ちぇりーそふとの後身「Art」の第1作目。評価の高い後の2作への片鱗を随所に見せるも、作品自体の完成度はあまり高くない。
システム周りはこの作品で既に完成されており、後の2作「深紅のソワレ」、「Heaven's Cage」でもほぼそのまま流用されている。
原画、CGも鳴滝しん、あおぎり、いがらしゆうやの3人体制がこの時点で確立されており、
好みは別れるところながらそこそこ画力も安定している。
シナリオも、なかひろ氏らしい、日常に非日常を巧みに溶け合わせた半ファンタジー風の作風であり、非日常にリアリティをもたせる技術に長けた描写力と知識量を、この作品からも感じ取ることができる。
答えを匂わせながらも結論を後回しにしてのらりくらりとかわし、最後の大詰めの部分で一気にまくし立てるようにネタばらしするという手法もこの時から養われていたようである。
・・・だが、上に書いたことも、あくまで「片鱗」を味わうことができるという意味であり、この作品のシナリオ自体はあまり面白くない。
というか作品のコンセプトから見ても、シナリオ重視にしたいのかヤリゲーにしたいのかはっきりしていない。
売り文句が「薬を使った陵辱ゲー」の割にはエロシーンの実用性は低く、反面ヤリゲーとして見るとシナリオに注力し過ぎであり、いったいどの購買層を狙ったのかわからない、カテゴリ分けの極めて難しい作品になっている。
だがまぁ、「深紅のソワレ」、「Heaven's Cage」が好きな私としては、登場人物や音楽、設定などに繋がりがあったこの「Naive」に概ね満足はしている。