雰囲気の魅力的な作品。キャラクター、雰囲気が好みに合えば、かなり楽しめると思う。
攻略出来るヒロインは海巳、奈緒子、宮穂、静、沙衣里、凛奈、茜の7人。ただし、茜はおまけシナリオのような形となっている。また、海巳、奈緒子、宮穂、静、沙衣里、凛奈のシナリオをクリアすると「約束の日」がプレイ可能になる。
前半の共通ルートでは、転校生の凛奈が皆と打ち解けるまでが描かれており、後半の個別ルートでは、各ヒロインに焦点を当てた内容となっている。個人的には、共通ルートはとても面白かったのだが、個別ルートは物足りなさを感じた。共通ルートを終わった時点では、寮の取り壊しの問題や学園長との対立が絡んだ展開を期待していたのだが、殆ど描かれないまま終わってしまうので何だかすっきりしない。6人クリアした後に現れる「約束の日」は、お約束なシーンだが感動的に描かれている。丸戸史明氏は号泣の使い方が非常に上手いと思う。その後に現れる茜ルートは、個人的に期待していた展開が待っているのだが、盛り上がってきたところで終わってしまう。個人的にはこのルートをもっと続けて欲しかったと思う。
キャラクターは、沙衣里、宮穂、静がお気に入り。ただし、ヒロインとして魅力を感じた、というよりも、大勢集まってワイワイ騒いでいる時の方が好きだったりする。
個人的には、「約束の日」という感動的なシーンを作るために、全体のストーリーが犠牲になっているように感じられた。このシーンを最後に持ってきたために、個別ルートでは、主人公達共通の問題だったはずの寮の取り壊しの問題に触れられず、あくまでもヒロインとの関係だけを描写するに止まっている。期待していた展開と違った、というだけの話かもしれないが、ストーリー的には少々残念な内容だった。ただし、氏の作品らしく、雰囲気が非常に良く、キャラクターの魅力も高い。氏の作品の雰囲気が好きな人なら、問題なく楽しめるだろうと思う。