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plantagenetさんのサキガケ⇒ジェネレーション!の長文感想

ユーザー
plantagenet
ゲーム
サキガケ⇒ジェネレーション!
ブランド
Clochette
得点
80
参照数
185

一言コメント

冒頭から璃々子がかわいい。これは良質な妹ゲーであると短年の勘が告げている!

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

プレイしたルート
なつめ→友梨亜→璃々子

(この感想はプレイしながら乱雑に書き足していったものである)

そう・・・この距離感なんだよ。特にお気に入りの妹キャラ(※)が出てくるゲームでは、ここがちゃんと押さえられてる。
それと、少なくとも初めのうちは兄に恋愛感情を抱いてない(成長した部分も褒めてほしいだけ)。
こういうのもっと増えてほしい。ルート入ったらそうなるのは分かってるから、どう持っていくかもお楽しみポイントになる。
ともかく、兄に彼女ができるのを肯定してくれる女の子に悪い人は居ません!(そうでない妹も好きです)
璃々子は将来美人になりそうな感じがそこはかとなくする。
話は変わるが、(中二方面の)語彙が豊富で憧れる。こういう人が身内に居たら自分も覚えられるんだろうな。
※「SuGirly Wish」のひな、「ナツイロココロログ」の鈴、「Berry's」の祐佳、「フォトカノ」の果音(プレイ順・クロシェット作品除く)
 ・・・全然共通点無いな。後からこじつけてるだけかいやそんなはずははは

全体的に、ふにゃほわぁーって感じの表情がかわいい。他のキャラが話してる時の表情変化も丁寧。
この時のクロシェットは最後に一斉にルート分岐させる方式じゃなかったんだな。
キャラの魅力が分かってない序盤の段階でルートを限定したくないから、後の作品で変わってくれて良かった。
友梨亜の素性について、キャラ紹介ページ含め隠す気が無いのはいいのかと思ったが、まあ引っ張るような話でもないか。
却って一般人ポジションになってたのはおいしい。

自分はキャラ(の言動)の露骨なかわいさだけで高得点も辞さないちょろさを自認するが、もちろん文章に読み応えがあれば加点する。
前者で稼いだ一例が「ワガママハイスペック」で、後者は「φなる・あぷろーち」など。
(上で挙げたお気に入り妹4作品についてはそれぞれ固有の評価ポイントあり)
一方でこのメーカー、どうにも妹に対して偏執的に思うところがあるようで(実際は自分がそう思い込んでるだけ)、
これまでにプレイした作品ではその妹を陥れる環境構築の巧妙さも評価してきた。
が、こんな点は恐らくセールスポイントに設定されておらず、別の作品でそうならなかったからといって勝手に失望する事態は避けたい。
そこで今作、序盤の印象として妹の調理度は当然未確定ながら素材の時点でかなり好みで、それはそうとして話も飽きさせないときた。
おいおいクロシェット、一体どれだけ期待度を上げてくれるんだ・・・。
そういえば、「はるるみなもに!」「ココロネ=ペンデュラム!」でもそうだったが、
曲がりなりにもゲーム開始時点ではメインキャラの中で妹が最大の能力を持ってることになるのか。
これって(上げて)墜とすためじゃ・・・考えすぎか。

http://blog-imgs-69.fc2.com/b/u/t/butimake/sakigake_skill_1_2.html
ウィジェネ内に出てきたスキル一覧↑ 「○○って何だったけ?」というときに見よう
(http://butimake.blog71.fc2.com/blog-entry-1814.html より)

以下各ルートの感想。ここまでに挙げた他作品(特に「ココロネ=ペンデュラム!」)のネタバレを一部含む。


なつめルート
 効率厨なつめ。
 共通ルートでの掴みとしては、姉気取りだけど年上らしさを示せておらず、でも超得意分野で偉そうにしまくる・・・いいじゃないですか!
 この種のゲームに詳しくなく馴染みない話題が続くことになるが、嬉しそうに話してるからこちらも脳を頑張って働かせたくなる。
 それと、主人公を異性と強く意識してない幼馴染のルートを今まで読んだ覚えが無い。璃々子と同様にその辺りも一応期待してプレイした。

