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piopio2さんのプリズム☆ま~じカル PRISM Generations!の長文感想

ユーザー
piopio2
ゲーム
プリズム☆ま~じカル PRISM Generations!
ブランド
ぱじゃまソフト
得点
90

一言コメント

とりあえず腐女子も集合

**ネタバレ注意**
ゲームをクリアした人むけのレビューです。

長文感想

 ぱじゃまソフト10周年にふさわしい名作です。
 シナリオ全体を通じて描かれていることは”絆”です。
メインヒロインのイブキは幼馴染と兄妹の、ユリとトモキはは主従の、プチ姫は親子のの、そして全編を通して家族の繋がり、絆が描かれています。
 シナリオ自体はかなりダークですが、コメディ要素が多く、鬱展開にはなりません。
特に終盤での緊張感はかなりよかったです。

良かった点
 キャラがみんな魅力的です。発売後人気投票もかなり盛り上がり、その人気の高さがうかがえます。子供っぽいですが、戦いを通じての成長を描く物語なので仕方がないかと。それぞれに思うところがあり背負うものの大きさや、その想い等がとても綿密に描かれているので作品に入り込めます。特に大人たちがとてもかっこいいです。
 画面演出や効果音がいいです。歌やムービーもたくさんあります。
 相当に流れを意識したシナリオです。かなり練ってあります。アニメチックなお約束の展開をはさみながら緊張感や悲壮感を前面に押し出すなどしています。
 とりあえず嫌な奴というのを造ってそれを倒すことによって話が進むとかではないです。嫌悪感を抱くような悪役もいませんのでかなり落ち着いてプレイできました。

 結構エロいです。エロシーンは皆4つずつ。シチュも豊富で純愛ゲームにしてはいい感じ。
 バトルが面白いです。パズル的なゲームですが、演出が熱く、フリー対戦もあるので末永くやり込めます。
 難易度調整や、バトルパス機能もあるので苦手な人などはスルーもできるなど新設設計。
 かなり厚いシナリオです。仲間たちのキャラの掘り下げが鋭く、飽きません。全ヒロイン攻略でプリズムシリーズへのつながりが見られます。
 区切りのいい箇所ごとにサブタイトルがつけられ、その中ごとに起承転結な展開ができているのでとてもテンポがよいです。予告コーナーやOPは店舗を崩すと批判があるかもしれませんが、作品自体がかなり長いので中だるみを防ぐためにはこういう演出が一番合っているかと思います。
 話の舞台の街がいいところ。最近の作品は東京や横浜をモチーフにしたものばっかりで胸焼けしていました。
 現実世界に近い世界観を持ちながら魔法などを絡める世界観はとてもきれい。変態親父やギャグ漫画的要素も多いためコミカル。


悪かった点
 全ヒロイン攻略しないと明らかにされない伏線が多すぎる上に、ヒロインは攻略順は自由の上、全ヒロイン攻略後のシナリオがあるわけでもない。気の短い人は一人プレイしただけで騒ぎ出す始末なので、全ヒロイン攻略しないと良く分からないならそれっぽい演出は用意しておくべき。イブキルートは全ヒロインを攻略しないと行けない仕様にすればすっきりしたかも。
 天使についての設定がよくわからないまま終わった。魔力とは関係ないのか?なんなのかよくわからない。
 誤字脱字が多すぎる上にパッチでの解決も図られていないみたい。終盤の結構泣けるシーンでも相当数見られ、全体を通してみると膨大な数になる。
 Hを入れるタイミングが急すぎる。告白、押し倒す、続けざまに何シーンか追加とかばっかり。 
 個別ルートが急すぎ。いろいろなことが明らかにされていくのにもかかわらず、伏線張りは共通で終了しています。わからなければ他のヒロインをクリアしないといけない。


 作品としては高い完成度ですが、どうせならもう少し世界観を練ってほしかったです。天使の設定や10年前の出来事についてはそのうちまとめて発表を待ちたいです。
また、誤字の多さにはちょっとまいりました。
 ちなみに主人公は男の娘ですので女装してのHのシーンなどもありますが、そのときはきちんと声が入ります。
 このメーカーはFDの制作にもかなり熱心なので、以後はフーカやユリ(故郷)のシナリオ、世界観、そしてなによりエロ要素の補完を待ちたいところです。
 久しぶりにフルコンプした作品でした。