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ponpoko726さんの星空のメモリア HD -Shooting Star&Eternal Heart アニバーサリーBOX-の長文感想

ユーザー
ponpoko726
ゲーム
星空のメモリア HD -Shooting Star&Eternal Heart アニバーサリーBOX-
ブランド
FAVORITE
得点
100
参照数
646

一言コメント

星の夢をみた

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

私がこの世界に踏み入るきっかけとなった作品が星空のメモリアです。
今から10年も前になりますが、明日歩が星空の下で両手を広げているシーンに衝動をかられたのがきっかけです。
しばらくエロゲから離れていましたが最近の復帰を機に再び思い出の作品をHD版として買い直しプレイしました。
10年前は精神的にも幼く、それでも強くこの作品に惹かれ、友達と星空を眺めに山に登ったり、自分で星の知識をつけようとしました。
プラネタリウムにも行ったりなんかするほど強く影響を受けた、まさに私の人生を大きく変えた作品でした。

BGMやボーカルソングは星の儚さや力強さ、切なさが表現されていて物語のテーマ、キャラ、演出含めすべてが輝いています。
HDエディションということでBGMはブラッシュアップされており、奥行きやベースが協調されている立体感ある音で迫力が増しています。

当時ボーカルソングばかりに気を取られていた私ですがBGMの素晴らしさに気づかされました。中でも宙のヒカリarrangeを夢の結婚式のシーンできいたときは言葉では言い表せない感情です。

学校のテーマはFAVORITE作品どれを通しても明るくきいてて楽しくなります。
特に素晴らしいのはボーカルソングarrangeです。
どうしてもボーカルソングarrangeは原曲の印象にとらわれ、弱くなりがちな傾向があるとおもうのですがまったく別ものとしても感じられるほど素晴らしく、でも原曲のタイトルがわかるものとなっています。
これは星空のメモリアだけでなく他作品のarrange Verも素晴らしいのでぜひきいてほしいです。
改めてBGMが作品に与える影響の大きさを実感しました。




キャラ別の感想は特にお気に入りキャラに絞って書いていきます。(単に想い出に浸るだけ)




【明日歩】
当時一番のお気に入りキャラでした。
学校に行く前に数十分かかるPC起動して、星の夢を流しながらCG鑑賞してたのは良い思い出。
元気いっぱいのムードメーカ。自分にないものに惹かれるのはまさにこのこと。
片思いの印象が強く残る方も多いでしょうが、その分個別ルートでの愛おしさはたまりません。
表情がころころ変わる忙しいキャラで日常でのギャグも楽しい。
普段明るいだけあって屋上でのキスシーンや星見のCGは幼いころから主人公を想い続けた内の感情が垣間見えるお気に入りのシーンです。
なにより、純粋に恋する女子高生ってのがポイントが高いです。他ヒロインが訳ありでキャラ強めな中、純粋に洋くんのことが好きな想いだけでここまで魅力的にみえるのは
明日歩のキャラがあってこそだと思います。
今でも変わらず大好きなキャラの一人です。



【姫榊姉妹】
こさめさんは結構短めだったのとこももの話とまとめて。
当時キャラの見た目でルートの重要性を決めていた私は流し目で進めていったのですが、今回しっかりと読んでいってここまでクオリティが高かったことには驚きました。
というより当時の私は何やってたんだ(なにも見えてない
ラスト、こさめを送り還したと思わせてEDに入ったのは結構印象的。他ルートや作品ではなかなか無いEDの入り方。
こさめさんは普段は中々手強いですが、甘えてくるときの破壊力は抜群でした。




【夢】
実は当時はEHは持っていたのですがほとんどプレイすることなく時が過ぎてしまっていました。
10年越しに物語の続きをプレイできてとっても楽しかったです。
単純にメアとは比較できませんが、やはり本作品最高のルート、グランドエンドに相応しかった・・・・
夢ルートで素晴らしいのはなにも夢と洋くんだけの物語ではなく天クルのみんなや先輩の代、両親、なによりメアが加わってこその感動のラストに繋がります。
共通の序盤から幼い夢が登場し、ようやくの思いで彼女を見つけ出し、最初に知らないふりをされたときは焦りました。
少し会話を進めていってボロが出始めたところでよかったと思い完全に夢に魅了されてしまいました。長年ぶりの再開もあっていちゃいちゃシーンは特にくるものがあったり。
お姉さんなのに甘え上手もこなすってほんとずるい。
夢は洋くんからの告白を何度も断る理由に自分の病気で未来を約束できないからという理由がありますが、まあ結構あるかもしれない設定ですがその設定ではなく夢の心情にスポットを当ててみるとおもしろかったり。

