個人的にはかなり好みの作品。クリスルートだけなら名作だと思うが、全体的に見ると欠点も多い。
エンディングは全部で５種類あり、クリス、いずみ＆優、香苗、二十重のルートが用意されている。クリスのみノーマルエンドとトゥルーエンドの２種類用意されており、トゥルーエンドは２周目以降でないと攻略出来ない。クリストゥルーエンドルートが本筋だと思われるので、最後にプレイした方が良いと思う。
この作品は、初めに「在りたいように在る、ということはとても難しい」と提起し、それに対する答えとして各ルートが用意されている。心情描写が秀逸で、クリスルートの最終楽章と主題１、２における、彼方とクリスのやりとりが特に魅力的だった。しかし、全体的には終盤の描写が不足しがちで、尻すぼみの感があるのは否めない。また、Ｈシーンも無理やり入れたような印象があり、話の腰を折ってしまっているのが残念だった。
ＣＧは魅力的だが枚数は少ない。主題歌や音楽も魅力的だが、こちらも曲数は少なめ。システムの快適性もあまり良くない。元が２００３年発売の作品なので仕方ないが、最近の作品と比べると物足りなさを感じる。パッケージリニューアル版を発売する時に、システム周りだけでも最新のものに変更して欲しかったと思う。
古い作品なので、全体的な出来は「そして明日の世界より――」や「遥かに仰ぎ、麗しの」に及ばない。しかし、主人公の考え方が合えばとても魅力的な作品になるだろうと思う。