良質のリメイクだが、2回目ということを考えればもう少し付加価値(演出、システムの劇的な変化)が欲しかった気がする。
2002年版から原画家の変更に加え、シナリオ、新キャラ、声、歌、OPムービーなどが追加されている。かつての名作を今でも楽しめるようにリメイクした点には価値があると思う。ただ、『雫』リニューアル版からさしたる進歩が見られず、システム面に不満が残るのが残念だった。
・本編
ボリューム的に物足りなさを感じるが、余計な肉付けがない分純粋にストーリーを楽しむことが出来た。所々に時代が感じられるのも面白い。
・半月後
ハッピーエンドのHシーン(厳密にはHシーンの突入部分。場を弁えない主人公のいたずら心が壺に嵌まった)とオチに関しては割と良かったが、内容的には蛇足でしかなく、必要性が感じられなかった。本編全てのルートを経験したことになっているみたいなので、初音ルートのその後がどうなったのかが気になった。今さら言っても仕方がないが、高橋龍也氏による『痕2』が実現しなかったことが悔やまれる。どうせ追加するなら『痕2』の構想に沿ったシナリオにして欲しかった。
・CG
2002年版よりも一般受けしやすい絵柄になっている。綺麗だが、リメイク部分と追加分のCGで雰囲気が違うのが気になった。旧版のイメージを損なわない配慮なのは分かるが、甘味みきひろ氏本来の絵柄で統一した方が魅力的だった気がする。
・システム
サイドバーが便利だが、文字の一画面表示が出来ず、スキップが遅い。また、ショートカットキーのスキップに既読設定が反映される。同じシーンを見る機会が多いので結構煩わしい。
・その他
声、歌、OPムービーなどの追加要素はそれなりの出来。新キャラは、キャラ的には悪くものの作風には合っていない。最近の名作と比べると物足りなさを覚えるかもしれないが、なつかしさを感じる人や一度やってみたかったという人なら楽しめると思う。