ErogameScape -エロゲー批評空間-

perusha21さんの俺たちに翼はないの長文感想

ユーザー
perusha21
ゲーム
俺たちに翼はない
ブランド
Navel
得点
90
参照数
2547

一言コメント

取りあえず俺たちが予想していたのはこんなものじゃない・・・のは確か。決して俺らには翼なんかないけど、毎日泥に塗れて見っとも無く這い蹲ってるけど、それでも見えない翼を掲げてあの空を見上げて生きていけるよね?―――――――それはきっと何処にでもある、ありふれた物語。

長文感想

俺つば待ち続けて早3年半。
Preludeはプレイ済み。体験版は未プレイで挑んでみた。
結果は・・・

何とも言えないもどかしさと、若干の喪失感が残った。

まさかDID(解離性同一障害。厳密にいうと多重人格とは異なる)をテーマに挙げてくるとは思いもしなかった。

この難しいテーマを違和感無く書ききった、王氏の力量には感服。

しかしながら余韻が残らないほど少しあっさり風味終わり方なのはそれ散るの時もそうだったが・・・。

もしも、「けれよる」が出るのであればこの調子でいっても涙腺崩壊という感じにはならないだろうし泣きゲー好きな自分としては少し残念な流れになりそうかも。

話の構成がどうなっているだとか、主人公の役割だとかは他の方がレビューで詳しく説明して下さっているので、ここでは簡単に(長々と)説明し以後は考察へ。

もちろん激しくネタバレ垂れ流しなので、未プレイの方はこれ以降は読まないことを推奨。























☆話の流れ

羽田鷹志という主人公は母親と「フリッキー5」のヨッくんとの間に出来た子供でした。

ところが、ヨッくんは曲がりなりにもアイドルです。子供なんていちゃいけねぇ、オレはもっと遊ぶんだい!とも思っていたのでしょうか。

あっさり主人公の母親とその子供を見捨てて、他の女の下へ靡いてしまうのです。

そんな見捨てられてしまった主人公の母親はいつしか、主人公をヨッくんと重ねて見てしまいます。

そこに、現れた親戚の「小鳩」。お互いの歳も近いということもあって、よく主人公のうちに遊びに来ることになります。

最初のうちは主人公の母親も、まるで自分の子供のように可愛がっておりましたが、主人公の姿がヨッくんに、小鳩の姿が自分からヨッくんを奪った悪い女に見えてしまいました。

そのような生活が続いていくうちに、主人公の母親は小鳩にDVを加えてしまうようになります。

そこで、黙っていられない主人公の鷹志クン。小鳩を懸命に庇い、自らがDVの対象となっていきます。

それが気に食わない主人公の母親、さらにDVはヒートアップしていきました。

そんな生活が続いたある日、主人公の母親は限界に達したのでしょうか。

無意識のうちに小鳩に手を掛けようとしていました。

それを見た鷹志クン、ただただ無我夢中で台所にあった、きらりと光るその刃物で・・・・。

その悪魔じみた背中を――――――――――――――――刺した。

よく見るとその背中はとても頼りない 最愛の母の背中だった――――――――――――――――――


その心理的ショックはとてもじゃないが幼い鷹志クンには耐えられるものじゃなくて、彼らは5人に分かれていたのでした。





☆主人公の人格紹介

①羽田鷹志(ヨウジ)

当時流行のゲーム「ウィングクエスト」に登場するホーク、イーグル、ファルコン、ガルーダを自分の中に造りだした本人である。
やがて自分は心の奈落に閉じこもり、ただただ自堕落な生活を送っている。
本編の4章当たりで2番目の人格、伽楼羅を切っ掛けに現実世界に戻ってくる。
だが本人の時間は小学生の頃で止まっているので、永遠のセブンティーン(ほっちゃんじゃないよ?勘違いしないでよねっ)
もとい、永遠の小学生(バーローじゃないよ)の名を欲しい侭にするエロ小僧。
小学生なのに、妹と一緒に風呂に入った際、オナニー手伝ってもらったり、勢いあまってセクースしちゃったり。
いいぞ、もっとやれっ!っていうか俺に変われ。そこをどけマセガキ、ブッ殺すぞコノヤロウ。
つかなんで濡れ場あんなに少ないんだよ、おかしいだろ・・・・・なんでもない。

