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redtintさんのあけいろ怪奇譚の長文感想

ユーザー
redtint
ゲーム
あけいろ怪奇譚
ブランド
シルキーズプラスWASABI
得点
85
参照数
580

一言コメント

シリーズものということで『なないろリンカネーション(以下、前作)』と、どうしても比較することになるが評価が難しい。前作のボリューム不足を改善しようとしたのは伝わったし、個別も結末が色々で面白い。でもシナリオのメリハリと瞬間風速は前作の方が上。悩みに悩んで前作よりちょっと高い85点。理由は美里さんに萌えたから(笑)。ここではあまり人気なさそうだが。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

フローチャートが力作なのは理解を示すがテンポが悪くなるので、
ここまで分岐を複雑にしなくても良かったのではとも思った。
最終ルート開放時の演出だけはフローチャートで良かったが。

シナリオは基本コメディだけど、シビアなところはしっかりシビアで安心のかずきふみ節。
会話でのキャラ立てが上手いので全ヒロイン魅力的。
主人公と恋仲で終わるエンドではないヒロインがいるのも好印象。

前作に引き続き、Hシーンのテキスト(会話)はとにかく素晴らしい!!
Hシーンの会話がほぼ手放しで褒められるライターさんは、他は土天冥海さんくらい。
今の流行りなのだろうが、好き好き言うか喘ぎ声だけとか、
抜きゲーでもないのに「おまんこ喜んでるぅ~~」とか実況系の台詞ばかりのエロゲーが多い。
かずきふみさんは、キャラに合った自然な会話をHシーンに入れてくれる。

Hのちょっとしたダメ出しや要望を伝える【トモダチ彼女】な佳奈、
前のHのとき思っていたことをポロっと言って照れるベルベット。
この2人は特に良かった。

キャラ萌えはまさかの美里さん。
過剰なタレ目と甘ったる過ぎる声であまり興味がなかったが、個別で萌え殺された。
主人公のことが好きなのは分かり切っているところからの調理が上手い!
まさかの主人公対象限定の変態(褒め言葉)+好奇心のカタマリ。
それで突っ走るだけではなく、主人公との年の差や
ずっと守ってきたことへの義理で、主人公が自分と恋仲になろうとしているのではないかと
逡巡する大人の面のバランスがツボに入った。

グラフィックは安定の高水準。
すめらぎ琥珀さんは巨乳も貧乳も魅力的に描ける貴重な絵師。
『あけいろ怪奇譚』というだけあって、特に夕日の関連の着色が美しい。
良く見るからかもしれないが、全員集合後のタイトル画面が1番お気に入り。
ベルベットの髪の毛が夕日に透けているのが特に綺麗。