傑作と佳作の中間。間違いなく秀作の域には達しているSFラブロマンス
前作で冒険しすぎて失敗した反省なのか手堅く鉄板。メーカー本来の得意な構成に戻り、セオリーに従い物語と世界観を構築してきたタイムパラドックス物というかパラレルワールド物。オーソドックスな本格SFラブロマンス作品。
以下ものごくネタバレ
開発途上のタイムマシンの影響なのか、複数のパラレルワールドが混在したり、パラレルワールド間を移動する違和感をうまく使っている。通常なら「シナリオの不整合」といわれる状況をわざと作り出し、ちょっとだけ可能性の違う異世界を移動する感覚を表現している。本来なら同時に存在できない人間が同時に存在して恋をする状況は真実を知ると切ない。ラブロマンスSFの王道パターン。
魔法の国から戻ると、同時に存在できない人間は当然片方だけしか居ない。このため、トゥルーエンドは必ずしもハッピーではない。それ故に、全クリアした後の感覚は達成感より、(存在できなくなったキャラのせいで)喪失感が強い。
設定と展開に本格SFマインド全開な部分が感じられるので、のいじ絵で萌えたいだけの人には後半のシリアス展開が重たく感じるかもしれない。正直なところ自分でも結末に納得できない。でも、間違いなく「やって損は無いゲーム」。
シュレディンガーの猫とオズの魔法使いと聞いて萌える人なら絶対に買い。