口癖は「~だも。」「えへへ~。」

②伊丹伽楼羅(カルラ)

鷹志から初めて分岐した人格。鷹志の攻撃性を一意に担う存在。実際に母親を指した後の施設送りになった際も人格は残っていて
小鳩を愛するべき守る存在として認識しており、一番グレタガルド色に染まっており、所々そのぶっ飛んだ言動はファルコンやカラスを魅了する。(パンピーはドン引き)
王マジックが一番顕著に現れる所。本編では四章の仮主人公。
何故か彼には鷹志(ヨウジ)のように、時間が止まっているということは無く、その思考回路はぶっ飛んでいながらも難解な意味合いも把握は出来る。
実は、とても臆病で淋しがりや。所々に、それ散るであったりとか過去の王氏の手掛けたシナリオの余韻を残す発言をする。

口癖・・・?は「うぉふん。」「ばふん。」「ヴァアアアアァーーーーー!!」

③羽田鷹志(タカシ)

カルラが施設で意識不明になった際に小鳩が悲しんだ為に 自分の代わりとして作り上げた人格。
悲しみを感じる事が無く、超絶完璧な人間というヨウジの願いによって作られた人格なため、本人は負の気持ちを感じることが出来ない。
どうしようもなく感情が負になった場合にグレタガルドというゲームの記憶からの妄想世界に逃げ込むことで己を保ち
見ていて心が苦しくなる主人公。(本人は自分がグレダガルドの聖騎士ホークの転生した姿だと思い込んでいる)
学校では、周りから都合のいい様にパシりにされているが、本人の自覚は無い。
いい意味で天然であり、悪い意味で空気読めない、そんな何処か憎めない一章の主人公。

口癖は「あ、うん・・・。」「世界が平和でありますように。」

④千歳鷲介

タカシが人付き合いが苦手だった為、他人と上手く話せる存在が必要だったため生まれた人格。
なので、人に嫌われないように人と深く交わらないように、そんなピエロの様な、作品中の言葉を借りさせていただくなら“ぬるぬる”鷲介。
各人格同士がが心の中で対談できる“面談”という方法を作った羽田兄弟の中の功労者。
タカシは人格が入れ替わる際にグレタガルドへ逃げ込む為で直接の面談は行われなず、実際は主に隼人と行っているのみである。二章の主人公。

口癖?迷言?は「素晴しい!(ry」「マーベラス!さすが~は違う!」「ぬるっと行こう!」

⑤成田隼人

今までの人格で肉体面が強い人格が居なかった為、じゃあ作ってしまおうってことで生まれた人格。普段は運動やら筋トレやらを全くしていない
タカシや鷲介までもが筋肉ムキムキなのは隼人のお陰。3大人格(タカシ・鷲介・隼人)の中では唯一肉弾戦が可能。
故にスクランブルというコックピット(つまりは実際に体を支配している人格)が身体的にピンチの時に強制的に入れ替わる場合が多い。
鷲介とは対照的に無口であり、本人曰くクールガイでハードボイルドなイケメン。その割には、まるで老獪のお笑い芸人の様な鋭い突っ込みを見せる一面も。
この章でも、激しく王マジックが発動。三章の主人公。

口癖は「コラ」「あァ?」「ぶっ殺すぞコノヤロウ」



☆シナリオ(各章立て)