けっこうやんちゃな性格の裏ではひとりで不安を抱えようと、相手の迷惑を考え誰にも頼ろうとしない思いは理解できるものです。
洋くんもそうですが多くのキャラがその傾向を示し、すれ違う様はもどかしいようで後々は愛おしくもなります。

メアの力をかりて退院した後の今までの生活の分も楽しもうとお祭りを楽しむ姿に泣く・・・

結婚式のシーンで宙のヒカリが流れても泣く・・・

夢から初めて好きというシーンも泣く・・・


いつもそばで支え合う仲間や陰で見守る大人たちもとっても魅力的なのも星メモの醍醐味と思います。
そこに必ずいてほしいメアという存在を家族という形で迎え入れて終わりなんて尊すぎて終わった後の喪失感が今でも続いています。
現実で鬱になりそうなほど綺麗な物語でした。
この綺麗な物語に魅せられてFAVORITEのファンになったので、これなしでは生きられない、精神が欲する。

間違いなく一番泣ける物語でした。

人の優しさに触れて泣くなんてほんとうに涙もろくなってしまいました。
母親が出てきたり告白のシーンなんかに弱いです。星空の下での告白のCGなんて今までの色んなシーンが浮かんで・・・



【メア】
やっぱりメアは癒されます。
デレるのわかってツンしてるので余計癒されます。
デレ前回でさらに癒されます。
愛おしい感情が一番似合うキャラだと思います。
同時に儚さや切なさも感じさせてくれる物語のキーキャラクター。
メアの存在がどうとか関係なく、ただそばにいてほしいと洋くんが切に願うわけですね。
最初のうちは展望台でしか会えないことや、洋くんにしかなつかない、特別な存在ってだけで魅力的です。
主人公にしか見えない、なつかないといった設定大好きです。
他ヒロインの嫉妬などもみれて楽しい。
大河先生とレン、洋くんとメアのペアは尊すぎる・・・ いろいろと想像がはかどります。

お気に入りのシーンは昼間からメアが姿を現したせいで洋くんの部屋で消えかかり、星明りの中で抱きしめるシーンです。
メアをなにより大切に想う洋くんの怒りの感情や責任を感じ、メアは普段のあまのじゃくはなくなりおとなしく抱きしめられるあのシーンが当時から大好きです。
メアの儚さの表現が本当にうまく伝わってきます。
展望台を出て、街でデートをしたりと、展望台以外の場所にメアがいるだけでその儚さが感じられ、なにか起こるのではないかといつも不安にさせられました。
デートでの会話、家族よりもお嫁さんになりたいというメアの願望。メアがお嫁さんと口にするだけで心にくるものがあります。

本当は夢もメアもまだまだ書きたいことがありますが、言葉にするのが難しいのでここいらで。



【総評】
まさかここまで完成度高かったとは・・・
衣鈴や雪菜先輩、共通ラストのこさめさんなどキャラの印象がよくないと感じることもありましたが友達と絆を深めることで変わっていく姿がみれて感動しました。
また、影で支える天クルの先輩たちもとっても魅力的なキャラです。先輩たちのそれぞれの関係も深堀されていくのをみて、キャラだけでなく物語全体として好きになるというのはこういうことなのかとひとりでに納得。
こういう大人たちのやさしさにほんと弱い(泣く
冗長のようにも思える日常のやり取りがたまらなく好きで、後半の感動の大きさにも間違いなくつながっていると思います。

グランドエンドが終わるころには他ヒロインや様々なキャラが関わって3人を応援する、人と人との関わりやすれ違い、優しさが感じられ全てのキャラクターを愛することができる最高の物語でした。



私はこの作品が10年前よりさらに好きなり、いつまでもこの綺麗で優しい物語を見続けていたいと思いました。
つくづくFAVORITEが生み出す作品が肌に合うようです。
もうFAVORITE以外の作品に手を出せないほどの沼につかったみたいです。