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putさんのキラ☆キラの長文感想

ユーザー
put
ゲーム
キラ☆キラ
ブランド
OVERDRIVE
得点
90
参照数
795

一言コメント

泣けて笑えて、バンドの魅力に惹かれていった。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

●一週目共通ルート(1~2章)プレイ後の感想
1章もよかったけど、2章が逸脱でした。
なんか、みんなであてもなく旅行に行く。それだけで青春ですね。
名古屋でのところでずっと女装するって提案された時は笑わせてもらいました。
駅のホームに座ってるとき、向かい側のホームの人が第二文芸部のオリジナル曲を口ずさんでるシーンも好きですね。
今思えばこのシーンが、はじめてキラ☆キラで魅力を感じ、ストーリーに惹きこまれる要因になったのだと思います。
正直、名古屋のときも大盛況だったしバンドとして舞台でミスることは無いと思ってたので、きらりの挫折にはびっくりしました。
まさかあのきらりが、舞台であんな失敗をするとはね……。
その後のシーンもかなり心にきました。ワゴンが故障し、主人公が雨に打たれきらりを車から引っ張り出したシーンは思わず涙が出てしまいました。(他に泣いた人はいるのかな?)
こういうシーンで萎える人もいるかもしれないけど、自分は好きだなぁ。いかにも青春って感じで。


 ◎2章の樫原ルートプレイ後
 このときは、まさか沖縄まで行くとは考えてもなかったですね(笑
 
 沖縄から東京に帰るフェリーのシーンでは、自分の旅行が終わるみたいに名残惜しい気分でした。
 ゲームでこんな気持ちが味わえるとは思ってもなかったですね。
 
 てか、沖縄で実質6日働いて、1日休みだったんだからバイト1週間もしてたってことかな。
 一週間で旅行終わるとか言ってた気もしたんですが(ぁ
 大阪で路上ライブだけを5日間したはずだし、期間は半月くらいなのかな。羨ましい。
 (↑これ書いたときは樫原ルートしかやってなかったので旅行内容が変化するとは知らなかったです)


 ◎2章の石動ルートプレイ後
 個別によって2章の終盤も変化するんだなぁ。普通に沖縄行くと思ってたんだけど神戸と岡山に寄ってびっくり(笑
 というか、岡山でであった翠は、一体なんだったんだろう。立ち絵も用意されてて声も良かったのに、サブヒロインとは残念(違
 とりあえず農村のイベントは意味不明でした。なんの意味があるんだろう?
 今からプレイする3章に何か秘密があるのかなー?


 ◎2章のきらりルートプレイ後
 広島のホテルを夢遊病みたく出て行ったきらりの顔を見てマジで鳥肌が立ちました。本当に怖かった。
 ギターを弾くシーンは何かの伏線なんだろうねぇ。

 福岡でのライブシーンは非常に燃えました。
 なんだろう。集中していくにつれて周りの風景が白くなっていき、眩しくなる。これはわかるような気がします。
 今までプレイした中で一番燃えたライブシーンですね。




●樫原ルートの感想
たった今、樫原ルートを終えてきました。
感想としては、思ったよりは良かったな、という感じです。
最初の態度を見る限り、老人の説得は絶対無理だと思ってたんですが、案外簡単に打ち解けたのには拍子抜けしました。(まぁ、説得は出来てませんけど。)
無理やり食事の席で話し合う機会を作り、自分たちの思ってることを素直にぶちまけるってのは別にいいんですけど、その間老人は常に黙っていて、次に喋ったときには生気が失われてるのは説得力に欠ける気がしました。
確かに過去に建一のことでトラウマになって思い出したのかもしれませんが、このシーンが案外短かったのも原因でしょうね。
まぁその後の話は、老人とうまく打ち解けられて、一緒に釣りに行ったりだとか「次くるときはどうせなら秋に来い」だとかで、うまく作ったなぁという印象でした。雰囲気良すぎ。
そして最後、電車で帰宅してる最中のバンドの仲間+αでからかわれてるシーンもかなり良かった。あのシーンがあるのと無いとでかなり後味が変わる気がする。
そしてEDですね。このとき流れたTravelerがいい曲すぎる。いつの間にこんな曲を作ったんだか。。
てか、ED後にプロローグがあると思ったのに、直後にタイトルに戻ったのはびっくりしたなぁ。

まとめです。
私が個人的に感じた不満がなければ、サブヒロインルートとしてはかなりレベルの高いものになったと思います。主観ですけどね。
それにしても、強引に家まで押しかけて無事に解決って、いかにもご都合主義なゲームって感じですね(笑
まぁこの場合のご都合主義は好きですけどね。
最後に……斎木さん良い人すぎ。




