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plantagenetさんのはるるみなもに!の長文感想

ユーザー
plantagenet
ゲーム
はるるみなもに!
ブランド
Clochette
得点
85
参照数
558

一言コメント

神から目線の調子乗り妹が失っていく様を期待するためのゲーム

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

プレイしたルート
英麻→叶→水緒里

最近、ゲームでも現実でもかわいらしい人を見ると「妹だったらなあ」とか思うようになった。いと由々し。

この主人公は妹に対してだけ鈍感なタイプのようだ。常識的で健全な善良シスコン(一般のシスコンが必ずしも邪悪という意味ではない)。
水緒里を支え悩ますのに相応しい性質。ルート分岐直前での決心が彼にどう影響したか・・・。
みんなの制服いいね。バックログ短いのよくないね。紗智帆さんのルート無いのはとてもよくないね。
立ち絵の動かし方が凝ってて楽しい。けど次作のココロネ=ペンデュラム!に完全には引き継がれなかった。大変なのは素人目にも明らか。

そして妹は・・・ナチュラル増長キャラだー!
「ちゃんとお礼させてあげる。頭撫でていいよ?」 ←あ”?
「・・・ずいぶん久々の要求だな」
「うん、知ってる。けど。おにいはちゃんとお礼できる人だもんね」 ←ろくな大人になれないぞ
「・・・まあな。それじゃ、ほら。頭出して」
「んっ。あー来た、おにいなでなでだー」(ハートのエフェクトが立ち絵から出てくる) ←許します
「ふふふ、どう? 私も大人になったでしょ」 ←嗜好が…読めるのか? まずい…
これもはや後でひどい目に遭うにあたっての前振りに属するのでは。なのでそういう楽しみ方をすることに決めた。
念のため言っておくと、性格悪いから懲らしめられるべきっていう応報的要請とは全く違う。立派な人格だと思うし、好きだからこそ。


英麻ルート
 ちょっとデカすぎでは・・・(呆れ)。妹を愛でるはずのアカウントだが、幼馴染にも目覚めそうなそうでもないようなこの頃。
 幼馴染は妹キャラと共通点が多い(あるいは競合する存在)という話を思い出した。
 共通ルート終盤の性的に気まずいイベントから直結した流れ、いいですね~。
 妹相手に同じような展開やっても脚本によってはやや気持ち悪くなる可能性すらあるし。
 異性として意識するのを自覚→元にもどれないどうしよう・・・は妹シナリオでも頻出だが、何回見てもよい。
 主人公に気にされて昔からの関係が損なわれるのが嫌という意味で胸が大きいのを申し訳なく思うとか、
 思いを伝えられて喜びより先に動揺が来るとか、とてもいいですね~(語彙欠如)。
 あとは「世話焼き問題」もあるな。自分は妹に世話されたい(そんな健気な妹が好き)派だが、妹の世話をしたい派も根強いと聞くし分かる。
 という訳で、どっちのお兄さんも楽しめる「ナツイロココロログ」は絶品なので皆さん買いましょう! いや、買え(1500円セールで)。
 一方で幼馴染キャラは英麻みたいに面倒見がいいタイプに偏ってそう。これ以上にわかが語っても熟練者に刺されそうだからやめとこ。
 まあ英麻に関して言うと気配りと距離感の維持が信条に達してるレベルで、少なからずこの兄妹の特殊性が原因だからなあ。
 定番ではあるが、幼馴染と妹とで互いに引き合いに出す会話が多いのもうれしい。
 幼少期における「おにいは私のもの」エピソードを悠々と語っていたのに、流れるように敗北者となった水緒里はからかい役と化す。
 「でも、こういうふうに照れるところがいいんだよね、おにい?」「うん、この反応・・・ここに来た甲斐があるよね」
 この辺りの過去話も含め、水緒里ルートをやった後に見てみると色々面白くなるルート。

 自分にはよくあるパターンだが、付き合い出して少しすると段々面白くなくなるんだよなー。今回もそうだった。何ともなりそうにない。
 ここが妹だと決定的に違う点で、ずっと画面に出てきてくれるだけでシナリオの出来に関わらず退屈と思うことは滅多にない。疾患かな?
 主人公(や英麻)が悩むのがマイナス点って感想は理解できるが、自分としてはこの引き延ばしが加点要素につながった(というか足りない)。

叶ルート
 これちょっと紗智帆さんルートじゃね? やさぐれ紗智帆さんが見られるのはこのルートだけ! ※全ルートプレイしてません
 散々幼馴染とか妹の話してたじゃねーかって? 
 いいじゃないですか、細かいことは・・・紗智帆さんが本音で話してくれるのが嬉しいんだろうが!!! 
 この人も妹ながらの苦労があったんだなあ。

