独占欲は満たされない、お手軽な恋愛&凌辱併用作品
タイトルがタイトルだけに、この作品における主人公の目的は独り占めだ。
何を占めるのかと言えば、1つには叔父の莫大な遺産であり、1つには美貌を持つヒロインである。
ただ、独り占めというのは、ライバルがあってこそ盛り上がる話。
この作品には色々と残念な点はあるのだが、何よりこのライバルという存在の扱いの低さが
この作品から独占欲を感じさせない、残念な内容にしてしまっている。
何しろ、この作品で用意されているライバルは、主人公の兄ただ1人。
そこには以下に挙げる2つの問題がある。
問題の1つ目は、ライバルの数。
甘い蜜には蟻が群がるものだが、ライバルの数量がもたらす効果が何かと言えば、
それはモノにしようとしている対象の魅力だ。
例えば、これは奪い合いという訳ではないが、学園恋愛モノで定番の学園アイドルというのは、
クラスや学園の男子生徒が憧れる、告白する、一緒にいる主人公を妬む等々の描写がある。
それら多くの人が意識している、狙っているという事実があって、その魅力は伝わってくるもの。
翻って、主人公のライバルが1人しかいないこの作品では、遺産もヒロインも“その程度”という風に見えてしまう。
争う相手が最終的に兄1人になるとしても、その前段で大勢を篩にかける展開があっても良かったのでないか。
そうすれば、凌辱シーンにある輪姦も盛り上がっただろうに……とさえ思う。
問題の2つ目は、ライバルである兄の扱いの軽さ。
扱いの軽さというのは、ライバルとしての存在感が希薄とも言えるのだが、何しろ主人公との鬩ぎ合いの頻度が少ないのだ。
この作品では大きく分けて、主人公が独占するルートと、兄に奪われるルートとあるのだが、
その分岐に至るまでに兄と争う場面がまるで無く、兄と接触する場面すら殆ど無いのである。
では、その分岐は何を条件にしているのかというと、
ある一定期間における、主人公とヒロインとの会話の回数という事で、
つまりそれは、ヒロインとの恋愛フラグという……あれ?
要するに、主人公の恋愛ルートに行きそびれた場合に、
兄による凌辱→寝取られルートが待っているという作品である。
それを独り占めと言われても、元より主人公が優先交渉権を持っているのだから、独占欲が満たされるものではない。