 「はるるみなもに!」の英麻は素晴らしい子だったが、クロシェットは幼馴染を妹とは違う意味でひどく扱ってる気が・・・(褒めてない)。
 話の都合上父親が頑固者になってるが、娘が連日下校時刻までゲームしてても素直に認めればそれ以上追及しないなんてちょろいぜ。
 (かつて璃々子を守った功績を忘れてはならない・・・のだが、当の彼女は遭遇する度に苦手そうな顔をしてるのがかわいい)
 なつめも実績と工夫(工作)で両親に対抗する強い子になってて育成成功だろう。
 でも、自分にもこんな風に誘ってくれる妹・・・は望みすぎだが、友人が居てくれたなら・・・やっぱ妹以外で堕落するより学業を選ぶわ。
 思わせぶりなだけの困ったダメダメ鈍感ドジ空回りお姉ちゃんを分からせたいという素朴で薄味な需要に対し淡々と供給が行われる。
 「お姉ちゃん」じゃなくて「それ以上」ねえ・・・妹しか思いつかねえ。
 諸々の仲間外れっぷり含め色々と残念な人なので、無知具合もあざとくなくその延長と捉えられるのは好印象。
 ちなみに話はそんなに面白くなかった(おい)。というより長すぎるのが真の問題。
 Hシーン全飛ばししたのに、当ルート終了時点でプレイ時間が約24時間(期間にして14日)に達したんだが・・・(この感想書く時間は除外)。

 [このルートの璃々子]
 いやー、嫉妬とかマイナス感情皆無での純粋な冷やかし担当ってのもいいですね~。
 二人のいちゃつきに興味はあるのに、恥ずかしがる素振りが全然無いとは中々やるなあ(平静なままで目だけそらすのがかわいい)。
 友梨亜と杏音に強く挟まれるのが気持ちよさそうで何よりです。  


世界観が気に入ったので久々に4ルート以上プレイしようかと思ってたが長引きそうなので断念。全体像の把握よりも妹密度を優先だああ

初めの方の段落で、クロシェットは妹をいたぶるのが好きと自分が勝手に思い込んでるって書いたが、その認識は正しいのか・・・?
単なる信者思考フィルターを通したに過ぎない発想でしかないと本当に言い切れるのか・・・あんなシナリオを作っておいて・・・?
―――再会した妹が見違えるように素っ気なくなってたから、かつての様子を思い起こさせる子(妹の後輩)を代わりにする形で仲良くなって、
最後は彼女が主人公を巡る戦いで妹を屈服させて、彼に妹よりも自分の方が好きと言わせる―――
最新作にしてその本質が凝縮されているのでは・・・? Clochette is GOD.


友梨亜ルート
 キーを自分の誕生日にしてロックを解かせるファザコン。
 告白シーンが「!?????」すぎる。精神操作の魔法でもかかってるんじゃなくて!?
 前半は現実世界でのやり取りを重視した結果、徹底的にゲーム世界の描写が省かれてる。
 なつめルート前半ではゲームパートが少し長いと思ってたが、いざばっさりカットされても肩透かし感があってどうしたものか。
 こっちの父親の方が問題児だったとは予想外。主人公がかばう理由も。そして桜花かっけえ。
 後半は友梨亜の出番がやや減る代わりに展開自体は楽しめた。
 でも、キャラ紹介文読んだ時はもっと現実世界で魔法連発するのを望んでた。設定が恵まれてるだけにもったいない感がある。
 登場時に主人公を手玉に取ったあの感じはいずこへ・・・。

 余談だが、次にプレイ予定のゲームは購入済みの「妹のおかげでモテすぎてヤバい。」だったが、妹の声優が友梨亜と同じ遥そらさんで、
 二人とも主人公に対して敬語+呼び方が「お兄さん」と「兄さん」で音声面の被りが懸念材料。後に回すべきか・・・。

 [このルートの璃々子]
 国際百合力の高さがうかがえますわ~。 いや―――そんなものではない(覚醒)。
 これは、自分に惚れていてほしかった人と「最も心安らぐ人」、その二人の幸せを願う妹の崇高な姿が顕現していると言えよう!!! 
 いあ! いあ! りりす!
 くろしぇっとおぉ! 勘違いしてた・・・ルート外で妹の魅力を引き出すために曇らせる以外のことも効果的にできたんだな、感心したよ。
 一生ついていきます! でもこれだと璃々子はいつまでも結婚できなさそう(余計なお世話)。

 「兄以外の男を恋人にしない(結婚しない)」って(幼少期以外で本気で)言うのはよくある表現なんだろうか。
 記憶では他に「Pure Marriage」でしか見たことない(その直後に振れる)。失恋したら次があるかもしれないが、しない場合は・・・。


思うんだが、(気の合う)兄妹は互いに分かり合えるのが普通かもしれないが、エスパーでもない限り当然読み違えることもあるだろう。
兄のことならお見通しのつもりの妹が、実は認識誤りしてるという(ことが分かる)シーンは大好きだが自分だけだろうか。
既に挙げた作品から、うろ覚えもあるがいくつか抜粋すると
 鈴→AIでないと気付かず散々やらかす
 祐佳→(根深い疑心と兄の糊塗により多数)
 果音→幼少の頃を覚えてないと思い込む
 明鐘→二股の被害者としてかばう
 菜砂→脱シスコンという幻想にとらわれる
 (感情による思い違いも、本人にとって情報不足でどうしようもないものも含まれている)
璃々子は読心能力でも持ってるのかってくらい主人公の思考(主に性的な)を言い当てきた。最後まで保てるか。


