様々な思想が対立する世で、心情が移ろう様を描いた物語
舞台は魔法と魔導の世界だけど、色々な立場・文化・思想・主義を持つ者同士が共生する中で他者と相容れない違いに直面した時に、いかにして自分のアイデンティティーを守り、ある者は妥協し、ある者は恭順していったのかを追う物語として、一見の価値有り。
人がどう立ち直っていくかというようなミクロな部分は、エロゲらしくある意味どうでもいい部分。
エロ部分は、純愛系が濃く、陵辱系は薄い凡庸な作品
SLG部分は、戦闘の場面において前衛(壁)後衛という違いがあまり無く、前衛をやすやすと突き破って後衛を攻撃されてあっさり後衛全滅とかがよくあって、この仕様に合った戦闘方法のコツを掴まなくてはまともに戦闘ができないという点がとても煩わしかった。他都市と生産品の違いを見ながら都市建設をする箱庭ゲーは楽しかった。
アルの声・声優の演技はすごく良かった。
上で、物語におけるミクロな部分はどうでもいい部分と言ったが、アルが変わっていく物語だけは、エロゲらしくご都合主義一辺倒ではないので面白い。
アルは、不完全な個体だった。その表現方法の一つとして、アルの声・声優の演技はとても楽しめた。
その違和感こそが、他のキャラとは一線を画す絶妙なスパイスとなり、物語に引き込まれた。