結論から言うと期待外れ。藤木氏らしい薀蓄だけは楽しめた。最初のプランから大幅に縮小した、もしくは完成に近づいた時点で大幅な修正が入った印象をヒシヒシと受ける。恋愛やエロ要素も絶望的。体験版でえこや老師のじいさんの話が面白いと感じられなかったら地雷だろう。
シナリオはヒロインとくっつくルートの手抜きがひど過ぎるが、
「ライターの本当に好きなように書かせてもらえた」ということから、
本編に力を入れるため、簡単に済ませたのかという解釈もギリギリできた。
でもどう見ても大事でないシーンでイベントCGが使われていたり、
立ち絵がなく、イベントCGでしか登場しないサブキャラがいたりで、
「これって当初考えてたものから、大幅に下方修正(ボリュームダウン)した?」と思った次第。
折角素材はいいのに、全体的に説明不足。
特にメイン級と思われる梨鈴と枢のシナリオが短くて、
あらすじだけを見ているかのようだった。
ベタながら話としてまとまっていたえこシナリオと、
オカルトに科学的回答を提示した未来シナリオは及第点。
藤木氏の最大の特徴と言える、
現実の舞台(街)や史実とフィクションのミックスも、
過去作と比べると薄味で食い足りない。
藤木氏のソロ作品が12年ぶりということで期待が高まり過ぎたことは否めないが、
それにしても残念な完成度だった。
また『ELYSION』のような社会系・国際系のネタで、
親父(男)キャラは3人は据えた新作を希望。
できれば5年くらい以内に……。