怖ろしい程の作品。これを超えるものはなかなか無いだろう。
難を言えば、少なくない数の未回収の伏線及び謎が残ってしまっている事だ。
しかしそれを差し引いても。
発売から約15年。
影響を受けた作品群が跋扈する中で、未だこのオリジナルを超えるものは無い。
蒼色輪廻などは影響を隠すこともなく、むしろオマージュの作りで独自のアレンジを加えているが、ゲームとしてのポテンシャルが違いすぎる。
正に、ロールプレイング。主人公と一体となって「冒険」をしている錯覚を覚える。
物語はとても痛い。話を進める中で、何度心が挫けそうになったかわからない。
それも恐ろしい程に引き込まれてしまう、この作品の持つ魔力がそうさせるのだ。
主人公の痛みはプレイヤーの痛み。
こんなに同調する作品は、他には無い。
再プレイするのが躊躇われるほどだ。
今回、機会あって再プレイに踏み切ったのだが、この作品に対する評価を改める必要は無かった。
初めてプレイしてから相当な年月が経ち、私自身、数多の経験し、少しはYU-NOに対する崇拝意識のようなものを払拭できるかと淡い期待を抱いていたが、見事に一蹴された。
これをやらずにゲームを語ってはいけないかもしれない。
できることなら、リメイクを。
そして、今度こそどのような批判も付け入る隙が無い完全なYU-NOを見せてほしい。
また私には、痛みを越える覚悟を決める時間が必要になるかもしれないが。
それが叶わぬならば、まだ見ぬ誰かが、いつか、この悪魔のような作品を超えるようなものを作ってくれることを期待して待っていようと思う。