約6年ごしの大作。やはり良作には時間をかけることも重要だと教えてくれる逸材
男子三日会わずとも対して変わらないような気がしないでもないですが、流石に6年という歳月はライターさんを劇的に変えてもおかしくないということがよく分かる名作です(たまに逆もあるのが困りものだったりもしますが…)。
ストーリーそのものは決して新しいわけではありませんが、全体の構成の巧さは見事としか言いようがありません。前半に提示された伏線が、後半で一気に回収されていく様は圧巻です。また構成だけでなく、人物の描写(特に狂気描写)が抜群に上手く、思わず手に汗を握ること必死です。哲学的な描写が多いのが気になるという方もいらっしゃるかも知れませんが、正直言って全くわからなくても読むのには困りません。
ただ後半あまりにも早く伏線を回収しすぎているため、最後の方は少々盛り上がりに欠ける感があったことだけが心残りでした。或いは、もう少し他のキャラ(例えば卓司の母親)を掘り下げてもよかったのでは、と感じてしまいました。
間違いなく近年でトップクラスの作品だと言えるでしょう。ただ人によっては心情描写が冗長に感じてしまうかも知れないことや、またイジメ等の結構ドロドロした展開もあるので、やや人を選ぶかも知れません。またエロもこの手の作品には珍しく鬼畜成分が多めなので、その辺りは覚悟の上でプレイする必要があると思います。