米国風ハードボイルド世界とヒロイックファンタジーが融合した異色作
舞台は一昔前の米国製ハードボイルド映画。しかし、登場人物はエルフや竜人、リザードマンなどのファンタジー世界の住人。通常なら悪役のリザードマンが愚直なまでに正義の警察官で、エルフがジャンキーのチンピラ。というように、従来のお約束を破りまくった設定。ただし、成功しているかというとかなり疑問。工夫しすぎてイマイチな創作料理みたいなミスマッチ感覚も否定できない。
男性声優が異常に豪華。ただ、これは魅力のひとつではあるのだが、絵とキャラ立てが声優の力量に完全に負けているため、個々のキャラは声優が依然演じたアニメや洋画のイメージを引きずっている。とくに、シドの行動なんて「逆シャアかい」と突っ込みをいれたくなるありさま。
さらに商業作品としては絵が少なすぎる。絵を数えると絶対量はそれほどでもないのだが、テキストが普通より多いため、結果的に絵の無いシーンが続く結果になっている。このため雰囲気が足りず盛り上がりに欠け、演出面での評価は大幅に下がる。
さらに、魅力を感じられる女の子がいない。セルマとヴァレリアのふたりがかろうじて及第点だが、それでも他作品の準ヒロインクラス。他は圏外。しかも、今回はブランドの特徴である男性キャラも魅力が弱い。殺し屋レイスとガラ警部のふたりがギリギリ及第点。シドとランドはキャラの魅力ではなく声優の力だろう。
エロゲ、ギャルゲを求める人は絶対回避。ただ、テキスト量は結構多いので、ハードボイルド映画とヒロイックファタンジーの両方が好きな人なら、それなりに楽しめるかもしれない