第一章:羽田鷹志編

兎に角痛い。何が痛いって、プレイヤー達の心が痛い。
負の感情を持つことが出来ない、人としての“痛み”を知ることが出来ないタカシは、例え人からパシられても、罵られても、イジメを受けても、それを悲しい事と思うことが出来ない。
その行き場の無い悲しみが、彼をグレダガルドという彼自身の妄想の世界へと飛び立つ。
そして、妄想の中ではオレTUEEEEEEE的な厨二病な展開。
その苦しみは見ていて分かるんだけれども、遠くで見る分には「うんうん。可愛そうだね。」と
同情は出来るものの実際に近くに居ると「いや、無理。」といってしまう様なそんなヤツ。
故に、彼はクラスでも浮いた存在であり、友達も居ない。(一方通行の想いならば、和馬と友達)
故に、彼は世界には誰一人悪人なんて居ないと信じて、今日も世界が平和でありますようにとただ願いを込める。

(明日香ルート)
そんな彼に、たった1つの救いの手が差し伸べられる。
その差し伸べられた手の先の彼女の表情には、諭すようで包み込むような優しい笑顔があった。

私も同じなんだよ、と彼女は言う。
切っ掛けは些細な事、人は誰しも人と人との間のやり取りに磨耗する。
いつしか彼女は人間のことが嫌いになった。でも、それでも人は人を求める。その矛盾、その寂しさ。
彼女は幼くして磨耗しきって、偶像の弟“明日夢”を生み出す。
だが、そんな彼女も大人になるに連れて、明日夢と会うことは無くなっていった。

故に、彼女は問いただす。
タカシ君のグレダガルドは全て“妄想”なのだと。

それでも分からず屋のタカシ君、またグレダガルドの世界へ逃げ込もうとします。
ところがどっこい、その試みは失敗して、本来なら有り得なかった鷲介との邂逅を果たします。

彼の後押しもあり、ようやく妄想と認めたタカシ君。

認めたのに、それでも、まだ逃げ続けるタカシ君。

「おれたちに・・・・・・・翼はないんだ」と。

ただ現実から逃げ続けた矢先、タカシはクロードと出会う。

クロードは、明日香が伝えたかった事を再度諭す。

「今までお前が行ってきた事は“逃避”じゃない、自分を探す“探索”だ」と。

この言葉にようやく目を覚ますタカシ君。クロード格好いいね、もうたまらないね。

マーベラス!さすが、ロックバードのドラム担当のクロードさんっすね! いっちょ前に、黒光る体とそのしなやかな(ry

話は脱線するが、そんなクロードさんがタカシ君が、愛しの明日香姫との邂逅を果たしに行った後の独白。

「さあて探索行ってくるか・・・・・・バーベナ学園に・・・・・・」

・・・え、クロードさん、そこで言っちゃうんですか。っていうか御大、自虐ネタふんだんに込めないでくださいよ?ヒロインの顔が皆同じに見えるとかそんな事無いですからね?

・・・・・・・。

・・・。

で、明日香の元へ戻り、決意を話す。

この世界からも“逃げない”と。

何処か、2人らしい口付けを交わして――――――――――――――――――


世界が平和でありますように――――――――――――――――――――――




どうでもいいけど、明日香の「がんばりあすか」「だいちゅき」はタカシもとい、俺たちを萌え殺そうとしていたのは内緒。なんちゃっ(ry



(京ルート)*Badについてはスルー*


“傷ついた羽”を持つ同士、二人は自然と重なり会う。

一度愛した人に捨てられた彼女は、極度の“依存”をタカシに求める。

好きになった相手の事を知りたい。その人の声を聞いていたい。その人の優しさに包まれたい。

それは1分1秒でも長く、永遠に。

彼女にとって、それが途切れるのは地獄の責め苦に等しい。

だが、人の痛みが理解できないタカシは、それを全て包み込む。


そして、2人は永遠に見せかけの“依存”の螺旋へと迷い込む――――――――――――――――――――


それでも、タカシはこう願う。

世界が平和でありますように――――――――――――――――――――――







ここについてのルートが正直な所この作品で一番考えさせられるかなと思ったので考察を。

少し上に、2人は永遠に見せかけの“依存”の螺旋へと迷い込む――――――――――――――――――――
と書いたのは

あくまでも京がタカシに“依存”しているのであって、タカシは京に依存をしている訳では“無い”からである。

一番多いケースとして(あくまでも私個人が想像している物ととして)人は悲しみを覚えた時に差し伸べられた手を取った時に、それに依存をする。または、お互いが長らく寄り添った(喜怒哀楽を通わせた)相手が、居なくなったときに気づく。