 本題に戻ろう。基本的に妹一筋な自分が他のルートもプレイする理由の3割くらいは、妹の反応を見たいからだ。
 だから妹がどんなそそる様を見せてくれるか、薄目や脳内フィルター・第六感でネタバレを避けつつの情報収集も踏まえルートを選定する。
 もちろん気分次第ではあるが、最近は特に妹ルートの一つ前でそうすることが比較的多い(逆に一つ目のルートは一番気に入ったキャラクターが多い)。
 今作もそのパターンだったがその点は満足。水緒里は余裕ぶった態度と相まってぐぬぬ適性が高くて大変結構。
 兄を巡っても言霊の制御でも叶に完敗したことで、兄への未練からも巣籠り生活からも見事解放され、さぞ清々しく心に穴が空いただろう。
 いいのか、Clochette ―――かみぱに!とココロネ=ペンデュラム!でもそういう片鱗があったが、他の作品でもそうだと信じて・・・
 兄を想う妹の心をもてあそぶことにかけては一流のブランドであると――― (さっきから何言ってだこいつ)
 歪んだ性知識のお披露目会とか痛々しすぎてとても見てられるし、こっそり順番待ちに混じるのも最の高じゃん。
 何だかんだで思いやりの深い紗智帆が幻滅してしまうのもやむなし。
 体つきが良くて主人公を困らせてしまうって話があったけど、水緒里なら安心して祀ってもらえるね! 
 ちなみに叶は普通にかわいかったです。

水緒里ルート
 「神様はちょっと調子に乗ってるくらいでちょうどいいもん」 我らの山神様がお戻りになられたぞ!
 最後の選択肢の後で、立ち去ったばかりなのにすぐ自分に引き寄せられる兄を見て水緒里は何を思ったのか。その場で直接表現されないから妄想タイム。
 お風呂場での心境実況はギャグシーンか何か? こういう場面ばっかりの妹ゲー(非抜きゲー)あったら百万回ダウンロードするぞ。
 いやほんとこういう親愛と気恥ずかしさと失敗感と焦りの入り混じったアレ(?)みたいなのがあると生きててよかった~ってなる。
 今んとこプレイ済みのクロシェット3作全部の妹ルートに浴室シーンあるじゃん! フロシェッ・・・何でもない。
 これだけあるのに入浴はしない。もし兄妹の入浴シーンが見たいなら「ナツイロココロ(略)
 このルート入るまでは妹の外堀が埋まるのが醍醐味だったが、逆襲されてそれまでの生涯が台無しなおにいかわいそう! 
 しかし結局水緒里も予想外の展開に引きずり出される始末。一歩引いた立場とか跡形もなく。セーブタイトルが「水緒里、やられる」だし。
 あまり期待しないようにしてたが、ここでも妹が不憫なことになるどころかとんでもなくみっともないことになったのは予想外の収穫。
 主人公がきちんと筋を通すのはかっこいい。水緒里が信仰されるのは能力ではなく努力のたまもの・・・うん、知ってる。
 二人でいちゃつくのはいいんだが、眺めていると何でか知らないけどダメージ受ける・・・何で?

 叶ルートが本作のTRUEエンドかと思ってたらそうでもないと思いきややっぱりそう・・・?
 解決や前進に着目するか、真相が明かされることに重きを置くかの違いってところか。
 望都先生の自説を聞いて相当盛り上がったが、答え合わせであれっ?てなる。ここが上手くはまれば個人的3強作品入りは確実だった。
 主人公が実はってのは面白かっただけに、水緒里は元々万全の環境だったと分かるラストの揺り戻しが演出としては本当に惜しい。
 水緒里だけで成立しないのは合ってたし、兄妹の絆は切れないというメッセージも良かった。
 妹スキーのためだけのゲームではなく、叶ルートを踏み台にするのも得策ではないだろう。総合的にはかなり楽しめたのも確か。
 こっちでも結果的に叶が勝ったとみなされるに留まらず・・・水緒里はすっかり海神の影響下に取り込まれたと言えるのでは・・・?

 ギャグとシリアスの境が希薄というか、前者は安全地帯ではないんだな。水緒里のふざけた一言で一大事だし。言葉の力は強大で恐ろしい。
 うかつな発言で取り返しがつかなくなることなんて現実にはありふれてる・・・逆にシリアス自体も特に守られてないのは好き。


ココロネ=ペンデュラム!と同じ点数になったが、感触は全然違う。
あちらは共通ルートでの菜砂への焦点の当て方が素晴らしく、不信感を抱えた上級監督生たる彼女との親密度の変化という楽しみもあった。
更に、つむりルートでの扱いの悪意無き容赦無さと妹ルート序盤の展開もずば抜けていたが、後半がどうにも恵まれなかった。
こちらは英麻超かわいい+作品全体を包み込む水緒里のソフトな憐憫具合+妹ルートの快適さと後半イベントで着実に得点を積み重ねた感じ。
共通するのは浴室が何か黄色っぽいことくらい。仮に両作の良いとこ取りに匹敵する作品があれば「ナ(略)に迫る評価は堅いが望みすぎか。
何にせよ、3作連続で80点台のクロシェットには入信決定!(でも胸が大きすぎるのは嫌)
実妹ヒロインの登場率が高く、これからもちょくちょくお世話になります。