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putさんの車輪の国、向日葵の少女の長文感想

ユーザー
put
ゲーム
車輪の国、向日葵の少女
ブランド
あかべぇそふとつぅ
得点
100
参照数
858

一言コメント

何回も度肝を抜かれた

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

法月が何故、あのような冷酷な高等人になったのか。

法月が以前、社会に反感の意を持っていたのは皆さんも知っているはず。
そしてアリィに、本編5章に似たようなことをやられ、法月は失敗して社会の歯車に呑み込まれていったのです。
5章のバッドエンドからも分かるように、賢一が5章で仲間を殺してしまったら冷酷な高等人になっていたのです。法月が冷酷な高等人になったことは、これと同じことです。
しかし賢一たちは、捕まっても、それでも、法月たちから逃げ出すことに成功します。
自分から逃げ出す賢一たちを見て、昔の自分を思い出していました。恐らく、数年も忘れていた、社会に対する反感の意が蘇ってきたのでしょう。
そして、弟子に最後の試練を与えます。洞窟から逃げ出すというのは、概ね予想の範囲内。竪穴から賢一と姉以外が登ってきたのを見計らい、皆を気絶させ梯子を落とします。
そして見事、賢一は姉を背負いながらも登ってくることが出来ました。
賢一の姿を見た瞬間、穏やかな気持ちになりました。「何故かは解らないけれど、自分にも懐かしい感覚が芽生えている……。」
――それは、法月が長らくの間失っていた感情、私情。

森田賢一、いや、樋口健は、私の思った以上にやってくれる奴だった。
私もアリィにやられたように、賢一を冷酷な高等人に仕立て上げる為の儀式を執行しようと企てていたのに……。

そして最後、法月は特別高等人バッジを投げ捨てた。
こんな、私情を完全に蘇らせた私が出来る仕事ではないし。

↑これは「車輪の国、向日葵の少女」プレイ後の感想で、「車輪の国、悠久の少年少女」発表後に書いた訳ではないです。