故に、タカシは“哀”が欠けている。あるのは、正義感と同情と、偽りの“依存”で塗り固められた“愛情”だけ。

そんな一方通行の京からの依存という“歪んだ愛”を、一生受け続けるタカシ。

傍から見たら、お互いが依存し合っている様に見える仲睦まじいカップル。

その実は、“永遠に交わることの無い2人”。

そんな2人の、終わることの無い“歪んだ愛”の螺旋。これを歪だと言わずなんと言おうか。

驚介や隼人の統合が済んでいる状態でのエピローグが流れるが、そこでもあの“痛みを感じれない”タカシのまま。

もしもこの後他の人格が統合されて、彼が“痛み”を知ることができるようになったなら。私の考えは全て机上の空論だろう。

しかしながら、今回はそこまでの記述が無く、故に歪んだ愛と感じた。

私は願う。

この歪んだ愛が、永遠に続いて欲しいと――――――――――――――――――――――

このゲームには他にも見所が沢山あるが、個人的にはこのENDが一番光った。


なんちゃ(ry
深読みしたが、多分この終わらせ方がしっくり来るかなとかの理由でエピローグもあんな内容になったんだろうけどね。
こういう風に何となくIFを考えるのもエロゲーならでは(読み物も)の楽しみではあるので。何言ってんだ、こいつって人はヌルーしてくだしあ。




他にもエンディングが、京のBad、女生徒AエンドのBad、グレタガルドに篭り施設行きエンドのBadがある。

このゲームの1つの本編であると言えよう。

どうでもいいけど、女生徒Aに名前あげようよ。あとルート追加しようよ。


第二章:千歳鷲介編

これはまぁ、王道ドタバタコメディ路線だからさらっと流す。

驚介の役割は“言葉”。

前半は、王氏の力量がふんだんに発揮され、抱腹絶倒間違い無し。個人的に狩男は神。

後半はやたら、もう・・・胸焼けするぐらい多摩 いづみ もといタマイズミといちゃいちゃ、いちゃいちゃ。(最近はよくイッチャ、イッチャしてます。え?ミリィタン、ハァハァ・・・?知らんがな)

もう濡れ場のシーンにもトコトン拘って、さすが王氏。携帯電話片手に・・・って恐らく業界初でしょ。

ともかく、このMっ娘タマイズミの魅力を肌で感じ取ってください。ええ、そりゃもう。アゲアゲでね。もうがっつりアゲアゲでね。

それが俺たちのタマイズム。

少し残念だったのが絵里子と紀奈子は攻略出来無い事。


第三章:成田隼人編

ノリがガラッと変わる、この章。このノリに付いていけるのはやはり若い年代層だろう。
どのような感じというと、渋谷のギャル達とかのノリ?に近いかもしれない。端的にいうとDQN。

個人的には、このノリが大好き。でも、やはりまだ“成り切り”感が強い。正直初めの部分だけだったのは少し残念。
どちらかというと、本当にお話の中でしか出てこないお嬢様だとか、幼馴染だとかよりも断然こっちの方が好き。話口調で「~だわ」「~ですわね」とか本当は大嫌いの部分に私的には入る。
それぞれ住み分けは違うんだけど、本当に私が求めていたのはこのノリ。正直Preludeでこのノリに乗せられて、購入を決意したといっても過言じゃない。
さすが王氏。他のライターとは違う事をやってくれる。まだ完全とは程遠いが、これからこの新しい流れが大きくなっていけばいいな、と願うばかりだ。

