーカーKIDのアペンドシナリオだった。
その時にシリアスで最後に心温まる作風に惹かれて、Nail作品もチェックし続けた。
だから今作はDEEZさんの本領が発揮されていたと思う。
今作は時系列もかなり綿密に管理されていて、登場人物・物語に深みを増している。
ただその弊害として
・Hシーンを無理矢理入れている
・エロゲなのに説教臭い
という弱点がある。
良作だが、厳しい言い方をするとエロゲーで発表するには適さないシナリオだったというのが結論である。