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redtintさんのnarcissu 3rd -Die Dritte Welt-の長文感想

ユーザー
redtint
ゲーム
narcissu 3rd -Die Dritte Welt-
ブランド
ステージ☆なな
得点
80
参照数
410

一言コメント

価格が1,500円と安価なので評価は甘め。今作は複数ライターのため、『narcissu』という作品に対する解釈の違いが興味深い。残念なのは原画担当が変更されたこと。特に男性やバイクの描画力がないのが目についた。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

個別シナリオ感想※気に入った順

<メサイア>主人公が久也のシナリオ
ベテランライターのさすがのクオリティ。
冒頭の伏線には完全にやられた。
心情描写が素晴らしく、メインの2人にどんどん感情移入していける。

<姫子シナリオ>
同人本で既に読了。
姫子と優花の友情に感動。
良作だったので、今作に収録されたのは純粋に嬉しい。
PSP版にできれば声付きで収録してほしい。

<小さなイリス>ヒロインがIris(イリス)のシナリオ
1、2も含め病気で死生観を描いている中での異色のシナリオ。
『銀色』の1章のような運命に翻弄される少女の話。
切り口を変えたので新鮮さはあったが、『narcissu』っぽさは若干弱くなったか?
でも片岡ともさんらしくはあるので、片岡ともさんの作風が好きなら満足できるかと。

<死神の花嫁>ヒロインが安佐乃海璃のシナリオ
話としては決して悪くはないのだが、【泣き】のシナリオになってしまっているのに、違和感を覚えてしまった。
自分にとって『narcissu』は、重いテーマだが泣きや感動の作品ではないためである。

<シーラスの高さへ>ヒロインが楠木ちさとのシナリオ
他の3作品のライターさんと比べ、このシナリオのライターさんは経験が圧倒的に足りないようだ。
主人公とヒロインの無駄な会話(特に序盤)があまりにも多過ぎてイライラしてしまった。
本人の実力不足もあるが、制作責任者の片岡ともさんももうちょっとシナリオを推敲するように指示しても良かったのでは?
せめてテーマを明確に感じられれば救いもあったのだが、テーマを訴えかける力もあまりにも弱い。

※公式サイトにシナリオ名が紹介されていないので、シナリオ名の横にヒロイン(主人公)名を添付