ギャルゲーではなく、壮大な推理ゲーム。Ever17っぽい。推理ゲームであると頭を切り替えて、緻密に張り巡らされた伏線から謎を解き明かす事を楽しめた人には間違い無く傑作。反面、ギャルゲーだと思って買い、推理を楽しめなかった人にとっては肩すかしの期待外れだと思う
舞台設定的には、「木更津キャッツアイ」+「ひぐらしのなく頃に」
シナリオ展開的には、ほぼ「Ever17」そのもの、という印象
refrainまでやらないと意味の分からないシナリオばかりで、
純粋にKEYらしい深みのあるシナリオを「序盤から楽しめる」と期待していた人にとっては、
正直期待外れもいい所だと思う
私は傑作だと思うが、「万人にオススメか?」と言われると微妙かもしれない
Ever17・remember11あたりを楽しめた人なら是非、という所
以下は簡単に考察・感想
長いです。お盆休みを利用してのんびり書いてみた
最後までやったけどひっかかっているトコがあるとか、時間に余裕のある方だけどうぞ
「これってどういう事?」というのをまとめたサイトがあんましなかったので、
自分への確認も込めて自分で作ってみた
確信のない所も多いので、間違っているトコも多いかもしれんけど
○光の玉
CLANNADでもあった光の玉。
ニューゲームやタイトル画面で放っておくと画面内を飛び回ります
初めは8(=理樹と鈴以外のリトルバスターズのメンバー)
鈴以外のヒロインをクリアする毎に一つずつ減る
(=理樹の成長を助けるという役目を終え、世界の構成から外れる)
refrainで3(真人・謙吾・恭介)
ラストエピソードで8(ちょっとうろ覚え。理樹・鈴以外のメンバーを救うという事か?)
鈴以外のヒロインはシナリオをクリアし役目を終えると「退場」するため、
refrainをクリアするまでは再度シナリオをプレイする事はできない
一部選択肢が消えてるのはなんでかなーと思ったらそういう事だった
携帯もつながらなかったりするし、もう「いない」という位置づけだろう
私は、葉留佳>小毬>クド>美魚>唯湖の順でクリアしましたが、
唯湖シナリオの告白練習の際、誰を選択しても小毬しか来なかったのはこういう事かと
○共通ルート
もう一度まっさらな状態からやるにはアンインストールするしかないが、
よく考えてみると序盤からそこそこ伏線はあった
何度も何度も出てくる「今がずっと続けばいいのに」
鈴の「今の授業受けた事がなかったか?」
葉留佳のドラマのネタバレ
屋上が立ち入り禁止である事に違和感
→古式の自殺シーンで必要であるため、立ち入り禁止でないといけなかった
とか色々
象徴的なのが、人形劇の練習シーン
何か人形を持ってきてくれと言われて、集めて回るメンバー
結局4つしか集まらなかった・・・・・まではいい
「実は脚本はほぼ出来ているんだ」「4つの役に人形を割り振ってくれ」という恭介
・・・・・・何故4つと知っている!?
気づいて仰け反った
あと、冒頭の恭介の「昨日寝てないんだ」はrefrainの「寝かせてくれ」に繋がってるとは思うんだけど、
正直確信が持てない
○小毬ルート
その名はコマリマックス
refrainまでやると、彼女は「ぺんぎんさん」であった事が分かる
兄の作った絵本は世界の謎そのものだし、全編を通して伏線の塊だった
どのドーナツ食べたかによってパンツの色変わるのは予想外だったがな!
