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plantagenetさんのフォトカノ Kissの長文感想

ユーザー
plantagenet
ゲーム
フォトカノ Kiss
ブランド
角川ゲームス
得点
76
参照数
105

一言コメント

開始10分で前屈みになった妹の生足を撮影するゲーム(本文最初に果音についての重大なネタバレあり)

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

果音は義妹。それ自体を原因とした減点はしていない(事前に知っていたのも理由)。
ただ、この設定ならプレイヤーに伏せておく必要はなかった気がする。

この手の恋愛シミュは初めてプレイしたが、自分には合っていなさそうというのが、このゲーム全体としての感想。
どうにもやってて無味と感じられる時間が長く、プレイ時間が取れなかったのもあって果音以外のルートはほとんどプレイしなかった。
完全に妹目当てでプレイしたとはいえ、他のヒロインについて十分楽しめなかったのは残念。
ゲームジャンルの問題なのか、単に会話やイベントの内容を楽しめなかっただけなのかは何とも言えない。
あるいは、効率的な進行のための複数ヒロイン同時攻略で気が散ったせいかもしれない。

ストーリーの進行具合の割にプレイ時間が長くなりすぎるのもきつかった。
妹含む隠しヒロイン(1ルートずつのみ)でもフリーイベントが3つに分岐するので、
周回を重ねるかセーブ&ロードを駆使しないと全てを見られないのもマイナスポイント。
システムだけでなく展開やセリフ回しもどうにも古典的すぎるとは思ったが、逆にそういうのが好きな人には刺さりそう。
一方で、マッチング会話の話題は直前のイベント(とそれによる主人公の感情)をちゃんと反映していたりして、
プレイヤーが必ずしも読むわけでもない部分なのに文章量的にもフラグ管理的にも多大な労力をかけているんだろうなと感心させられた。

3Dモデルや写真撮影は兄妹の距離感における触れ合いや恥じらいという面を表現するのに上手く機能していた。
自分は妹が兄と恋愛関係になることを殊更に望む訳ではないが、女性としての魅力は感じたい派なので、
こうしたセクハラ一歩手前(ど真ん中かも)な要素は大歓迎。こう書いてしまうとひでえ人間だな・・・。
果音の言動もかなり好みだった。発育具合について兄からいじられたり性的なハプニングがあったりした時の気さくな反応とかも。
こういう兄妹っていいなあと思いつつ、これが最終的に変わっていくのも面白い。

兄妹の関係性にこだわる人向けに書いておくと、終盤に果音からの呼び方が将来変わることが示唆される。
この辺りの問題は妹好きの間でもめちゃくちゃ意見が割れそうだが、妹からの限定的な「あなた」呼びは個人的には全然あり。
名前呼びならどうだろうと思ったが、「ナツイロココロログ」や「雛といっしょ」で面識の無いことになっている状況で、兄を名前で呼ぶのはよかったな。
他にも「Clover Point」のラストは印象的だし、「桜ひとひら恋もよう」では上手く逆手に取っていたのを思い出した。
逆に「リアル妹がいる大泉くんのばあい」の舞と「Clover Day's」の杏璃は距離感の表現として使ってたか。
一方で、妹から真剣に(?)「あなた」が出てきたのは覚えてる範囲では「テレビの消えた日」の時間切れバッドEDくらいで貴重かもしれない。
閑話休題。呼び方の変化が固定化されると厳しいかもしれないがゲーム中で描かれない後の話なら、もうプレイヤーから完全に離れた二人だけの世界なのでいいのかなと。
義妹であることがもたらす兄妹性の希薄化問題について、敏感な人にとっては際どいラインの果音の発言もあり、聞いた時は動揺したが、
それまでのシナリオをぶち壊す類のものではなく、何より他ならぬ妹自身の希望なので最大限尊重してあげたくなった。
妹の私も恋する私も受け止めてほしいって語りも出てるし、全体的に兄妹としての絆を大切にしている筋書きであった。

と、悩ましい要素もありこれまで評価したゲームとバランスを取る必要もあるが、「かっわいい~妹」のおかげで心に残る作品になったのでこの点数で。
選択肢中心の一般的なノベルゲーム+写真撮影の形式なら、+5~10点くらいの評価だったかも。
動画をかいつまんで見ただけの「キミキス」「アマガミ」は好印象だったし。


動画で見ただけだが、果音を学園祭で裏切った時の反応が、短いながらもどうしようもない諦念が感じられて非常に良かった。
他のヒロインなら激怒する中、「妹だもん、そんなもんだよね」って・・・辛い。