キャラと日常のドタバタが魅力的。特に菜々子先生のキャラが素晴らしい。ただし三角関係がテーマの恋愛物語としては微妙。
キャラ同士のやりとりやヒロインの嫉妬とかが面白く、日常的なドタバタが楽しめる。またキャラ作りが上手く、特に菜々子先生が魅力的だった。年上だけど幼さを感じさせるキャラに、まきいづみさんの声がよく嵌まっている。
物語は、徹と2人のさくらが恋人同士になるまでを描いたパート、直樹と2人の幼馴染の三角関係を描いたパート、徹と2人のさくらが付き合い出してからを描いたパート、の3つのパートで構成されている。徹と2人のさくらが付き合い出してからのエピソードがしっかりと描かれている点は好印象だが、物語自体の作り込みは甘く、勿体無さを感じる内容だった。
徹パートは、徹が活躍するシーンや過去のエピソードの描写が不足しており、2人のさくらが徹に執着する理由付けが弱い。またヒロインがどちらも受身なので、徹が単なる節操なしになってしまっている。徹が菜々子先生に一目惚れし、さくらに徹が一目惚れされるという形にした方が、三角関係のテーマ的には面白かったと思う。
直樹パートは、賑やかしキャラが減ってしまうので、日常のドタバタが物足りない。また直樹と晶がお似合い過ぎるので、くるみは邪魔者という印象しかない。2人の主人公構成にした利点がまるで感じられないので、三角関係に拘らず、徹パートのみで、菜々子、さくら、くるみの三つ巴にした方が面白かったと思う。またこちらも過去の描写が不足しており、2人の幼なじみの変貌ぶりに説得力を持たせることが出来ていない。
それとどちらのパートにも言えることだが、2人のヒロインの間で揺れ動く主人公の心情が上手く表現されていない。ヒロインも主人公の心情を察してあっさりと身を引いてしまう。ヒロインの嫉妬は表現されているものの、物語的には1対1の恋愛物語とさほど変わらず、三角関係をテーマにした恋愛物語としては微妙な内容だった。
ちなみに遊び要素は、25種類のサブルート、100種類のアイテム一覧(エピソードADVやムービーもあり)、おまけシナリオ、コメント付CGモード、タイトル画面変更などがあり、かなり力が入っている。個人的にはCGモードのコメントがお気に入り。ただしサブルートやおまけシナリオに関しては、本編のエピソードを増やした方が効果的だったと思う。
不満点は多いが、その不満を上回るだけの魅力があり、終わるのが勿体無いと思える作品だった。次回作はこの作品の魅力的なところを活かしつつ、物語の作り込みの甘さが改善されることに期待したい。
他に気になったところ
・主人公が影表示。イベントCGも目の描写がなく、声もない(サブキャラの時はあるので、選択可能にして欲しかった)。
・名前がないキャラの顔がおざなり。
・マップ移動が面倒(移動出来る場所が分かりにくく、高速移動もあまり早くない)。
・CGにばらつきがある(魅力的なCGがある反面、雑だったりバランスが悪いCGもある)。
・Ctrlによる強制スキップが出来ない(設定が反映される)。
・正志の扱いが不憫(きちんとエピソードが用意されていない)。