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ponpoko726さんのいろとりどりのセカイの長文感想

ユーザー
ponpoko726
ゲーム
いろとりどりのセカイ
ブランド
FAVORITE
得点
83
参照数
314

一言コメント

いろとりどりのセカイとは  ※真紅ルートととしての点数

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

いろとりどりのセカイのプレイは9年ぶり、2回目になります。

※すこし【さくら、もゆ。】についても触れてますので注意。

改めて思いましたが、やはり真紅が強い。
というか物語の構成自体が真紅のためにあるので必然でしょう。別にいろとりどりのセカイの作品に登場するキャラクターと比較してではなく、キャラそのものとして非常に魅力がを感じられました。
某少年漫画の金髪ヒロインといい、どうして男口調が混ざったキャラクターはこんなにも惹かれてしまうのか。

毎度のことながらBGM、ボーカルソングはレベルが高いです。
今作は【君に逢えたから】がarrangeともに一強です。
それと学園のBGMはどの作品も明るくテンポが良くて好きです。

特に素晴らしいと思ったのはCGの塗り
髪のグラデーションがしっかりと認識できて星メモよりベタ塗りの印象を与えない。
青空や夕焼けの背景がとても綺麗ではっきりとしてて見やすい。


物語の感想については真紅ルートメインで書いていきます。
シナリオかなり凝ってるなあと改めて実感。
複雑だけどそれ故に面白い。

シナリオが漆原氏ということで、やはりさくら、もゆ。のベースになった物語だったのかな?という印象。

ソースがあるわけではないですが、魔法や最果ての古書店、主人公と同姓同名の人物の存在があるのでおそらくそう。
さくら、もゆ。をプレイする前でも後でも楽しめるなあ。

否定的意見から入るのは忍びないが、今作一番の気になったのが主人公
主人公である悠馬は最果ての古書店の管理者ということで人間ではない。(前管理者と交代かつ悠馬は以前人間だった記載あり)
恋が知りたいというきっかけから藍を連れ出し、鈴さんを利用して古書店から抜け出すことでセカイのシステムが狂い始める。
そこで元のセカイにいる真紅と幼少期の少年として出会うわけだが、悠馬の口調や一人称はもう少し違う形でもよかったのかなと。
形こそ男の子だが、仮にもセカイの管理者(神のような存在)なので、強気とは言わないが無機質感が出ていてもよかった。
一人称が僕(男の子だから当たり前なのだが神様という認識を持ちにくい)だったり、幼少期の鈴に罵られたときもやけにやさしすぎる感じでおいおい大丈夫かと思ってしまった。

物語序盤は学校を途中で抜け出したり、いつも寝ていたり、真紅との大切な約束である日記を書くことをめんどくさがったり
真紅以外のヒロインがちょっとこけたりしただけで記憶を消費してしまう回復の魔法を使用したりと共感しかねる行動が多々あった。
無気力系主人公を連想させる。
それと、ヒロインとの会話・・・をしていたのか?
ヒロインの言葉に対してそのまま復唱して聞き返すことが非常に多くインタビューでもしているのかと思ってしまう。
この作品は物語の説明やセカイの現状を説明しなければ理解しにくいため、ヒロインが説明口調で記憶を切り取っている悠馬は聞き返すような内容になってしまうのは仕方がないが・・・

悠馬のビジュアルも昔は気にならなかったがマンボウ白Tシャツはいかがなものかと。

これまでの部分に関しては悠馬とはどういう存在なのか後々わかるのでそこまで話を進められたら多少は気にならなくなるはず・・・?

要は何が言いたいかというと、爆発的人気に至るほどの魅力にあふれた真紅に対して主人公の魅力があまりにも無さ過ぎた。
やはり相手を好きになるのは魅力があってのことだからそれを感じられなかったのは残念。
自分は1回プレイしたことがあったからよかったが、ただでさえFAVOは共通ルート長いと言われているのでこれだと初見の人は主人公のせいでギブアップしてしまうのではないかと心配に。
シナリオ担当は違うが、前作の星メモの洋くんは恋に対して奥手だったが基本的に行動はすぐ移す積極性があった。
ヒロインを大切に想う気持ちも伝わってきたし、それ故に恥ずかしいセリフを言っても全然違和感がない。

