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puraperorrkさんのギャングスタ・リパブリカの長文感想

ユーザー
puraperorrk
ゲーム
ギャングスタ・リパブリカ
ブランド
WHITESOFT
得点
88
参照数
787

一言コメント

キャラクターが魅力的な"キャラゲー"です

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

発売からずいぶん経ち、アルカディアの情報も出てきました。
そろそろガチめのネタバレしてもいいかなって時期になったので、私が好きなシーンの感想を書こうと思います。
ネタが割れるどころか台詞をまんま引用するのでプレイがまだの方は申し訳ありません。
気に入ってるのは希ルート終盤のこのシーン、

こおり「叶は…希ちゃんのことが心配じゃないの?」

「心配に決まってるだろ」

こおり「お母さんが二人を心配するみたいに心配はしないの?」

「………………」
「ふつうの意味での心配はする。1個人として、希という1個人の心配をする」
「だけど、俺はもう、希と同じ世界に入ってしまってる」
「希と結ばれるという問題に関しては、希のことは自分のことなんだ」
「自分のことだから、心配するものじゃなく、ともに乗り越えるものになってる」
そう、俺はもうそういう覚悟を決めてしまっているのだ。
……覚悟というのはすこし違うかもしれない。
希とともに生きはじめている。
ただ、それだけ。                                    (BGM:Orchestral score)

ここです。
プレイしているときは号泣しましたね。そもそもこのBGMがめちゃくちゃ卑怯ですし、何より言葉が良かった。
キャラクターの台詞じゃなくて、もはや人の言葉でした。本当に最高のキャラゲーだと思います。
この前に希が母親について言及するシーンがあること、こおりが言ってることなどもよく出来ていたと思います。
他の対立ルートやエンドが面白かったので希エンドが好きな人は少ないかもしれません。
が、アニメ漫画ゲームは日本の誇るモラトリアム文化だと言い放ち、ヒロインの中で唯一職を持っていて、誰よりも幼い希が私はダントツに好きです。

閑話休題。

一般的に親子や兄妹はお互いを誰よりも心配出来る立場だと言えます。
いくらでも親子愛、兄妹愛を謳った物語、伝承、美談はありますし、容易に想像出来ますね。
現実的にはそんなことがなかったとしても、これら無償の愛、お互いを心配する気持ちを求めてしまうものです。
親子や兄妹はその典型例なのでしょう。
さて、では兄妹同士で心配してはいけないことって何か思いつくでしょうか?
あくまで私個人の意見としてですが、それが兄妹同士の恋愛の場合に発生するのだと思います。
というのも、近親相姦なんて禁忌は相手に犯させたくないとお互いに考えているはずです。
だからこそ心配して心配して心配して、それでも我慢することの出来ない自分に気付くのだと思います。
このラインをお互いが飛び越えてしまったらもう一直線です、心配する段階はとっくに終わってるのですから。
一般的にも何も、人類普遍の禁忌として近親相姦は有名です。
自分の知り合いにそんなカップルがいたら、きっとこう思うでしょう。
もっとちゃんと考えなかったのか。将来のことはいったいどう考えているんだ、と。
でもその二人とっては真剣に心配し合った結果です。
そしてこの心配こそ、誰よりも心配し合える、そう思われてる兄妹関係でしてはいけないことなんだと思います。

こういう文脈で私はこのシーンを読んでいました。
みなさんはこのシーンをどう解釈をしたんでしょうか?
このゲームの他の人の感想は読んだことないので分かりませんが、アルカディアを終えたら色々読んで周りたいと思います。

その前に、妹とともに生きはじめている。って言いたいですけどね。