話が少し脱線して失礼。

隼人の役割は“力”。

この章でのピックアップするポイントといえば、「案の定の突っ走りっぷりの藤野らん女史と王氏の繰り広げるコラボレーションが詰まった鳴と隼人とのマシンガントーク」と
「とてもか細くて消えてしまうそうなか細い人と人の繋がりだけれども、その繋がりに確かに意味はある」というところだろうか。

何故か2章よりも、ゆるゆるな感じで羽田兄弟との別れも描かれる。

そんな、湿っぽすぎすことなく、あっさりすぎることなく、絶妙なバランスを保ったままENDを迎える。

なによりも、そんなぬるぬるもとい“ゆるゆる”なお話。


これは他の皆さんも言っていますが、念のため。

「あァ?コーダインルートが無い?てめっ、上等だコノヤロウ。アレだ。アレだせ、ファン・・・ディスク?ともかく早くしねーと、ブッ殺すぞコノヤロウ」



第四章:伊丹伽楼羅・羽田鷹志編、俺たち編

この章は3つの構成から成っている。メインは俺たち編。

サブとしてカルラ編とヨウジ編があるのでさらっと流す。

・カルラ編

俗にいう基地外。
素面でドン引きすること請け合い。
このルートの役割はただ1つ。というかカルラの存在意義は唯一つ。
羽田鷹志(ヨウジ)という1人の人間の、いわば人としての“歪み”を表す人格。
まさに、羽田タカシとは表裏一体である。

・ヨウジ編

何この奨学生。
しかもいちいち濡れ場の声が正直ウザイ。
このルートの役割もただ1つ。
羽田鷹志(ヨウジ)という1人の人間の、いわば人としての“弱さ”を表す人格。
人は弱いが故に、助け合い、支えあう。
羽田兄弟のいわば父親的な存在でありながら、イライラさせる存在でもある。


★俺たち編

長い、長い旅路の先にようやく見えた、真のルート。真のヒロインの小鳩・・・。小鳩可愛いよ、小鳩・・・ハァハァ。


このルートは各ルートで、IFの形ではあるがそれぞれの幸せを掴んだ主人公達(全ての人格)が、“有り触れた幸せ”を手にするにはどうすればいいのかと悩んだ結末として5つの人格を統合したお話。

統合を果たした羽田鷹志は、まさに桜井舞人の面影をたっぷり残したナイスガイ。まずは冒頭の一言から。

「始まったな、俺」

それに続く迷言は溢れるばかり。ようやく最後の最後で、懐かしの王氏のテイストを垣間見ることが出来た。

俺たち編の名の通り、登場キャラはオールスター。また、各人格が出てきて会話が成り立っていたりと、最後まで“笑い”に隙が無い。


・・・ただ、王氏の残念なのは、締めが弱いということ。最初の方にもチラッと書いたが一番大事な部分がともかく“薄い”。


話の流れとして、過去の記憶を取り戻す為に小鳩と共に故郷に行き、その時に母親からのDVの記憶や、刺した記憶が蘇って一気に今までの伏線が明らかになる。
それをただ1人の“家族”として、受け止め、主人公を支える小鳩の描写。
また、それに伴ってやたらあっさりと立ち直り、直後に小鳩へ告白する描写。

ともかく何か最後の部分がやっつけに感じて仕方なかった。
流石にアージュの様に、これでもかというクドさは無くても、こうもう少し感極まる部分を入れても良かったのではないかと思う。

この部分がよく書かれていないから、各人格のヒロインがこのルートでも魅力的に見えてしまうし、ハーレムルートがあって欲しいと思ってしまう。

でもまぁ締めがこのままではゆるゆるなので勝手に、自己完結を。



ただただ傷ついた翼を羽ばたかせ、もがきながらも前に進んだ小鳩。

その傷ついた羽はいつしか、最愛の人を守る“盾”となった。

その傷ついた羽根を、今度は最愛の人が“支える”。

そう、“俺たちには翼はないこともないらしいぞ”。


人は支えあって、それを未来へと変えていくその立派な“見えない翼”があるから――――――――――――――――――――――


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この翼 自分で欲しいと願うには
あの空に 続いてる青い道に
遠ざかる 雲を背に光もあたらず
振り返る こともなく前を向いてと