璃々子ルート
 私服がやべえ妹。
 秋野花さん芸風広いな~。作中の奇声何種類あるんだ。
 まず分岐点がいいよね。璃々子を有頂天に仕立て上げてルートへの入りをスムーズにしている。墜とすフラグじゃないですよね?
 かつての境遇が、言動を誘発する人格形成の原因になってるとは思いも寄らなかった。なつめルートでもヒント出てたのになー。ぐぬぬ。
 やはり、与えられた情報を漠然と眺めているだけでは妹道を登り詰めるなんて夢のまた夢だな(謎)。
 おいおい聞いたか、ひとりっ子のみなさん。兄妹なら腕枕つき添い寝は全然普通なんだとよ。ほむ。
 ・・・というか友梨亜・・・璃々子の精神的成熟を加速させた責任は重いぞ・・・覚悟はできてないんだろうな。
 共通ルートでも少しあったけど、今感じてること(声無し地の文)と表向きの発言が違うのは本質に迫れてる感じがしてぐっと来る。
  (「ナツイロココロログ」では唐突に妹視点に変わって、そんなこと考えてるのか・・・って思わせてくれたのが良かったような記憶がある)
 案の定、図に乗った妹が落ち込むシーンは心が弾む。国連宣言か何かで導入を奨励してほしいレベル。
 ルート入ってから恋心を持つパターンは少し前に「LOVELY QUEST」で見て結果的にいまいちだったから一度は意気消沈してたが・・・
 クロシェットさんなら上手にやってくれると信じてました! †信者補正†
 いやー、妹が急に発情する描写にはまあまあ抵抗を覚えることもあるんだが、今回は「かわいい」の範囲で制御されてた。
 素晴らしい素晴らしい素晴らしい素晴らしい素晴らしい素晴らしい素晴らしい素晴らしい素晴らしい素晴らしい素晴らしい素晴らしい素晴ら
 母さんかわいそ。
 璃々子は、自分自身がどう見られてるかについては鈍感でしたね。

 母親の寝言を機に止める間もなく喧嘩が始まり、謎シリアスやめろと怯えていたところ・・・ 
 結局妹を辱めるための仕込みじゃねーか! どうやってもそういう状況を生み出すのか・・・。
 シナリオの核に関わる理由付け(辛い経験)で自己愛を高めさせといて、それを後から冷静に省みらせることで重層的に妹を搾り尽くす・・・
 狂気的な職人技と言わせていただこう。 ←脚本の人そこまで考えてないと思うよ

 [このルートの璃々子]
 璃々子が、輝いている・・・! 変わろうとする姿がまぶしいいい
 テスト結果持ってくるシーンくぁわいぃすぎない?
 璃々子は成長していく過程も含めて、いわゆる「ロリ妹」キャラの亜種ってことでいいのかなー。
 この分野の履修歴が圧倒的に不足してて面目ない。


さて、これだけ絶賛してるならもっと高得点になるんじゃないかという気もする。
とはいえ相対評価(74点からの加点・減点)をする以上、抵抗なく点数が上がっていく訳ではない(上位層の門番力が高すぎる)。
今作はプレイ時間がかなり長くなったが、よほど内容が濃くないと評価につながりにくい。
妹以外のルートでの満足度が高くなかったのは痛い部分(全ルートやらずに言うのもよくないかもしれないが)。
なつめはその不遇さ・普通さをより良く趣に変えてほしかったし、
友梨亜は妹好きの目線で悪いがずっと璃々子の引き立て役に見えた(優れたヒロインが妹を優れた引き立て役にする!)。
杏音は悪くない、いや超好きだけど、意外とめんどくさい女性っぽいところもいいけど、「妹」としての素質も十分だけど、
ルートに入ると大切なものが損なわれそうな気がした(意味不明な供述)。
共通ルートは個別ルートへの下準備と牽引システムとして仕事してたと思う。毎夜各キャラの自宅での様子が入ったのは個人的に好き。

クロシェットの妹ルートは毎度高品質だと感じているが、どこか終盤の勢いに欠けるところがあるのは否めない。
璃々子のデザイン(内面含む)は最高傑作という気もするし、それだけに動かし方に更なる飛躍の可能性があったのではないか、
近年のクロシェットならもっともっと活かしてくれたかもしれないという気もする。
自分ならこの子に対し、他作であなた方が行ったようなことくらいしか思いつかない反面、今作では新たな道を見せてもらった。
点数は期待通りにはいかなかったが、作り手への信頼度は一段と増した。
ここまでに述べた不満点が概ね後に解消されているというのはポイント高い。
これからも、妹をメインヒロインにした作品を出してもらえるならこの調子でお願いします。