2017年現時点でトップの出来。
最後まで飽きない。
昨今のエロゲ業界を俯瞰したら、
その１点だけでも100点つけてもいいのではと個人的に思っている。
見どころは終盤、
一馬の意図が読者に伏せられたまま
鬼畜な行為でヒロインたちを蹂躙する過程。
直前に春日部がゲス野郎に変化していく過程の描写がある。
『SWANSONG』でクワガタが鬼畜化していくのと同様の自暴自棄を感じた。
非常に巧みな描写である。
「やらなければやられる」理論によってタガが外れ、
際限なく欲望が発露し、
最後には自分が何をしたかったのかすら分からなくなる過程である。
これと同じ変質が一馬にも起こったのかといった絶望感を読者に感じさせつつ、
最後の最後で一馬の意図を明かすことでささやかな希望を残す。
『SWANSONG』同様、絶望一色の中での希望（でも主人公は死ぬ）という、
感動せざるを得ないラスト。
出色の出来である。
また、一馬が手を欠損する点も、
尼子司が腕を欠損した点に符号する。
身体の一部を欠損したとしても
諦めない主人公。
俺TUEEEで大した障害なく敵を倒す主人公ではなく、
こういった主人公にこそ、
こういう作品にこそスポットライトが当たって欲しい。