構成を致命的に誤ってしまった作品。非常にもったいない。
ヒロ視点で沙耶が死ぬまで→事故に関わった人々3人の視点→ヒロ視点の沙希√
この構成が非常にまずい。沙耶と沙希を直近におかなかったことによって、
沙希√での泣き度が半減する。
なぜなら、キャラが死ぬことによって泣けるのは、簡単にいえばそのキャラと過ごした生前の日常やイベントの積み重ねが想起されるから。
この構成のせいで沙耶の生前の印象が薄れてしまう。
他にも、沙希√では沙耶の死を乗り越えるのがゴールとなっているわけだが、
この構成のせいでその達成感も減ってしまう。
あと他の3人に関しても、雛√以外、泣きゲに必要な要素が欠落している。キャラを死なせればいいってもんじゃない。
キャラの死に、あるいはそのキャラに関する不幸に、何らかの感情を想起するためには、
その生前の日常、あるいは不幸に見舞われる前の日常がある程度は書かれている必要がある。
それなのに、山吹の母や、睦月の母との日常はほとんど書かれていない。
正人視点、睦月視点の√の目的が、その死を乗り越えることにあるとしても、
死がお粗末に感じられてしまう。そしてそれにより乗り越えたことによる達成感も減ってしまった。
ただまあ雛√だけは泣けた。
あとなんで、タペストリーとか、そして明日の世界より―とかだけ日常ゴミっていう理由でけなされてて、
これはその理由でそんなにけなされてないの?こっちのほうがはるかに日常眠く感じたんだが。