FAVORITEの新しい風を感じました。
今作はNew Generationという事で若干の不安もありながらプレイ。
やってみて、コンセプトとして「New Generation」を掲げていたお陰で今までのFAVORITE作品とは別のものと考えてプレイする事が出来たのはプラスに働き、良かったです。
まず、FAVORITEというと明らかなグランドヒロインの存在と終盤の泣かせにくる展開が特徴的だったと思いますが、今作はそういう感じではなく、普通にヒロイン達が青春し、それぞれの悩みを抱え、それを乗り越えて幸せになるという良くある流れの作品です。(中にはグランドっぽい√もありますが)
今作において、特に良いと感じた点はヒロインのキャラが立っていたことと日常シーンのテンポの良さです。
題材がライヴ(芸)という事で、ヒロインの個性がちゃんと立っていないと中々入り込めず、中途半端な感情になってしまうと思います。しかし、今作は普通科に内気で芸も初心者なソフィア、演劇部でキツい言い方もあるが心優しいペチカ、楽しいが全てのルー、芸術科にお嬢様でちょっと抜けてるカーチャ、努力家でスランプのクラリスを取り入れる事で、1つの芸をするのにも様々な立場からの苦悩や考え方、そして個性ある性格や話し方は声優さんの演技も相まって見事に1つのライヴを作り上げていたと感じました。
第一幕にて、各キャラの苦悩を描くシーンやソフィアが倒れるシーン、そしてライヴ本番のトラブルとしっかりのめりこむ事ができ、第一幕が完結する頃にはそれぞれのキャラへの認識と愛着が湧いていたことは今作がその部分において優れていたことを実感したポイントです。
さらに個別√に入ると、ルーやクラリスは付き合うまでの過程に、ペチカとカーチャは付き合った後に山場を設け、エピローグやその後の話でも各キャラの差別化がしっかりされていて退屈すること無く楽しめました。
特にクラリス視点やカーチャのお父さんとの掛け合いは個別√においても特に好きな部分でした。
ソフィア√はグランドルートの様な扱いであり、全国大会後も描かれています。個人的にはその後のミヤビとマルクさんとの話において、ソフィアの悩みがあまり理解出来ず、「自分に自信が持てないから主人公が魔法をやることの言い訳に使っている」と感じてしまい、微妙でした。また、そこでのミヤビも主人公の話を聞かずに自分の主張一点張りに感じてしまいました。その後のカーチャとの公演会は良かったので唯一の不満点はそこかなと思います。シナリオどうこうというよりはキャラクターの主張が受け入れられなかったというだけです。
ミヤビ√はオマケ程度のボリュームでしたが、ミヤビというヒロインの魅力は十分に出せていて良かったです。ソフィア√ではあまり好きになれなかったですが、この√ではちゃんと好きになれました。
また、New Generationとはいいつつもお話の雰囲気やCGの演出の仕方(使い方や縁を白くする描き方など)、EDや挿入歌の使い方などFAVORITEっぽさも感じることがでしたので、このメーカーの1ファンとしても満足する事ができました。
特段に泣かされたシーンやド肝を抜かれたシーンがあった訳ではないですが、しっかりと主人公とヒロイン達の青春、成長を描いてくれた今作は正統派エロゲとしてとても満足できました。制作者の方々、ありがとうございました。
個人的なヒロインの好みはカーチャ>クラリス>ミヤビ,ペチカ>ルー>ソフィア です。
クラリスは他ルートで振るのがとても辛くて描写がズルいなってかんじました。
FAVORITEさんの次作やFDも楽しみにしたいと思います。