消えてゆく 過去の重い 長い旅の終止符を
打つ事も 出来ないまま 溢れる涙を・・・

消えそうな思い 悲しみの光
泣きたい時に笑えるほうがいい
誓うこと全て あの空に消えた
願いが全て砕けたから

光る羽根 輝き眩しさ放つから
目を背け 過去を見ず溜息つく
傍に居る 小鳥達も囀るように
言葉では 伝えずに飛んでゆくから

抜け落ちる 背中の羽根 音も立てず消えてゆく
悲しさも 出せないまま 凍える季節に・・・

孤独にないてた 溢れ出る涙
宝石のような涙流して
人ごみに紛れ 寂しくないよと
強がる自分にさよならを・・・

いつでも 僕の傍には
そう・・・キミさえいればと思う
そして僕に委ねて
折れた羽根を・・・

消えそうな思い 悲しみの光
泣きたい時に笑えるほうがいい
誓うこと全て あの空に消えた
願う事が全てと思うから

孤独にないてた 溢れ出る涙
宝石のような涙流して
人ごみに紛れ 寂しくないよと
強がる自分にさよならを・・・



「俺たちに翼はない」オープニングテーマ:【Jewelry tears】より抜粋―――――――――――――――


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今まで長かった旅路を終え、2人は歩き出す。

人ごみに紛れて寂しくないと、強がった自分をいつか笑い飛ばせると信じて。

折れた翼は、確かに今輝いて―――――――――――――――――――――



☆後書き


・絵

御大の絵は、人によってはきついものがあるかもしれない。ちなみに私はちょっときついかなと思うタイプだが、ごまかしごまかしプレイ。
ただ、何というかかなりアンバランス。凄く萌えさせる絵もあれば、これはちょっと・・・という絵もある。
背景に関しては流石に大御所。抜かりは無い。

・BGM、曲

BGMに関してはアッチョリケだし予想通りの出来。
個人的には「想像力の豊な人間になりたいと思うんだ」「ひとはなぜ寂しさを感じるのでしょうか」「フェニックスの頒歌」と、意外にも「Julie&Anna&時男」もお気に入り。
曲に関しては、一様にいいので甲乙付けがたいがあえてつけるとすると。
「Jewelry tears」「NEON sign」「光陰の海原」と「微笑みジェノサイド」

・Movie

これは正直驚いた。力入れすぎ。
第1OPでも驚いたのに、しっかり第2OPも用意してあるところがまさに魂を感じる。

・CV

今回の肝の1つはまさにコレ。
この難解で、表現力が試される王氏のシナリオに対し、どの声優も演じきっていたと言っていいだろう。
本物のラッパーだったり、表でも裏でも有名所を集めてきており、その徹底っぷりが伺える。

・システム

何一つ不自由なし。既読の場合、各節があらすじとなるので非常に快適。


・テーマ

これは色々と議論として挙がりそうだが、私はこう考える。

人と人との“繋がり”は、人を強くすると。
故に、私達に人と人の“繋がりの大切さ”を説いたのだと。

多重人格のいわゆる視点とか、大都市柳原という場所の概念だったりとか、メルヘンなこの群青劇だったりとかはあくまでもこのテーマをいかに浮かび上がらせるかの“ツール”でしかないと思う。



☆追記

総プレイ時間:約30時間程度(プレイ後1ヶ月なのでうる覚え)


この作品は確かに人を選ぶ作品。特に飽きやすい人であったりとか、どうしても辛い描写に耐えられない人は最後までプレイするのが苦しいかもしれない。
けど、それを耐えて、ようやくこの作品は輝きだす。だから諦めず最後までプレイして欲しい。まだ、プレイするか迷っている方は、体験版をプレイして熟考すべき。

個人的には、確かに凄いんだけど やっぱりエンディングに納得がいかないので点数は少し減点。


長らく駄文失礼致しました。