また、流れ星シーンから「この世界において、鈴以外のヒロインは、ある程度世界における現象を操作可能」とも読み取れる
相変わらずrefrainまでやらないと意味不明なシーンだが
また、クドのルームメイト探しで小毬を選択した際に小毬が見ているツバメ
「みんな飛んでるんだけど一匹だけ残ってる」の台詞も、
refrainにおける小毬そのものを暗示した事だった
それはいいとして、問題はシナリオ
他メーカーならともかく、同じメーカーの、しかも前作のヒロイン(ことみ)と
シナリオパターンが酷似しているのはどうかなぁと思ったり
が、あの死んでいた猫
小毬のトラウマを刺激するために恭介が置いたのか・・・?と考えると恐ろしい
猫だし
で、よく考えたらこの人の問題はrefrain後に解決していないような
理樹が側にいる事で乗り越えられたのだとしたら、そうでないrefrain後はどうなるのか
○葉留佳ルート
「単体の物語」として一番よくできていたと思ったり
伏線も控えめで、よくまとまっていた
気になるのは、中傷ビラ&落書きシーン
計ったようなタイミングで現れる恭介
・・・・・・お前かー!? と思うのは考えすぎか
小毬シナリオ同様、暗躍してそう
で、バスに乗っていた葉留佳はいいとして、世界の構成員でない佳奈多はなんでいるんだ、と思っていたが
「葉留佳の問題を解決するためのキー」としていたのかなーと
佳奈多がいないとおそらく問題解決しないし
クドのルームメイトに美魚・葉留佳以外を選んで、結局佳奈多になった時のセリフ
「また知られていない事になっているわけね。しょうがないけど」
最初は意味が分からなかったが、この人は「世界が繰り返しである」という事に
気づいていたという暗示だった
ちなみに、クドのルームメイトが佳奈多の状態でクドルートに進むと、
やたらクドの世話を焼いたり守ろうとする佳奈多がいた
誰だお前、と言いたくなるくらいイイ人だった
まぁ、葉留佳には「敵」として接していたのは分かるけど、その落差に唖然
コンシューマ移植があるなら、佳奈多は是非個別シナリオが欲しい
お前ツンデレだろう絶対
refrain後、あっさり和解している二人
葉留佳ルートで学んだ事を、葉留佳がきっちり実践してみせたって事か
○クドルート
クドリャフカ=アナトリエヴナ=ストルガツカヤ
今から丁度50年前、ソ連でスプートニク2号というシャトルが打ち上げられました
その際乗っていた犬の名前が「クドリャフカ」
検索してみると、死因は諸説あるようですが、クドリャフカはシャトル内で死んでいます
その後。スプートニク5号に他の動物と一緒に搭乗し、
無事に生還した犬の名前が「ベルカ」と「ストレルカ」
気になる方はWikiあたりで調べてみるといいかも
正直、ラストの「鎖で繋がれ、下着も脱がされ、汚水に漬かって拘禁状態」は、
非18禁ゲームという枠組みの、しかもKEYというブランドのやる事か?と思ったけれど
犬の方のクドリャフカと照らし合わせると、成る程と思った
つまりは、「人々の為の犠牲」って事かな
そう考えると、歯車になれたでしょうか~と言っていたのにも納得できる
シャトル実験の為、犬のクドリャフカは生還する事なんか考えず送り出されたし
クドも、人々の怒りを静めるためにはああなるしかなかった、と
そして気になるのが、タイミング良くクドが航空券渡されてるトコを見て、
それを理樹に話す恭介。悩む理樹
・・・またお前かー!? と思うのは深読みしすぎだろうか
とりあえずこのルートで、「世界が繰り返しである」という確信を持ちました
バッドエンドだと、お母さんが・・・・
他シナリオのバッドエンドも、グッドエンドの裏表みたいな所があるので結構面白い
refrain後、あっさり片付いている故郷のゴタゴタ
じゃークドが行く必要なかったじゃんとかツッコみたくもなるが、それは無粋だろう
○美魚ルート
refrainやった後でないと、まさに超展開としか言いようがなくついていけなかった
「人生が一度きりである事への抵抗」とか、短歌コンクール応募の際の恭介のやりとりからして、
この人は世界の謎について結構自覚していて、前回以前の記憶もそこそこ持っているのかな
美鳥の周囲への記憶操作が、正に「この世界をコントロールできる」証拠だったのね
この世界だからこそ美鳥という存在を実体化させる事ができて、
そして美鳥と入れ替わる事で本当の「孤独」になろうとした
refrain後は、リトルバスターズの面々と共にある事を選んだ、という事だろうか
○唯湖ルート
その名はリズベス
refrainやらないと意味わからないよねランキング、間違いなくナンバーワン
6/20で繰り返される毎日
Wikiで検索してみた
6/21は・・・・・・・・・・・夏至
修学旅行がいつなのかハッキリしないが、「夏至の前の日」は多いに意味があると思う
エンディングで夏服を着ている事からも、「夏服に変わる前で止めていたい」という事だろうか
あと、ガラス越しにみんな話しているシーンは、波紋が広がって世界を構築した瞬間かな
「ならどうして僕はここにいるの?」は、最後までやってからもう一度見ると違って見える
で
refrainクリア後にもう一度、選択肢「それでも~」からやると理樹が「還ってくる」展開になるが
そう考えると、refrainにおいて唯湖は唯一、『世界』から帰ってきていない人だと言える
個別ルートにおける、理樹への好意が尾を引いていて、refrainラストでの曖昧な態度に繋がるのだろうか
素晴らしい考察サイトがいくつかあるので、このルートはそちらに譲ります
正直、難解すぎて上手く説明できる自信がない
○鈴ルート
一回目、近すぎた二人が恋人同士になったと思ったらいきなりブラックアウト
「よくここまできた」の文字
上手いっすね本当に
二回目における、謙吾の「茶番だぁーー!」は、正直最初意味が分からなかったが
謙吾の意識を反らすように古式参上>消える、から
「古式の存在すら、恭介が仕組んだものだった」事に気づいたのではないかと
古式がいなけりゃ、謙吾は野球に加わらないですしね
とはいえ、相談に乗って、自殺しようとするのを助けて骨折・・まで仕組む恭介は正に鬼
小毬シナリオの、墓参りシーンで謙吾がいるなど、本当は古式は死んでいる模様
レノンの指令は、
イモムシ問題=学生全体の問題を解決して周囲の人望を得る?
