ErogameScape -エロゲー批評空間-

redtintさんのローズガンズデイズ シーズン​1の長文感想

ユーザー
redtint
ゲーム
ローズガンズデイズ シーズン​1
ブランド
07th Expansion
得点
70
参照数
1237

一言コメント

娯楽性は高く、爽快感もそれなりにあるが、キャラクターがやや魅力薄。読んでるときは楽しいけど、後々まで印象には残らなさそう。グラフィック面は原画を竜騎士さん以外が多数手掛けていている上、塗りも向上したのでかなり見栄えが良くなった。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

敗戦国の民として個々人で生きていくのが大変な架空の日本が舞台の、
夜の仕事の女たちの互助会である【プリマヴェーラ】での話。

辛い立場のプリマヴェーラの仲間たちが力を合わせて、
困難に挫折しそうになりながらも、力を合わせて困難を乗り越えていく様子は、
『ひぐらしのなく頃に(以下ひぐらし)』を彷彿とさせる。
『うみねこのなく頃に(以下うみねこ)』の後半、『彼岸花の咲く夜に』で悪目立ちした
説教臭さも殆どなくなったのも良い。

だが残念なことに竜騎士さんの過去作よりキャラに深みがない。
せっかく登場人物の平均年齢が高めなのに、
「こんな一面もあったのか!?」と思わせるキャラゼロ。
うみねこでは魅力的な大人キャラが多数いたのに、なぜこうなってしまったのか。
更に主人公を含む用心棒たちは基本的に力任せに戦うだけで、
ひぐらしのように各人の長所を活かした戦い方でないのも物足りない。

「戦後のアメリカ・中国の示威のための日本復興競争で、古き良き日本は消滅し、
物語の舞台であるアメリカ管轄の23番市では、
日本人は西洋人風の通名を使うことが慣例となった。」
という設定は面白いのに、金髪や緑髪などのキャラデザで、
西洋通名を名乗っていても違和感なしになってしまっている。
なのでこういう登場人物たちに日本は変わった~と言われても、
日本が根底から変わってしまったことによる悲哀が伝わりにくい。

全体の感想としては素材は悪くないし駄作でもないのだが、もうひとつ足りない感じ。
(但し、メインヒロインのマダム・ローズが合わないと地雷になる可能性大。)

何だかんだ言いながらも読んでいる間は楽しかったし、
バトラーの狡猾さ、ウェインの青臭さ、ステラのオンオフの差は悪くない。
主人公のレオの過去話(戦地でのエピソード)、
プリマヴェーラの話の語り部であるマダム・ジャンヌ(※注)の、
1947年での立ち位置など気になる謎も多数あるので、一応シーズン2も購入予定。

※注
ローズガンズデイズは2012年にマダム・ジャンヌが日本人記者に、
1947年の昔話を語っているという設定。