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racernassy476さんのサクラノ詩 -櫻の森の上を舞う-の長文感想

ユーザー
racernassy476
ゲーム
サクラノ詩 -櫻の森の上を舞う-
ブランド
得点
90
参照数
161

一言コメント

歴代著者の引用文や幸福の先の物語を、美術の世界観に溶け込ませた超大作。言葉で説明するのが難しいほど色々考えさせられるメッセージ性の強さを伺えたし、何より登場人物の心理描写などをしっかりと書いているのが美しい。凛√と里奈√から最高潮への準備に取り掛かっているのが見えて、どの場面で伏線回収をしていくのかを見るのがとにかく楽しい。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

更新予定

御桜稟√:キャラ47/シナリオ43
主人公が絵を描かなくなった理由、吹の目的、雫と稟の関係性等分からなかった部分がだんだんと分かる√ですが、個人的に前半は集中せんでええよなって気持ちになって流していました。
告白シーンは良かったんですけどね...。
シナリオゲーと言われるくらいだから当時は早くシリアス面を見たかったのかな...。
長山香奈の行動は現実にもわんさかいそうなゲスっぷりでしたねぇ、まぁ主人公にダル絡みしていて良くない反応されるくらいだから予想はしてたけど。
しかしメッセージ性のある最骨頂の場面を作ってはくれたので一応香奈には感謝しています。
主人公が稟に言った台詞が√のテーマだったんだろうなぁ...。

√は終わりましたが、これでもまだ佳境にも入ってないんですよね。
雫と稟、雫と吹等、説明が曖昧だったりされてなかったりするので後ほど公開されるのかな。
因みに香奈の声優を見て3度見したのは内緒です笑





夏目雫√:キャラ46/シナリオ47
稟√で明かされなかった謎や稟と里奈の√で少し出た昔話、直哉と健一郎、雫と吹と稟の関係性を事細かく書かれており、共通√からの伏線をここまでかと言わんばかりに回収していてうわぁマジかと声が出ました。
吹の事は稟√で少し書かれていたけど、あの展開になるのは予想出来なかったですね...。
直哉と父健一郎の会話が1番印象に残っており、最後のシーンで感動しました。
憎まれ口を叩きつつもやはり親子、固い絆で成り立ってるのが分かってそう書きますか...と思いましたね。
直哉カッコよかった...。






夏目藍√:キャラ44/シナリオ37
Ⅴ章全体を見るに香奈か圭の印象が強く、どちらかと言ったら圭の√だったのではないかなと思っています。
それぞれの目線で書かれた直哉への気持ちがどんなものかが分かる√だったと感じましたね。
シリアス面でのショックは強く、あの展開は急すぎるし予想外でしたね...直哉が藍に問いかける部分はかなり心を抉られましたし。
藍のポジション的には√とは言いづらいですが、直哉の救いになれるなら良しとしています。
直哉がヒーローと呼ばれる理由もそこにあったのかな...。

個人的に気になるのは伏線についてです。凛が語った、幸福な王子の燕が伏線になるのは分かったんですが、それ以外がちょっと分からなかったです。これって一体どういう事だったんですかね?
とある動画のコメント欄の引用します。

『圭は最初から死ぬと予想できてもやはりつらいものがありますよね。
「ケイという名前」「夏目という苗字」「主人公の親友」「幸せな王子の燕」
これだけ伏線があるからわかってたとはいえ、生き残って欲しかった。死なないと物語が進まないけど、やはり生きて欲しかった。』





鳥谷真琴√:キャラ43/シナリオ42
真琴の目線で書かれた直哉と圭、2人を美術の道に引きずりこもうと陰ながら努力する理由、真琴の両親と圭らの複雑な関係が明らかになり、テーマとしては才能を持った者たちに憧れるも決して手の届くことのなかった少女の話を書いてあるのかなと感じましたね。
恋の流れは複雑な家庭で育った真琴からした幸せについても書かれており、共通√から直哉の絵に固執する理由も頷けました。
1番印象に残ってるシーンは愛とその他を天秤にかけた所で、人生とは選択の連続であり自身が最善だと思う選択をするのは他でもない自分だというメッセージが込められいるのかなと思うけど、究極の2択を迫られた時と選んだ先の果てをどう書かれているのかを集中しながら読んでいました。

果たして真琴は幸せになれたのか。
その答えは彼女のみぞが知る──。






氷川里奈√:キャラ45/シナリオ46
稟√で少し出てきた千年桜の謎や、優美や主人公との出会い等を劇中シーンや夢を交ぜながら書いており、それぞれの人物の心境などが分かる√でしたね。
√としての面白いところは優美のボケと里奈のツッコミくらいかなぁと言った印象です。
思わずに里奈と一緒にツッコミ入れていましたが笑

シナリオ面で印象に残っているのは、稟と優美による里奈と主人公への想いを打ち明けるところです。
里奈√だから里奈と結ばれる前提で話を進めなきゃならないのは言うまでもないんですが、報われなくても好きな人のために尽くすという精神がキャラとしての強さも持っているんだと感じました。
この√入る前には優美の当たり具合にやられて優美にあまり良い印象を持たなかったのですが、里奈と優美のキャラ対比や回想シーンが上手く書かれているのと主人公と里奈への想いを打ち明ける事でだんだんと良い印象に持って行くことが出来ました。

そして分岐から入った里奈&優美√での意味深な終わり方、あれは優美なりのケジメをつけたんじゃないかなと思っています。