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redtintさんのずっとつくしてあげるの!の長文感想

ユーザー
redtint
ゲーム
ずっとつくしてあげるの!
ブランド
PeasSoft
得点
60
参照数
848

一言コメント

男キャラも含めて、全員が主人公を持ち上げるご都合主義ゲー。7人のヒロインは多すぎて、コンプするのが大変だった。シナリオもあってないようなものが殆どで、立ち絵もおかしいものが多い。一枚絵が綺麗で純愛ゲーにしてはHシーンが豊富なのと、和奏がキャラ・シナリオ共に好感を持てたのは良かった。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

共通・個別問わず、とにかく主人公に都合のいいご都合主義の世界であるのは承知の上でのプレイが肝要。
当然のように7人のヒロインの好感度は最初からMAX。
そして7人のヒロインが主人公のお嫁さんの座を目指すべく、より主人公に尽くせるのは誰かと競争するのだが、
主人公が最終的に誰を選ぼうとみんな簡単に納得。

肝心のお嫁さん競争も、主人公が昼休み&放課後に目当てのヒロインの元に向かい、
週末はヒロインの誰かを指名するという状態なので、“競争”という印象とかけ離れている。

競争後の個別シナリオで波風が少々立っても、「私たちは幼なじみだから」の一言のもと、
主人公の言動は全キャラに何でも受け入れられ、助力や賞賛を受ける。

ヒロインもツンデレ・天然元気・寡黙一途・健気・優しいお姉さんなど、
どこかで見たような手垢のついたヒロインばかり。

シナリオ進行のテンプレもひどく、肝心の告白シーンについて全ヒロインが、
自分たちで資金を集めた打ち上げ花火の日に、皆が主人公の好きなヒロインを察知してお膳立て。

「ああ、皆の言う通り○○のことが好きなんだ。」と告白……という状況。

自分が推察するには、複数ライターの作業を完全に分業するために、
こういう柔軟性のない形式になったのではないかと思う。
柔軟に分担できれば、例えばお嫁さん競争のときに
「お昼に複数のヒロインがお弁当を持ってきて選ぶ。」ということもできたはず。

この完全分業は原画も同じのようで、
過去の回想シーンや、全ヒロインと温泉に入ったときの1枚絵に全ヒロインが描かれておらず、
和奏の結婚式のCGに弟の大和が描かれていないという不自然なものが目立った。

良い点としては一枚絵の美しさと、
7人もヒロインがいるのに1人当たり5シーン程度Hシーンがあること。
あと和奏が魅力だったこと。
他のヒロインが猪突猛進で押せ押せのアタックしてくる中、
絶妙の引きをみせた和奏のアプローチは印象的。
更に「主人公と一緒にいられればいいの!」的なヒロインばかりの中で、
自分の夢を最初から明確に持っていたのは好印象。

結論を言うと丁寧に作ってはいるのだろうが、力の入れ所がズレている印象を受ける作品。
ヒロインを半分程度にして、Hシーン以外の1枚絵を増やし、
ライター及び原画家同士の連携をもっととるようにしたら随分印象が変わったと思う。