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puraperorrkさんのH2O -FOOTPRINTS IN THE SAND-の長文感想

ユーザー
puraperorrk
ゲーム
H2O -FOOTPRINTS IN THE SAND-
ブランド
得点
91
参照数
563

一言コメント

今ここにある この確かさは 君と共に感じる 幸せさ

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

H2O、FOOTPRINTS IN THE SAND、TOMORROWなど曲は文句なし、BGMも素敵でした。

シナリオの感想ですが、
共通ルートでは閉鎖的な村社会における差別、それに起因するいじめが全体として関わってきます。
盲目の主人公・琢磨が自らの無力さ、"いいこと"”悪いこと”とは何なのかをひたすら悩み、葛藤する。
いじめを見たことがない人間はほとんどいないでしょうし、資本主義社会の基盤を成す能力による自由は必然大小の差別を生むことにもなります、なかなかにプレイヤーの精神を抉ってくる展開です。
あくまで琢磨視点で触れるため本編中見えなかった事情は委細省きますが、一個人の弱さ、世界の大きさにどうしようもなく目を向けさせる内容と言えます。
個人的には、共通ルートで琢磨に"共生"ということの必然性を叩きつけるのはなかなか面白いと思いました。
というのも、H2Oに母の存在があることは間違いないです。まず母親が死ぬところから始まるなんてエロゲでは異常事態とも言えますね。
ですので感想は"母"について書いていきますが(たぶんメインの感想は他の方が書いていらっしゃるでしょう)、
頼り頼られること、琢磨にはこれが乏しかった。盲目という障害があるからこそ一層頼り頼られることには敏感だと思われがちですが、

「だって、弘瀬の心は何処にもないもの」
「弘瀬は誰にも心を開いてないもの」
「弘瀬は、嘘つきのままだもの」

と、はやみから言われてしまいます。さらにひなたルートでは弘瀬家の介入でいじめが"なくなる"わけですから琢磨の無力感、悲劇は尋常ではないでしょう。
こんな時に身を任せたい相手として、母という存在があります。が、琢磨にはいない。他に求めるしかないんです。
つまり母親探しの物語ですよ、H2Oは(大嘘)
まぁ私は近親相姦が大好きなのでこう解釈したわけです。

人類の普遍意識としてエディプス・コンプレックスがあります。フロイト的解釈に基づけば、思春期になると社会的タブーによってその欲動が抑圧され、超自我として内在化してしまうので一般的に表に出ることは多くありません。
しかし、恋愛対象に母親のイメージが付きまとうのは誰にでも起こり得ることです。
本作品では母親が最初に死ぬ、徹底的なまでに琢磨にそれを意識させる、要はマザコンです。
こういった話は全く珍しくなく、日本では源氏物語や越前竹人形、海外、特にフランス文学では当たり前のように出てきます。
また、本作品が意識したであろう「砂の上の足跡」ですが、人を最初に背負ってくれる存在は母親でしょう。
キリストも聖母マリアから生まれたわけです。

さて、母親に強制的にシフトして感想を書きましたが、ひなたルートのように完全にそれと分かるものだけでなく、
母親探しは本編通して行われているとは思います。
アトゲーになると事情が変わってくるのも面白いですね、ただしひなt(

結論として母親はエロい、エロゲーだもの!!!
…私が好きなのは兄妹の近親相姦なんですけどね、「第2の複製」ってやつです。

とまぁ突っ走った感想ですが、H2Oは本当に面白かったのでオススメの作品ですよ。
あまり触れられてなさそうなところに目を向けただけで、本編の良さはまた違ったところにありますから。
…はまじ可愛いとか