実在の場所や出来事をモチーフにしたシナリオ(プロット)は藤木節で良かった。でも過程の描写があまりに素っ気なくて、エンターテイメント(読み物)としては落第点。特に公式で強調している【恋】がお粗末なのは痛い。この点数は最初から恋愛描写は期待しておらず、藤木節を楽しみにしていた自分主観の点数なので甘め。【恋】を期待すると、-20点くらいになるかと。
今作は藤木節のSF作品という感じ。
前作の『運命が君の親を選ぶ 君の友人は君が選ぶ』より、
扱っているテーマ(遺伝子学)が自分好みで楽しめた。
逆に全体的に人物の心情に説得力がなかったのが致命的。
主人公の義父・神代沈香の妄執はもっと凄みをもたせられれば、
話全体に奥行きができたと思う。
紫シナリオは心情描写が雑過ぎて失笑。
1回だけHしてちょっと会ってないうちにいきなり最後の山場。
紫「自分が犠牲になれば全て丸く収まるかもだけど、
大好きな主人公と生きていきたいの!!
他のヒロインたち、私のワガママのために犠牲にしてごめん。
主人公の義父の実験も結果的に台無しにするよっ!!」(意訳)
↓
主人公の義父「私の十数年の実験への執念が、少女の恋する気持ちに負けるとは。」
……。
紫の葛藤の描写が殆どないため感情移入できず、
恋する気持ちに負けたと言う主人公の義父の執念も
相対的に安っぽくなってしまっていて泣けた。
CGの使い方にも不満が残った。
そっくりだそっくりだという人たちの一枚絵が、
似ていなかったり、目が隠れていたりで、
そっくりであることに驚きにくかった。
藤木氏は恋愛描写があまり上手くないので、
学園ものは避けた方が良いと思うのだが。
今作も学園ではなく研究所が舞台の方が良さそうだった。