泣きゲーの、１つの終着駅とも言える作品
私自身プレイしたのは大分前になりますし、いまさら評価するまでもない気がしなくもないですが、それでもまだプレイしたことない人や若い世代の人のために書きます。
この作品の見事なところは、BGMの圧倒的なクオリティの高さと、文章の構成の巧さにあります。keyのBGMのレベルの高さはもはや説明不要とも言えますが、その中でも本作のものはずば抜けていると私は感じます。またストーリーそのものは決して斬新とは言い難いものですが、その見せ方が憎たらしいほどに上手で、前述のBGMとの相乗効果もあって最大級の感動を生みだしています…人によっては少々お涙頂戴が過ぎる、と感じるかも知れませんが。
敢えて悪い所を挙げるとすれば、現在のkey作品のような抱腹絶倒モノのギャグはありません。またこれもお約束ですが、キャラクターははっきりと好き嫌いが分かれます。合わない人にはとことん合いませんし、アンチが多いのもうなずけます。
総合的に見て、当時（初出は2000年かな？）の作品としては間違いなく名作です。しかし今や泣きゲーというジャンル自体が出尽くした感があり、現在のプレイヤーからするとやや物足りないかも知れません。これは私がこの世界に嵌り込むことになった思い出の一作ということもあり、点数は若干甘めにつけています。しかし良くも悪くも後続の多くの作品に影響を与えたものであることは確かであり、未プレイの方はギャルゲーの歴史を勉強するという意味でも手にとってほしいと思います。