●石動ルートの感想
数分前にEDロールを見てきました。相変わらずプロローグは無いんですね。
家族に振り回されまくりでしたね。理不尽だけど見逃されがちなことに目を向けたストーリーだと思います。
それはそれで再認識させられたんですが、ストーリー的には面白くなかったですね。
私は両親が二人ともいるので、感情移入がしづらかったのが原因かもしれません。

ただすごいと思ったのは普通のエロゲと違って、個別ルートに入ってもバンドのシーンを入れて、シリアスな話が肌に合わないプレイヤーにも飽きさせないような工夫がしてあったことです。
卒業式を乗っ取ってライブとはどういう発想なんでしょうかね(笑
いかにも第二文芸部がやりそうなことです。

まとめです
やっぱりキラ☆キラは恋人うんぬんって話よりもバンドのほうが良いね。
樫原ルートのときは無かったけど、個別ルートに入ってまでサプライズをしてくれた第二文芸部に万歳。
ただ、それ以外のシリアスシーンは微妙でしたけど。
極論かもしれませんが、バンドのメンバーとはカップルにならずに、みんなで楽しくバンド活動に専念するってのも良いかもしれないですね。
ヒロインルートの他に、そんなルートが用意されてたら良いなぁ……。




●きらりルート(きらり死)の感想
急展開すぎました。なんできらりを殺しちゃうんですか?
いくらストーリーを作るうえで必要だったとはいえ、メインヒロインを殺すのは心が痛みます。他のキャラならいいってことでもないんですけど……。
あまりに残酷なんではないでしょうか。。。とにかく悲しいです。

きらりが死んだあと、バンドがHAPPY CYCLE MANIAになってましたが、私はやっぱり第二文芸部じゃないとダメな気がしました。
HAPPY CYCLE MANIAの話事態1~2時間で終わりますし、その間に出てくる千絵姉・樫原の姿を見てしまうとどうしても学生時代の話を思い出してしまいました。死んだきらりのことも。
この手の話は好きではありまんが、最後のライブシーンは非常に良くて涙が出てしまいました。(「ライブの中には沢山の感情があります」辺り)
特に泣けるシーンでも無かったのに、涙が出てきたことは初めてです。
やはり、キラ☆キラというゲームは素晴らしいと感じました。
バンドって良いなぁ。


●きらりルート2(きらりデビュー)の感想
きらりの父さんが情けなすぎる。
確かに本人からしてみたら辛いのかもしれないけど、いくらこんな状況でも実の娘にあんな仕事をさせるってのは正気の沙汰ではないでしょう。
本当に追い詰められていたんですね。
主人公がきらり父を発見したときの主人公の葛藤はすごい臨場感がありましたけど、ここで人を呼ぶのを躊躇うのもどうかと思ってしまいました。

「学校というのは、いろいろな人が人生の一瞬だけ交わることの出来る場所」
↑文脈は忘れましたがこのようなことがゲーム中に書いてあって、プロローグでは非常に納得が出来ました。
昔、第二文芸部で一緒に泣いて笑っていた旧友が、今じゃ全く違う方面にいて、ごく稀に会うことしかできない。
これが大人になることなんだなぁと実感させられ、非常に切なくなりました。
大人と子供ってこんなに違うんだなぁ。悲しいですね……。





〇総括
主人公の心情が事細かに記述されており、非常に心に響くようなテキストが印象的な作品でした。
特に第二章が良かったです。細かい感想などは上に記述してあるので割愛しますが、本当に心に沁みました。

個別ルートは……普通ですね。可もなく不可もなく、という感じです。
ただ、きらりが死亡するルートは本当に鬱になるので、やめて欲しかったです。この分岐を消して欲しいと思うくらい。
というか、これが一つのBADエンドで、きらりがデビューするのがトゥルーエンドなのかな。違ったとしてもそう思いたい。

あと、個別ルートの他に第二文芸部の皆でバンドに生きるルートも作って欲しかったです。
これさえあれば100点は無くても95点(きらり死亡ルートで-5点)くらいはつけてたかもしれませんね。
歌もお世辞なしに素晴らしい曲ばかりでした。毎日プレイヤーに入れて聴いてます。


最後に、このような素晴らしいゲームを開発してくださったスタッフさんに感謝!本当にプレイしてて楽しかったです。
あと、このような駄文を読んで下さった皆さんがた、本当にありがとうございます。

(明日からはカーテンコールをプレイしたいと思います)