男子寮の衛生問題=予定を立てる
学食=チームプレイ
恋患い=知らない男子に話しかける。人と人の仲を取り持つ
つっこめ=相手の名前を覚える?+円滑なコミュニケーション
という事だろうか
refrainで恭介が独白している通り、鈴がトラウマをつき付けられ「壊れる」のは、
計算外だった模様。たぶん
○refrain
refrain開放後にニューゲームができなくなるのは、
理樹が助けない限り何度繰り返しても鈴があのままであるという事だろう
リセットしたからといって、「こらー!」とか言いながら食堂に入ってきた鈴には
戻りませんよ、と
記憶の継承に関しては明確なルールはないっぽいけど、
「強烈な感情と共に刻み込まれた記憶」は継承されるってカンジだろう
で、ここで初めて明らかになる、真人・謙吾・恭介の役割
・真人
イレギュラーな発言はしない。日常を守る
恭介の計画については知っているものの、口は出さないと決めている
・謙吾
この世界において、理樹と鈴を守る
・恭介
理樹と鈴を鍛えあげ、「あの日」の向こうへと送り出す
その為にはなんだってする
で
鈴ルート二回目で鈴が幼児退行?したのを見て、おそらく恭介は理樹に全てを託したのだろうと
理樹が自らの力で鈴を日常へ連れ出し、真人・謙吾を仲間にする
それなら自分の役割は、閉じこもっていた幼い日の理樹であると思い、演じていたのかなと
謙吾との「何を始めた?」「何も始めていない。始めたのは理樹だ」あたりから推察
真人の視界ジャック?も恭介でしょう。いや視界ジャックって実は怖いな
度々恭介が「戻って」いる事故現場でのやりとりは、少しでも二人が逃げる時間を稼ぐため、
事故に遭った当時は離れた場所に倒れていたのを、
自分の体を蓋にしてガソリンが流れるのを止めるためにバスの真下まで移動した、という事か
泣ける
グラウンドで一人ずつ消えていくシーンとかホント泣ける
で、小毬
他のヒロインが退場する中、小毬だけは鈴を心配して残っていた
このあたり、ツバメとかぺんぎんの話が繋がってくる
オールクリアした後、修学旅行から始めると、鈴の「それはプロポーズか?」に
「うん」の選択肢が加わるが・・・これは必要だったのかな
refrainってまんま鈴の話だし
ねこねこうたうー
見えそうで見えないっ
最後の全員奇跡の生還に関しては、賛否あると思う
でも、「理樹と鈴が、全員を助ける」必要は絶対にあったと思っています
そうして始めて、世界を構築した8人が「救われる」と
歌詞違いの主題歌が流れるEDはホント素晴らしい
そして海に変わるタイトル画面
やってよかった。終わらせてよかった。と素直に思えた
○総評
事故が起こり、身を挺して理樹と鈴を庇い、それでも二人の未来を心配して、
二人を鍛えるための世界を構築した3人+5人
そこで経験を積み、強さを得て、元の世界に戻ってくる理樹と鈴
その強さを用いて、自分を助けてくれた全てを救う、理樹と鈴
素晴らしい話じゃないか、と思った
間違いなく、ここ数年で一番面白かったと言える作品です
アドベンチャーゲームという仕組みそのものを使ったトリックとしては、
Ever17やremember11には及ばないけど、最後に来る感動はそれ以上
これだけの感動を与えてくれた、このゲームに関わった全ての人に感謝したいと思います
私は、大いに楽しめました
あなたは、どうでしたか?