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pon777さんのリトルバスターズ!エクスタシーの長文感想

ユーザー
pon777
ゲーム
リトルバスターズ!エクスタシー
ブランド
Key
得点
90
参照数
2047

一言コメント

良作。不満点は多いが、それ以上に魅力的な点も多い。シナリオが長いので途中でダレ気味だが、Refreinや追加のシナリオが面白く、プレイ後の満足感は非常に高かった。

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

本編のヒロインは、鈴、クド、小毬、葉留佳、美魚、唯湖の6人。共通ルートは、はっちゃけたノリで結構楽しめた。やたらとテンションが高いので、人によっては置いてけぼりを食らうと思う。個別ルートに関しては、お世辞にも良い出来とはいえない。シナリオライターの質の違いが明確に出ており、 特に城桐央氏のシナリオが浮いている。また、この作品の個別ルートはRefreinに至るまでの過程に過ぎないのだが、その役割を充分に果たしているとも思えない。ただし、個別ルート単体で見ればそれ程悪い内容でもなかったと思う。最後のRefreinルートはかなり楽しめた。男連中が格好良く、展開も面白い。何より演出や音楽が素晴らしく、物語を効果的に盛り上げている。トゥルーエンドは2種類用意されており、ひとつは鈴がヒロインであり、もうひとつは他のヒロインに繋がる終わり方となっている。鈴以外のヒロインには個別のエピローグが用意されておらず、何だかすっきりしなかった。トゥルーエンドの後に個別のエピローグを用意して欲しかったと思う。本編全体としては、本筋となる鈴のルートに他のヒロインのルートを取ってつけたような印象があり、作品としての完成度はあまり高くない。正直なところ、本筋となる鈴のルートと、本題となるRefreinルートさえあれば充分だったし、その方が作品としての完成度も高かったと思う。

エクスタシーで追加されたヒロインは、佐々美、佳奈多、沙耶の3人。新キャラの沙耶に加え、サブヒロインから昇格した佐々美、佳奈多も攻略可能になっている。本編の個別ルートとは違い、Refreinに至るまでの過程という制約がなくなったためか、本編の個別ルートよりも大分面白くなっており、本編の設定を活かしつつ、物語単体としても楽しめる内容になっている。佐々美ルートは驚くような展開はないものの、綺麗にまとまっており、キャラクターの魅力も高い。佳奈多ルートは葉留佳ルートの補足的内容で、あまり好みの作風ではないのだが、最後はリトルバスターズらしい良い終わり方だったと思う。新キャラの沙耶ルートは最も力が入っており、追加要素の目玉にふさわしい内容になっている。攻略にはかなり手間が掛かるが、かなり笑える内容で面白かった。ただ、最後は少しすっきりしない終わり方となっており、その後どうなるかは、エンディングで流れるCGから勝手に想像するしかない。もう少しエピローグを追加して欲しかったと思う。

作品の完成度という点においては、CLANNADよりも数段劣る。しかし、シナリオが必要以上に長い点は変わらないし、物語としての魅力がある点も変わらない。個人的にはこちらの方が楽しみながらプレイ出来た。オススメの作品ではあるが、物凄いボリュームなので時間のない人にはきついかも知れない。