改善すべき点は多いが、非常に魅力的な作品だと思う。
最初はネットの評価を見てもあまり惹かれる要素はなかったんですが、
個人的には「思わぬ掘り出しもの的名作に出会った」という感じです。
この作品の魅力について。
真っ先に挙げるべきは「主人公と幼なじみヒロイン2人の関係の描写」でしょう。
他の方のレビューを見ても誰も挙げないのが不思議なのですが、
私が一番強く魅力を感じたのはこの ≪幼なじみの絆≫ の部分ですね。
特に主人公が幼なじみ二人に対して兄貴分のような強い保護意識を持っていて、
何か揉め事が起きる度に「上手く仲裁しなければ」と四苦八苦する辺りは、
見ていてとても微笑ましい気分になりました。
キャラが全体的にガキっぽい性格設定で、序盤はその辺がやや鼻に付くのですが、
ストーリーを進めるにつれ
「このキャラは陰でこういうことを思ってたんだなあ」みたいな部分が見えてきて、
最終的にはどのキャラクターも大のお気に入りになりましたね。
「プレイヤーの見方を変えればキャラの印象も変わってくる」というか……
逆に言えば、キャラ自体はゲーム内であまり成長しないので、
その辺「合わない人は最後まで合わないまま」ということもあるのかもしれませんが。
このゲームの欠点について。
特定のヒロインと恋人同士になってからのラブラブ展開が異様に短い。
途中まで文化祭の話がメインに関わらず、
後半は学園描写が完全に削られてて消化不良。
後半のシリアス展開が駆け足すぎる。等。
この辺の構成のバランスの悪さがどうもネックですね。
本作は全体的には作りが丁寧で全体的にレベルの高い良作なのですが、
手放しで褒められないのは、やはりこの辺がひっかかるせいでしょう。
次回作で欠点を上手く克服できれば思わぬ名作に化けると思うだけに、
期待したいところです。
あと欲を言えばモブキャラもフルボイスにして欲しかったです。