セカイの管理者である存在が一人の女の子と恋をする設定自体は大好物なだけに勿体ないと思ってしまいました。

主人公に対してモノ申してしまいましたが、物語については非常に楽しむことができました。
特に鈴さんとの会話で現在のセカイが偽りのセカイであると分かったときなんかはワクワクしました。
真紅と二人だけのセカイでデートをするシーンは特に好きです。
ただ、普段から名のあるキャラ以外の存在が感じられなかった。この舞台の町の生活感が認識できなかったからセカイから人がいなくなった時のギャップがちょっと薄かったかな。

そしてFAVORITE毎度の優しすぎる世界を今作も感じることができました。
長い長いファンタジーや登場キャラの優しさはこのブランドの売りだと思います。
何といっても今作ぶっちぎりの善人は藍ですね。優しさのパラメーター振り切ってます。
あれは人間ではないですね(文字通り古書店の管理者に相応しい

最果ての古書店の設定は個人的にすごく好きで、本当に人が死んだらあの場所へたどり着き、次の人生を歩むなんて世界だったらと思います。死んだ人間は本になる←この考え結構好き

真紅ルートお気に入りのシーンは悠馬が古書店へ戻るシーンと1年間の空白の末再開を果たしたシーンです。
その時の演出や真紅の表情や演技は素晴らしかったです。(9年前はここで号泣
他には日記を書くシーンなんかは真紅の可愛さを最大限感じられるCGだと思います。

これはマイナスポイントでもなんでもないのですが
おそらくですが、真紅の立ち絵がほかキャラと並ぶのってかなり後半なんですよね。
真紅が小さいのは知っていたのですがそれが実感できるのが結構遅かった。
お姉さん的言動や研究とかしてて頭いいから余計に実感しにくかった。いやほんと真紅ちっさ!ってあとからなって笑ってしまう。



まだいろとりどりのヒカリをプレイしてないので物語の感想を深く書きませんが、偽りのセカイで悠馬が夢をかなえることなく人生を終えその後最果てへ戻って新たなセカイを創り、ここへ元のセカイへ戻った真紅を引っ張ってきた。
まぎれもない本物の真紅を別れた後の1年後から引っ張ってきているのでここの時間軸がどうなってるのかなと。
あと鈴さんも本物だったはず。
ここのところもヒカリで分かったりするのかな?それも含めて楽しみです。

今作は真紅以外のヒロインは個人的にはかなり合わなかったです。(特に加奈
鏡とつかさはルックスは好みなのですがやっぱ立ち位置的に真紅と比較してしまうのかなー
澪は・・・黒髪はちょっとインパクト弱め?w
世話焼きツンデレキャラでいいにはいいのですがFAVOキャラで黒髪はちょっと地味だったのかな?

サブキャラに関してはやっぱり魅力あふれるキャラばかりでした。
時雨さんは放任主義で物腰やわらかいのだがなぜか頼りになると感じさせられるし、鈴さんはふざけまっくっているが物語の中心に大きく関わってくる。
蓮はなんといっても可愛い。主人公にしかなつかない系キャラ好き(大抵初期だけであるが、これを貫き通してくれるキャラは出てくるのか・・・
異世界側の話は総じてワクワクしましたし、和を基調とした雰囲気も十分感じられました。


FAVORITE作品は冗長で詩的な言い回しが多かったり物語が長いといった意見を目にしますが、このブランドの魅力は
まさにそこなのだと思います。
回りくどい言い方だったり、何気ない日常がだらだらと描かれているからこそグランドエンディングでの感動が大きいのです。
特に漆原氏の最後に残ったヒロイン(メインヒロイン)を助け出すために負の連鎖や代償といった絡み合った糸をほどく世界観がとても好きでファンタジーを売りにしているFAVORITEと、とてもマッチしていると思います。
それに加えて、家族愛やキャラクターの掛け合い、絆が合わさることでプレイ後の満足感は非常に大きいと言えるでしょう。司田先生の描くロリキャラの破壊力であったり、トップクラスの音楽や演出も魅力なのでハマる人はとことんハマるはずです。

なんかブランドについての魅力を語ってしまいましたが、今はとりあえずいろとりどりのヒカリと紅き瞳に映るセカイをプレイしてからまた感想を書きたいと思います。